ちゅら星(133)
51.チャネル
それから、僕とユニヴァは『✞女神の占い洞窟』へ直ぐに行き、女神に無事の帰還を報告した。
そして僕はレモン星へ戻り、一週間がたった。
「ねぇ、付き合わない?」突然のユニヴァの声。
僕はビクリとして顔を上げた、そこに大きなフズリナを持ったユニヴァがいる。
「タイムトラベル!」ユニヴァが楽しげに言う。
僕はため息だけで答えた。
「ちゅら星なら、戻って来れる洞窟もあることだし・・・心配ないじゃないよ。」
「懲りないな、ユニヴァは。」僕は言った。
「だって、けっこう楽しかったじゃない!」
僕は無視して、自分の作業に戻った。
「透明にカモフラージュしてさぁ、昔のちゅら星をもっと観光して来ようよっ!」
僕はユニヴァを完全に無視して、仕事を続けた。
「・・・チッ。」
ユニヴァは小さく舌打ちをすると、消えるように僕の家を出て行った。
ユニヴァの好奇心のままに付き合うわけにはいかない、レモン星にいる暇がなくなってしまう。
最近の僕の生活は一年のうちの70パーセント以上がレモン星以外のような気がするのだ。
僕はまた一つため息をついて、作業に戻った。
それから数日後、やはり冷たくあしらったことが気になって、僕はちゅら星のユニヴァのところに巨大真珠を飛ばした。
「留守か・・・。」ユニヴァは今いないようだ。
仕方なく僕は暇つぶしに、すぐそこにある『✞女神の占い洞窟』へ寄ってみることにした。
ドアを開けると、珍しく先客がいるらしくワイワイとはしゃぐ声が聞こえる。
クーさんの声が聞こえた気がした。
僕が奥に進んでいくと、先客の二人が僕の方を振り返った。
「よおっ。」クーさんが言った。
やはりクーさんだ。
そして、その隣にはユニヴァだ。
「ねぇ例えば、そこの扉をあたし達と今来たピーちゃんが一緒に出て行ったらどうなっちゃうの?」ユニヴァが女神に訊く。
「一緒に出たつもりが、気が付くとお互いの周波数に合った次元へもどるので、ユニヴァが出た先にはピーちゃんはいなくなってしまうわ。」女神はそう答えて、僕に微笑んだ。
どうやら僕に断られたので、ユニヴァはクーさんを誘って過去のちゅら星へ行ったらしい。
「白いオオワシは元気だった?」僕がユニヴァに訊く。
「まだ、会ってないの・・・あっちこっち探索中でねっ。」ユニヴァが楽しそうに言う。
「さっき、レモン星にも行って来たんだ。」クーさんが言った。
「どうだった?」僕は昔のレモン星にちょっと興味を惹かれた。
「面倒くさいオッサンに捕まちゃって、電気が普及したことを自慢されたわ。」ユニヴァが言う。
「さあ、次は僕のゴディ星行ってみようぜ!」クーさんが言った。
そこでクーさんが腰を上げると、ユニヴァが僕に言った。
「白いオオワシにお礼をしたいから、あとでピーちゃんも合流してよ!」
僕はユニヴァの言っている意味が理解できずに黙ってユニヴァを見つめた。
「後で、現在のキャニオンドームに来てってこと・・・。」ユニヴァが僕をのぞき込んで言う。
「・・・あぁ・・・うん分かった。」扉の方へ向かうクーさんとユニヴァに僕は答えた。
開かれた扉の向こうから、またユニヴァの声が聞こえた。
「美味しい飲み物でも持ってきてねっ・・・。」
そう言って、ユニヴァとクーさんは扉の向こうの過去の世界へと消えて行った。
僕は女神の方を振り返って、小さく鼻で笑って見せた。
それから僕も扉の方へ向かった、すると女神が呼び止めた。
そして僕を一人残したまま、女神は奥の方へと姿を消してしまった。
しばらくすると、水晶玉を抱えて女神が戻って来た。
テーブルに置かれた水晶玉は、よく見ると水晶玉ではなく中に液体の入ったガラス玉だと分かった。
女神はボール型の丸いグラスを持ってくると、ガラス玉の上部にシールのようなものを貼り付けた。
すぐにシールの中央部分が溶けるようにして穴が開いた。
女神がグラスに液体を注ぐ。
「どうぞ召し上がれ。」
僕は恐る恐るグラスを口に運んだ。
「あ美味しい・・・これは初めての感覚。」
女神は自分のグラスにも液体を注ぐと、ガラス玉からシールをはがした。
すると、ガラス玉に穴はなく何事もなかったかのように、傷一つないガラス玉に戻っていた。
「ピクニックドームの妖精たちが造った『清水のシャンパン』よ。」
「シャンパン?」
「気を付けてね、それでもお酒なんだから。」女神は微笑んで、シャンパンを一口飲んだ。
「私の誕生日に奉納してくれたものよ。」
「ほ・・・奉納?」
「一様アタシ、女神なので・・・。」女神は笑って、指先で丸いグラスを軽く転がした。
その無色透明の飲みものは、苦みの全くない天然の発砲水のようだった。
それから、女神に呼ばれて奥の倉庫へ行った。
中に入ると、らせん階段が地下に伸びていて、階段の壁面が荷物置き場になっている。
「下に行くほど温度が低くなっていくから、下の方は冷凍庫なの。」
女神はらせん階段を数段降りたところで止まった。
女神が手を伸ばした先には、真っ白な四角い箱がいくつも積んである。
「これを持って。」
女神から四角い白い箱を一つ受け取った。
箱は柔らかく、指に食い込む感じがする。
「もう一つ。」女神が僕の持つ箱の上に、同じものを載せた。
白い箱の正体は、先ほどの『清水のシャンパン』だ。
これでユニヴァからの頼まれごとは、女神が解決してくれた。
僕は女神にお礼を言うと、『清水のシャンパン』を抱えて扉を出た。
巨大真珠にシャンパンを積み込んで、僕はキャニオンドームに向かった。
カラフルな岩のエリアを横目に見て、聳え立つ岩山を超えると、ビュートが見える平原に出た。
すぐに見えてきたのが、ポータルのある岩場だ。
白いオオワシの住む岩場はもう少し先の林の奥にある。
そう思ったとき、黒い影が頭上を遮った。
前方に飛び出してきたのは一羽のオオワシ。
いつものアイツが来たのかと思ったが、少し色合いが淡い気がする。
オオワシは僕の巨大真珠の周りを遠巻きに巻いて付いて来ている。
僕はとにかく白いオオワシのいる場所へ向かった。
岩場の入り口付近で巨大真珠を降りると、さっきのオオワシも急下降してきた。
そして、僕の目の前にあのオオワシよりはずっと若い少年が降り立った。
「いいのに乗ってるな。」少年が言う。
「ああ、君みたいないい翼を持っていないんでね。」
「マスターのところへ?」
僕は少年に軽く頷いて答えた。
「じゃあついて来て。」
少年はそう言うと岩場の奥へと進んで行く。
僕は岩場の道のりはうる覚えだったので、都合がいいと思い少年の後を追った。
ところが、しばらくすると僕が思っているのとは違う方向に行っているような気がしてきた。
「もっと右の方じゃなかったかな?」僕はボソッと呟いてみた。
少年は振り返ると、僕が追いつくのを待った。
「この先のストーンサークルにいるんです。」
「ストーンサークル?」
「ちょっとした儀式っていうか、通信っていうか・・・今やっているところなので。」
「そんなところに、僕が言っちゃっても大丈夫なの?」
「もちろん、もう皆さん集まっていますし。」
僕は、また歩き出した少年の後を追った。
次第に岩が密集してきた。
僕は少年を見失わないようにと急いだ。
岩の隙間に入ると洞窟のように下に続くトンネルがあり、トンネルを抜けるとまた密集した岩場に出た、そしてまた次のトンネルに入り、何度かそれを繰り返した後、広々とした場所に出た。
「大丈夫ですか?疲れたでしょ、実は上空からは見えない秘密の場所なのでね。」少年は嬉しそうに笑って言う。
向こうであのオオワシが手招きをした。
過去から無事に帰還したクーさんとユニヴァもいる。
僕と少年は静かに移動した。
水晶だろうか、柱のような透明な石が中央の白いオオワシであろうあの人を遠巻きに囲んで並んでいる。
ところどころに緑の石と紫の石もある。
ジェミニーのしっぽ退治の時の、ニャントロを囲んだ宝石の配置にも似ている気がした。
どこからか鈴の音のような小さな音が聞こえている。
白いオオワシが手に持っているものの音だ。
僕らは、ユニヴァたちの隣にそっと腰を下ろした。
僕は一体何をしているのか見当もつかずに、ストーンサークルの中央にいる白いオオワシを見守った。

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【2017/06/19 14:16】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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