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ちゅら星(109)
「ピーちゃ~ん、こっちこっち~。」クルーザーの穂先でユニヴァが手を振って見せた。
「川を下りながらの朝食にしよう。」
GackNtがそう言って、僕らはクルーザーに乗り込んだ。
GackNt達の庭先を通り過ぎて少し行くと、川幅が少し広くなった。
両岸の桜の並木が直射を遮って、キラキラと輝く木漏れ日を提供してくれる。
「しまった!」キッチンに立っていたGackNtが声を上げた。
「ニャントロ!ワインを忘れて来てしまった。」
「どの樽だ?」ソファアにくつろいでいたニャントロが面倒そうに言う。
「ん・・・適当なもので・・・どれでも構わない、頼む。」
ニャントロが目を閉じた。
それから少しして目を開くと、窓際にある木製のキャビネットを見つめた。
キャビネットの上にキラキラとした粒子が舞っているのが見える。
粒子の量が急激に増えると、あっという間にワイン樽が現れた。
「これでいいか?」
「うっ・・・これは・・・」GackNtが気まずそうに樽を見つめている。
「どれでもよかったのではないのか?」ニャントロが眉をひそめて言った。
どうやら、僕らの目の前に現れた樽は最近仕込んだばかりの樽で、飲むにはだいぶ早いらしいのだ。
ニャントロはGackNtを無視するようにお茶を飲んだ。
それからニャントロはデキャンタにワインを移すように言ったので、僕は僕のすぐ脇に置いてあったデキャンタを手に取った。
そしてゆっくりと樽の栓を抜いて、デキャンタの半分ほど注ごうとしたのだが、上手く栓が閉じられず結局なみなみにしてしまった。
僕がデキャンタをテーブルに置くと、ニャントロがそれを見つめた。
デキャンタの周りにモワっとした煙が立ち、すぐにデキャンタがかすむほどの煙に包まれた。
「試して?」ニャントロが言った。
GackNtがほんの少しグラスに移して飲んでみる。
「まだだ。」
またニャントロがデキャンタを見つめて、煙が立った。
そしてまたGackNtが試してみる。
「・・・イケなくもないが・・・。」横目でニャントロを見て言う。
すぐにまた煙が立った。
「これでどうだ?」
一口飲んでみたGackNtは、人数分のグラスに少しずつワインを注いだ。
真っ先にユニヴァが口をつけた。
「爽やか!」
「レモンのような香りです。」ホシマルちゃんが言った。
僕も木漏れ日を揺らすそよ風を感じるのには、ぴったりのワインだと思った。
それからサンドウィッチが出来上がると、僕らは乾杯をした。
その後デキャンタに4度もワインをお代わりしたので、ニャントロは疲れてソファアで眠ってしまった。
景色を眺めていた僕らは、急に川幅が大きく広がったことに気付いた。
「この先で川が二つにわかれるんだ。」GackNtが言う。
「どっちへ行くの?」ユニヴァが訊く。
「左だ。」
「どこに向かっているの?」クーさんが訊いた。
「飛行場だ。」
「飛行場って?」ユニヴァが言う。
「飛行機に乗る。」
「飛行機って?」ユニヴァがまた言う。
「風に乗って進む乗り物だ。」
「へぇ。」僕らは一斉にそう言った。
今日は天気もいいし、風に乗るなんて気持ちよさそうな気がする。
左側の支流に入って行くと、次第に両岸はそそり立った岩壁になって行った。
「岩の色がきれい。」ユニヴァが言った。
「ここを抜けると海に出る。」GackNtが言った。
僕が岩だらけの景色に飽きてくると、岩壁の高さが低くなり空が広々と見えるようになって来た。
「もうそこが海だ。」
目の前の景色が大きく開き始めた。
「飛行場は?」ユニヴァが言った。
「あそこに見える島がそうだ。」
島に近づくと、大きな鳥のような白い物体が何台も並んでいるのが見えてきた。
「あれが飛行機ね・・・キレイ。」ユニヴァが乗り出して言った。
奥の建物の中にも、たくさんの飛行機が見える。
僕らのクルーザーが着くと、真っ黒に日焼けした女の子が駆けて来て綱を取ってくれた。
「ようこそニャントロ、GackNt!」そう言って女の子は僕らに笑顔を見せた。
クルーザーを出て島に降り立つと、僕らは一人残らず大きく伸びをした。
「3台でいいわね。」
飛行機は縦に二人乗れる二人乗りのようだ。
最初にニャントロが1台に乗り込むと、その後ろの席にユニヴァが飛び乗った。
「男子禁制!」ユニヴァは備え付けのヘルメットをかぶった。
ホシマルちゃんは蹄をヒョイと蹴って、ユニヴァ達の隣の飛行機の後部座席に飛び乗った。
その前の座席にGackNtが乗った。
「後はよろしく。」そう言ってクーさんは僕の肩をたたくと、そのまた隣の飛行機の後部座席に飛び乗った。
取り残された僕はしぶしぶクーさんの前の席によじ登るしかなかった。
「運転は比較的難しいぞ。」追い打ちをかけるように隣からGackNtが言う。
GackNtとニャントロのプロペラが勢いよく回転し始めた。
「先に行く。」ニャントロの口かそう動いて、彼女達の機体が前進して行った。
陽気にユニヴァが僕に手を振った。
「なぁに、心配無用だ。」GackNtは僕にそう言うと、進んで行ってしまった。
ホシマルちゃんが陽気に手を振って見せた。
「フロントガラスを見て!」日に焼けた女の子が地上から叫んだ。
僕はフロントガラスを見た。
光るブルーの文字が、赤いランプのボタンを押して電源を入れるように言っている。
僕はその通りにした。
ブルンとシートに振動を感じた。
「OK!その調子!」女の子の声が聞こえた。
次にグリーンのランプのレバーを倒すように指示されている。
気がつくとニャントロとユニヴァの機体がはるか彼方見小さく見え、GackNt達は今離陸したところだ。
「急げ!遅れるぞ。」クーさんの声がした。
僕は冗談じゃないと思いつつも、レバーに手をかけた。
それから僕は離陸までに飛行場を3周して、ようやく島を離れることができた。
「やれやれ。」僕が上空に出ると、他の2機は影も形もなくなっていた。
「大丈夫、レーダーはチェックしている。」クーさんの声がした。
僕はいつの間にかスピードが上がっていることに気付いた。
「いい風だね。」クーさんが言った。
右手前方に小さく光るものが見えた。
何とか追いついたようだ。
白いサンゴ礁の島が点々と見えてくる。
「あの大きい島に降りてくぞ。」クーさんが言った。
僕は慌ててフロントガラスを見た。
着陸ステップのボタンに触れる。
マニュアルモードとオートモードのボタンが現れた。
「当然オート!」僕はオートモードのボタンに触れた。
近辺のマップが表示された。
「ここだな。」とクーさんの声がして、地図上に点滅する虹色のマークが表示された。
前方に大きな島が迫ってくると、機体は徐々に高度を下げ始めた。
僕はのんびりと眼下に広がるライトブルーの海を眺めた。
僕とクーさんが無事到着したころには、乗り捨てられた飛行機を残して皆の姿はどこにもなかった。
僕とクーさんはとりあえず、打ち寄せる渚をゆっくりと進んで行った。
しばらく行くと砂浜は終わり、岩場になった。
「ああ、いたいた。」
小高い崖の中腹に4人の姿を見つけた。
上に上がる道を見つけて、僕とクーさんも崖を登り始めた。
「きれいな地層だなぁ。」クーさんが岩壁をたたいて言った。
「見つけたぁ!これ見てぇー!!」ユニヴァの叫ぶ声だ。
僕とクーさんは何事かとユニヴァの声に急いだ。
カーブを回ると、ユニヴァを取り囲むようにして集まっている彼らがいた。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2013/10/29 16:47】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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