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ちゅら星(151)
ビニール細工のような植物の草原がどこまでもキラキラと広がっている。
そして真っ黒な森は、僕らに向かって迫ってくるようにさえ感じる。
その木の幹は真っ黒で、葉は黒に近い濃い緑色をしている。
足下に覗く土も真っ黒で、草原のキラキラの植物とは一転してマットな灰緑の植物が目立つ。
「なんにもいないな・・・。」クーさんが不満げに言う。
僕らの巨大真珠は、ただ先を行く二羽の雲を追う。
「ねぇ、湖って面白いの?」ユニヴァが先を行く2羽に声をかける。
「さぁ?・・・始めて行くんだからぁ。」黄色いクチバシが答える。
「え?」クーさんの声が微かに聞こえた。
「噂はいろいろ聞いてるけどね・・・。」青いクチバシが言う。
「噂があるの?・・・じゃっ、面白そうって事じゃない?」ユニヴァが嬉しそうに言った。
噂とは何か気になりながらも、とにかく僕らは湖を目指して雲を追った。
「あ、きれいな黄色!」
小さな真っ黄色の池が見えた。
これが、真っ黒な森に映えるのだ。
「あの小さいの、出て来ないかな・・・。」またクーさんがぼやく。
「あの、赤いとんがり帽子だよね・・・。」僕が言う。
「とんがり帽子だけで、それがコビトとは断定できないと思うけど?」ユニヴァが言う。
「うわっ蛇?大蛇?」クーさんが叫ぶ。
「スゴい!真っ白な川よ。」
僕らが超えて行くのは、ミルクを流したような不透明の真っ白な川だ。
「また川!」
今度のは鮮やかな青緑色だ。
「向こうにも、また白い川!」
それを超えるとまた向こうに青緑色の川が見えた。
「これ、上から見たらきれいなストライプに見えるんじゃないかな?」僕は思った。
でも真っ黒な木々に覆われていて、この森を彼方上空から俯瞰することは叶わないようだ。
「湖、まだかしらね?」ユニヴァが冷めたつぶやき言う。
「お腹空いちゃったのぉ?」黄色いクチバシが振り向いて言う。
「湖に美味しいものでも浮かんでるって言うの?」ユニヴァが訊く。
「・・・たぶんね。」青いクチバシが笑って答えた。
しかしまだ湖の気配はない。
ところが、先を行く雲が急に停止した。
「おや?・・・門がある。」クーさんが言う。
真っ黒な木々の合間に、真っ黒な鉄柵の豪華な門がある。
所々には金の細工も施されている。
「こ、これは・・・。」クーさんがつぶやく。
確かに、お姫様の宮殿を連想させる門だ。
立派な門を眺めてしばらくたった。
「この門、どうやって開けるのよ?」ユニヴァが言う。
バサッっ!
その時突然、門の上に大きな一羽のカラスが舞い降りてきた。
カラスは僕らを値踏みするかのように見回すと、クチバシで門の上にある鉄の取っ手を引き上げた。
ゴロンと重い音がして、門がわずかに開いた。
「どうも。」青いクチバシはカラスにそう言うと、門を押し開けて奥に進んだ。
僕らもそれに続く。
「ガァアーっ!」鋭いカラスの声とともに、ガシャンと音を立てて門はまた閉まってしまった。
門の中の木々はどす黒いには違いないのだが、手入れが行き届いているのがわかる。
門を入ると、カーブした散策路が右にも左にも続いている。
僕らは右に行ってみる。
カーブの先には広々とした広場が見えた。
そして、その先にはクーさんを満足させるには十分な真っ黒な宮殿が見える。
広場には、つやつやの真っ黒な大理石が引き詰められていて宝石のように煌めいている。
僕らは広場の中央を宮殿に向かって進む。
宮殿に上がる広い階段の上方には巨大な扉があり、見たことのない動物の石像が左右配置されていて、その右の一頭の頭の上で先ほどのカラスらしい一羽が僕らを見据えている。
僕らが巨大な扉の前に来ると、カラスがまた一声叫んだ。
「ガァアーっ!」
扉がゆっくりと開いていく。
中から溢れる目映いばかりの光。
真っ黒な世界にいたせいで、目がくらみそうだ。
真っ白な壁に、真っ白な床、柱に金の装飾が美しい。
天井はライトなのか宝石なのか分からないほどキラキラと輝いている。
「キレイだけど何にも無い部屋ね。」ユニヴァが言う。
そう言われてみれば、窓も扉の一つも見当たらない。
部屋がうっすらと暗くなってきたかと思うと、周囲の色が淡いブルーに変化してきた。
天井の中央からキラキラとした光のシャワーが降り注ぎ始めた。
光のシャワーが床まで落ちる頃、その中に人影が現れてきた。
そして光のシャワーが止み、美しいブルーのドレスの女性がそこにいた。
その人は僕らを見ると、軽く微笑んだ。
それからおもむろに両手を大きく左右に広げた。
豪華なテーブルセットが現れて、同時に部屋の四隅には給仕も4人配置されている。
僕らはブルーのドレスの姫に促されて、テーブルに着く。
「やっぱ、いたな。」クーさんが僕の耳元にささやく。
クーさん待望のお姫様が現れたのだ。
「まずは、乾杯!」姫はそう言って笑った。
その時キラリと光ったのは、姫の口元からチラリと見えた歯だった。
僕とユニヴァの目が合った。
それから、手の込んだガラス細工のグラスからシャンパンのようなシュワシュワの飲み物を頂いた。
「ポータルマスターがいらっしゃるとは!」姫がユニヴァを見て言う。
「何だかスゴくきれいな歯ね。」ユニヴァが言う。
姫は歯を見せびらかすようにニィっと笑って見せた。
「宝石?」
「私の歯は全てダイヤです。骨もね・・・。」姫はスマして飲み物を飲んだ。
「へぇ、変わってるのね。」ユニヴァはさりげなく答えた。
姫がまた、両手を大きく左右に挙げた。
キラキラとスターダストが舞ったかと思うと、ガラッと変わって外に開けた大きな窓の部屋になった。
僕らの座る豪華なテーブルセットも、グリーンのふかふかなソファアになっている。
そして、大きな窓の外には、真っ黒なガラス板のように湖がたたずんでいた。
窓の外はバルコニーになっていて、その先には階段が下に降りている。
姫がバルコニーに出たので、僕らもそれに続く。
真っ黒な木々を揺らす風が気持ちいい。
給仕がワゴンで飲み物を運んできた。
赤いつぶつぶのフルーツに満たされたサッパリとした飲み物だ。
「下に降りて、ニョロとポニョを紹介しましょう。」
「ニョロとポニョ?」ユニヴァが言う。
ガラス板のような水面に小さなさざ波が立った。
さらに向こうにも、さざ波が見えた。
僕は目をこらす。
しかし水面はまた元のガラス板のように静まりかえった。
姫は飲み物のグラスを置くと、階段を降り始めた。
僕らもグラスをワゴンに戻して、姫を追った。
姫は軽くドレスの脇をつかみ、慣れた足取りで湖の畔へと進んで行く。
「今日は大勢で入らして下さったのに、鳥さんは2羽ですのね・・・。」姫は湖を遠く眺めてそう言った。
「悪かったな。」青いクチバシが言った。
その時、すぐ近くの水面がドロンと揺らめいた。
「わぁあああ!」
クーさんはその場に尻餅をつき、ユニヴァは僕にしがみついてきた。
「ネッシーだぁああ!!」尻餅をついたままクーさんが叫んだ。
「これはニョロです。」姫が静かに言った。
ニョロは水面から首をもたげて、静かに姫を見つめている。
僕らは体制を整えてニョロを見上げた。
するとまた水面がドロンと揺れた。
「わぁああ!」
クーさんだけが尻餅をついた。
同じような首長竜っぽい生き物が現れた。
「ポニョです。」姫が言った。
ポニョは僕らに興味を示したようで、落ち着き無く首を振った。
「今日はお会いできてとても楽しかった!お帰りのポータルへはこの子達がご案内いたします。」
「来たように帰るから大丈夫よ。」ユニヴァが言う。
「日が暮れたら、森は危険です。」姫がキッパリとした声で言った。
オレンジ色の最後の夕日が、湖面をキラキラと這って森の奥まで明るく差し込んでいる。
この後あっという間に日が暮れてしまうのは確かだ。
「ポォ~ニョポォニョポニョ~♪・・・ニョォ~ロニョロニョロォ~♪・・・」突然、姫が歌い始めた。
唖然として見ていると、ニョロとポニョがゆっくりと動き出した。
姫は歌を続けながら、僕らを湖へと促す。
僕らは巨大真珠に乗り、2羽は雲に飛び乗った。
そして、半ば追い出されるかのように姫に別れを告げ、湖の奥へと進んでいくニョロとポニョを追った。
「何だったのよ、あの人?」ユニヴァがぼやいて言う。
「だから、森のお姫様なんじゃないのぉ?」クーさんが言った。

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【2019/08/27 16:35】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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