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ちゅら星(98)
僕らが灯台への階段を上がって行くと、トリちゃんは入り口を出たところの階段に腰掛けていた。
「まだ来てないの?」ユニヴァがトリちゃんに言った。
「うん、天気がいいね。」トリちゃんが言う。
「ちゅら星の天気は人工的なものよ。」ユニヴァが言った。
「でも、毎日同じじゃないね。」
「同じじゃ飽きちゃうからじゃないの?」ユニヴァはどうでもよさそうに答えた。
自由に雨を降らせることもできるトリちゃんには、確かにどうでもいい事なんじゃないだろうかと僕も思った。
「まぁ、中でお茶でも飲もう。」
そう言うトリちゃんに僕らは従った。
トリちゃんは冷蔵庫からチョコレートの箱を出してきた。
「冷たいのと温かいのとどっちがいい?」
「冷たいソーダよね!」とユニヴァが僕を見て言った。
僕がクーさんを見ると、クーさんが頷いた。
トリちゃんは笑った。
「おや?」キッチンに戻ろうとしたトリちゃんが立ち止った。
「そうか、アイツ・・・下かぁ。」
そう言うと、トリちゃんはキッチンの奥に行って、いつか大きな男がしていたように何かをギコギコと動かし始めた。
「あっ、床が開くぞ。」クーさんがそう言って椅子から立ち上がった。
テーブルの下の床が動いて、地下への入り口が開き始めた。
すっかり床が開いてしまうと、トリちゃんは小さな動物が持っていた古めかしい鍵を持って来た。
「悪いが留守番を頼む、僕はちょっと行ってくる。」
トリちゃんは軽くそう言うと、床下の階段を下りて行った。
「待ってよ、一緒に行く!」ユニヴァが慌てて床下に入って行く。
残された僕とクーさんは、テーブルの下にぽっかり空いている地下への入り口をただ見つめていた。
それから僕は誰も来ないとは思ったが、セキュリティのため入り口の扉を閉めに行った。
クーさんが冷蔵庫を開けて、冷たいソーダを持って来た。
「それともチョコにはコーヒーの方がいいかな?」クーさんが僕に言った。
「いいよ、それで。」僕は言って、テーブルに着いた。
「え?」クーさんが僕を見て言う。
僕が何の事かと聞き返そうとすると、コンコンと誰かがドアをたたいた。
「ドアだ・・・。」クーさんが僕を見つめた。
僕はすぐにキッチンの奥に急いだ。
キッチンの奥には木製の船の舵のようなものがあった。
舵の中央には差しっぱなしになっている鍵が付いている。
この舵を回せば床の開閉ができるに違いない、僕が舵に手をかけると右に回った。
思ったよりは軽く回る、舵をいっぱいまでまわし終わったところで、テーブルにいたクーさんからOKのサインが出た。
ドアをたたく音は聞こえなくなっていた。
クーさんがカチャと小さな音を立ててドアを細く開いた。
「おう、いたのか。」
僕らは聞き慣れない男の声にビクッとした。
階段に座っていた男は立ちあがると、僕とクーさんを見て少し驚いた様子で言った。
「アイツは?」
そう聞かれて僕とクーさんは顔を見合わせた。
「今ちょっと出かけてます。」クーさんが答えた。
「ちゅら星の人?」またその男が言う。
「いや、まぁ近所の・・・。」クーさんがいい加減に答える。
彼こそがトリちゃんの相方なのだろうか?
彼はズカズカと部屋に入って来ると、勝手に椅子に腰かけた。
体格はトリちゃん程度だが、彼よりはだいぶ厳つい感じで、海のような青色の長い髪を一つに束ねている。
「いやぁしかし迷った迷った。ちゅら星への近道だって言う突発型の渦が出たんで飛び込んだら、出た先は真っ暗闇だ。ハハハハ。」そう言って彼は豪快に笑っている。
「あの・・・。」
僕は彼にトリちゃんの相方なのかと聞こうと思ったのだが、トリちゃんの本当の名前を知らないことに気がついて躊躇した。
「あの・・・あなたはトリニタス星の方なんですか?」僕はやっと彼に質問した。
「うん、そう。」彼は明るく答えた。
やはり、トリちゃんの相方の可能性が高い。
しかし、じゃあトリちゃんは地下に何をしに行ったのだろうか・・・「アイツ・・・下かぁ。」とか呟いていたはずだ。
「なんだ、あれ?」窓の外を見ていたクーさんが言った。
「うわぁ、来たぞ。」
ワサッっとドアから風が吹き込んできた。
僕は息をのんだ、ペリカンが入り口に降り立ったのだ。
しかもサンドウィッチのかごをくわえている。
「まさかミンタカ星から・・・。」僕はひとり呟いた。
クーさんがカゴの中身を確認している。
「間違いない、ミンタカ星のだ。」クーさんが言った。
そしてカゴの中にあった伝票にサインをすると、ペリカンはそれをくわえて飛び去って行った。
僕らはペリカンがどこに帰って行くのかを見ようと、慌てて外に飛び出した。
「やっぱりだ。」クーさんが言った。
ペリカンはあのミンタカ星へ抜ける洞窟の前に降り立つと、のそのそと洞窟の奥へと入って行ったのだ。
それを見届けて僕らが戻ろうとした時、ペリカンと入れ違いに洞窟から誰かが出てくるのが見えた。
「ええっ、誰だ?」クーさんが僕と洞窟の方を交互に見ながら言う。
「ホシマルちゃんには見えない・・・。」僕が言った。
その時、僕の背後でさっき来た男の声がした。
「おう、アイツだ。」
どうやら知り合いらしい、トリニタス星の人なのだろうか?
彼は灯台の階段にいる僕らに手を振っているようだ。
トリちゃんやクーさんよりも背が高いことが分かる、何と言っても風にバサバサとなびく赤っぽい髪が特徴的だ。
「サンドイッチ届いた?」来るなり彼は言った。
「あのペリカンがポータルの先まで届けてくれるとは・・・。」思わず僕が言った。
「いいポータルが通ってて助かったよ。」
彼は先に来ていた青色の髪の男の肩を親しげにたたいて言った。
トリちゃんの留守にわけのわからないトリニタス星人が二人も・・・
僕とクーさんはただ黙って彼らの様子を見ているだけだ。
「彼らは?」赤い髪の方が僕らを見て言う。
「アイツの友達だろうよ。」すっかりくつろいでいる青い髪の男がニコニコしながら適当に答える。
「君らも来て、サンドウィッチ!」赤い髪が僕らに呼び掛けた。
僕はお茶を入れると言ってキッチンの奥へ行き、念のため舵のキーを抜いてポケットにしまった。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2012/11/21 15:27】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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