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ちゅら星(105)
「あそこの席みたいなバースデイケーキすぐ用意できる?」
「ハイ、ご用意できます。」
するとユニヴァはウサギから書くものを借りて、何やら手早く書き留めた。
「このメッセージを載せて、あちらのヒツジ人間さんところに届けて。」
「かしこまりました。」ウサギは急いで下がって行った。
「うわぁ、あのケーキどうなってんだ?・・・チョコの文字がウネウネ動いてるぞ。」クーさんが誕生日会の席を振り返って言った。
ケーキの側面を取り囲む『HappyBirthDay***ちゃん』とチョコレートで書かれた文字がウネウネとうねりながらケーキの側面をグルグルと動いているのだ。
「食べられるんでしょうね?あのケーキ・・・。」ユニヴァが退屈そうに眺めて言った。
「それよりユニヴァさん、どんなメッセージを?」ホシマルちゃんが心配そうな表情を浮かべている。
「『ミンタカから遊びに来ています。ホシマルより。』・・・気付いてくれるきっかけを作るだけだもの・・・。」ユニヴァは言った。
「ホ・・・ホシマル??」ホシマルちゃんが四角い目をちょっと大きくして言った。
「ここにいる皆さんは『ホシマルちゃん』とニックネームで呼んでくださいますが、本来の私の名前は『*◎▲∴』ですから・・・。」
「大丈夫よ、他にヒツジ人間もいないからすぐ気がつくわよ。」
ヒツジ人間とオレンジの髪の女性は、ワゴンから選んだケーキを食べ始めたところだ。
「おおっ、来た来た。」ユニヴァが言った。
ウサギはチョコレートの文字がうごめくケーキを持ってやって来た。
「お待たせしました。ではこちらのケーキをあちらのお席にお届けいたします。」
「うん、お願い。」
僕らはケーキを運んで行くウサギを見守った。
ヒツジ人間の席に着くと、ウサギは僕らの方を振り返った。
ケーキの贈り主をヒツジ人間達に紹介しているようだ。
こちらを見ているヒツジ人間に、ホシマルちゃんが小さく手を挙げてあいさつした。
ホシマルちゃんは時々相槌を打ったりして、遠くのヒツジ人間とテレパシーで会話しているようだ。
「何だって?」しばらくしてユニヴァがホシマルちゃんに訊いた。
「助け出してほしいと懇願されました。」
「ふぅん・・・で何て答えたの?」
「できる限りのことはお手伝いしたいと・・・。」ホシマルちゃんが困ったように言う。
「だけど・・・僕らに何ができるんだ?」クーさんが僕を見て言う。
僕はユニヴァを見た。
「ミンタカに戻って、分身を捕まえてくる!・・・そして幽体離脱ルームに放り込む!」ユニヴァはそう言って僕らの顔を見回した。
「それかぁ・・・。」クーさんが面倒そうに頭の後ろで腕を組んだ。
気がつくとウサギがさっきのメッセージケーキを持って立っている。
「先程はどうも・・・+?¥*です。こちらは友達のイオラ。・・・ご一緒しても?」あのヒツジ人間がウサギに促されてやって来たのだ。
ウサギが僕らの席を広げてくれた。
そして、僕らのテーブルの真中にはメッセージケーキが置かれた。
「ただいまカットいたしますので。」
そう言ってウサギはまた下がって行った。
「やはり・・・身体のすり替えが原因ですか?」クーさんが神妙な顔で訊いた。
「ええ、幽体離脱を体験した時にです。」
「やっぱりね。」ウニヴァが言った。
僕は彼が男性だということは、分身の方は女性なわけで、すり替えら得られた今の彼は女性の体をまとっているのではとふと思った。
しかし服を着ているし、なにしろヒツジ人間なので性別は分かりにくいのだ。
「そちらの女性も・・・すり替えで?」クーさんが訊く。
「ええ、ただこう見えて私は男性なんです。本来の身体は女性の分身に乗っ取られてしまいましたので・・・。」
「・・・ああ・・・なるほど。」クーさんが神妙な顔つきで納得した。
「あなたもミンタカの人?」ユニヴァが訊いた。
「いえ・・・。」
「もうロケットのアトラクションは体験されましたか?」ヒツジ人間が言った。
「ロケット?」ユニヴァが首を横に振って答えた。
「ロケットのアトラクションで別の島に移動できるのですよ。」
ユニヴァがまん丸く見開いた目を僕に向けた。
「そこに私達の宇宙に戻るもう一つのエレベーターがあるのです。彼はそちらから来た方です。」
「そのエレベーターって、どこに繋がってるの?」ユニヴァが乗り出して訊く。
「アルニタク。」ホシマルちゃんが呟いた。
ユニヴァがきょとんとした顔をホシマルちゃんに向ける。
「ミンタカ、アルニラム、アルニタク・・・三つ星のうちの一つです。」
「ホシマルちゃん知ってたの・・・。」きょとんとしたままユニヴァが言う。
「ええ、以前アルニタクへ行った折に、ここへの入り口に当たる遺跡へは行ったことがあるのです。」
「それじゃ、あなたはアルタニク星人・・・。」クーさんが言った。
しかし、彼は僕ら同様アルニタクにあるポータルを通った更に遠いところから来ていると言うのだ。
「アルファルド。」オレンジの髪の彼が呟いた。
「訊いたことがないな・・・。」クーさんが言う。
そこへウサギがワゴンを運んでやって来た。
僕らにはまたお茶が配られて、ウサギは手際よくメッセージケーキを切り分けていった。
カットされたケーキの文字は、それでも尚ウネウネと波打っている。
「まだ少しなら食べられるわ。」5つもケーキを食べたユニヴァが言った。
「それで・・・僕らを助けてもらえるだろうか。」ヒツジ人間が訴えるように言う。
少しの間、沈黙が通過した。
ユニヴァはケーキを一口食べると生き返ったかのように喋りだした。
「簡単よ!分身とっ捕まえて来て、幽体離脱ルームに放り込むだけだもの。」
「しかし・・・」ホシマルちゃんが何か言いかけた。
「何よ。」ユニヴァがホシマルちゃんを見る。
「+?¥*くん・・・彼の分身に関しては私が何とかしましょう。ただイオラさんに関しては・・・。」ホシマルちゃんは腕を組んで考え込んでしまった。
「とっ捕まえるわ!ねえ、アルファルドの座標を教えてよ。」ユニヴァはお茶を一気に飲み干した。
「ざ・・・ひょう?」イオラがユニヴァを見て言う。
ユニヴァはまたケーキを一口食べた。
「すみません、私・・・空間移動についてはウトいもので・・・。」イオラが頭をかいて言う。
僕とクーさんとユニヴァは顔を見合わせた。
「じゃ・・・ポータルの場所は分かるんでしょうね?」ユニヴァはケーキを平らげた。
「はい、遺跡から近いところにあるんです。」
そこでユニヴァは中央のメッセージケーキの皿に手を伸ばすと、残っていたケーキを一つ取って、僕の皿に載せた。
それから最後の一つが残った皿を自分の前に引き寄せると、またケーキを食べ始めた。
「ミンタカとアルファルド、二手に分かれましょう。」ユニヴァが僕を見ていった。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2013/06/25 16:48】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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