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ちゅら星(146)
僕らはとにかく小山の向こうへと向かった。
「ニワトリなんかもっと簡単に見つかると思ってたのに・・・。」ユニヴァが小さくつぶやいた。
先に見えるのは小山と言っても、赤茶けた地面の盛り上がり程度のものだ。
小山の向こうには、また同じような平原が見えている。
小さな動物とおじさんを乗せた巨大真珠が小山を超えて行く。
僕らもそれに続く。
「だだっ広い平原だな・・・。」クーさんがつぶやく。
「洞窟って、地面にでもぽっかりあいてるっていうのかしらね?」ユニヴァが言う。
確かに洞窟がありそうな場所もない。
そう思っていると、先を行く旧型巨大真珠が停止した。
直ぐ脇に僕らの巨大真珠も停止する。
「どうしたのよ。」ユニヴァが言う。
「洞窟が見当たらない。」小さな動物が言う。
「あの恐竜ホントに洞窟があるなんて言ってたの?くぅ~くぅ~言ってただけじゃないよ。」ユニヴァが皮肉を言う。
「ねぇ、あそこ・・・。」進行方向の後ろを向いていたくーさんが言う。
「あれは、洞窟かも・・・。」僕が言う。
さっき超えてきた小山の腹に、ぽっかり穴があるのが分かる。
「ああ、そういうことか。」小さな動物が小さく言った。
直径50センチメートルほどの穴は、いびつなハート型を少し傾けたような形をしている。
「で、この洞窟にニワトリがいるんだっけ?」クーさんが言う。
「ティプロドクスは、小さなラプトルの鳴き声が聞こえると言っていた。」小さな動物は言う。
「とにかく行ってみるしかないでしょ。」
ユニヴァはそう言うと、巨大真珠を洞窟に入れる程度に縮小した。
「ちょっと、この旧型も縮小できるの?」小さな動物が慌てておじさんに訊く。
「ああ、もちろん!まずスキャンしてから縮小拡大で・・・ただスキャンに時間がかかるがな・・・。」
「できるなら、まぁいいけど・・・。」そう言って小さな動物がスキャンボタンを探した。
「アタシ達、先行くわね!」ユニヴァはそう言って、僕らの巨大真珠はハート型の穴に侵入した。
洞窟は、入って数メーターで進路が下降し始めた。
「でも、少し広くなったぞ。」クーさんが言う。
「おじさん達大丈夫かな?」僕が言う。
「スキャンに20分くらいかかるのよ。」元の持ち主のユニヴァが言った。
僕らは小さなラプトルだかなんだかを脅かすことのないように、最小限の照明でゆっくり進む。
「聞こえた!・・・今・・・ねっ。」ユニヴァが小声で言う。
ケッケッ・・・ケッケッ
「ラプトルってこんな鳴き声なの?」ユニヴァが訊く。
「知らないよ。」僕が言う。
キィイー・・・キィイー
「さっきと違うぞ。」クーさんが言う。
コーケコッ・・・コーケコッ
「ちょとコレ!」ユニヴァの緊張した声が言う。
コーケコッコー!
「いたぞ!!」クーさんが僕を見る。
キッ・・・キッ・・・キッキッ
「いろんなのがいるみたいね?」
僕らは、よりゆっくり進む。
進路の先に光が見える。
「何かしら?」
光は下の方から差していて、突き当たりで進路は垂直に下に降りている。
「磁場がおかしいみたい、めちゃくちゃに変動している。」ユニヴァが言う。
確かにちょっと頭が重いような気がする。
それでも巨大真珠は突き当たりまで進んでみる。
眩しすぎて何も見えない。
「一度、戻ろう。」僕が言う。
洞窟の入り口に戻ると、旧型巨大真珠はまだスキャン中だった。
「お帰り、やっと70%まできた・・・。」小さな動物が言う。
「中には何かおったかい?」おじさんが言う。
「強い光が出てて、磁場がめちゃくちゃ・・・。」
「ふぅん?」小さな動物が腕を組んだ。
キュ~ゥ・・・
洞窟から小さな声が響いた。
「聞こえた?」ユニヴァが言う。
「ああ、これがラプトルじゃな?」おじさんが言う。
キャッキャ・・・
また違う鳴き声が聞こえた。
「壊れたポータルなんじゃないかな?・・・それ。」小さな動物が言う。
「・・・かも知れないわね。」ユニヴァがぼそりと言う。
「うん、あのぐるぐる回ったヤツみたいなのだな・・・。」クーさんが言う。
「ぐるぐる回ったヤツって?」小さな動物が訊いた。
おじさんが小さな動物に、僕らが草原の巨大掃除機に吸われて、やむを得ず入ったポータルでぐるぐる回転した時のことを話した。
「それでどうなったの?」小さな動物が訊く。
「土星の地中に放り出されたのよ。」ユニヴァが言う。
「なんだ・・・・。」つまらなそうに小さな動物は言った。
しばらくみんな考え込んだ様子で、会話が途切れた。
上空高くを翼竜が過ぎていく。
「でも・・・、『めえぇぇぇぇぇ』で白い鳥のところに行ったときはポータルを使わなかったんだよねぇ・・・。」小さな動物が思いついたように言う。
「・・・うん、でも偶然それと同時にポータルが出現しちゃった可能性があるのよね・・・。」
「なるほど。」小さな動物はまた考え込む。
「そう言えば、あの時おじさんが『めえぇぇぇぇぇ』はニワトリの鳴き声に似ているとか周波数がどうとか言っていたよね・・・。」僕が思い出したことを言ってみた。
「確かに言ったのう・・・。」おじさんが言う。
「ふぅ~ん・・・。」また小さな動物が考え込む。
分かっていることは、そこのラプトルの洞窟の波動はめちゃくちゃだということ。
たぶんあのぐるぐる回転のポータルと同じような状態のはずだ。
しかし、弾き飛ばされもせずにラプトルが捕らわれたままのようだ。
「分からない。」小さな動物が頭を抱える。
「ダイブしちゃう?」ユニヴァが言った。
僕はブルッと寒気を感じた。
「そう言うのを、ミイラ取りがミイラになるって言うんじゃないの?」クーさんが言う。
「それじゃ、アタシ達行ってみるから、ミイラになっちゃったら何とかしてね!」ユニヴァは小さな動物とおじさんに軽く言った。
「ちょっとぉお!!」僕とクーさんが慌てた。
んなことはよそに、巨大真珠は旧型巨大真珠を残して、ラプトルの洞窟に再度進入した。
「ユニヴァ!」スピーカーに小さな動物の声が届いた。
「いきなり入るのは危険だよ・・・。」小さな動物が言う。
「アタシもそんなに間抜けじゃないのよ!」ユニヴァは短く答えて、巨大真珠をさらに進めた。
僕らは直ぐにあの光が見える洞窟の奥まで来た。
巨大真珠は下から反射してくる強烈な光の前で停止した。
「ユニヴァ。」僕が言った。
「どうする気だ?」クーさんが言う。
「『めえぇぇぇぇぇ』で行くわ!」ユニヴァが静かに言う。
ユニヴァは椅子の下からキャンディーの袋を取り出す。
僕とクーさんにもキャンディーを勧めたが、二人とも断った。
甘い香りが漂う。
しばらくすると、ユニヴァは大きく深呼吸をした。
「ピーちゃん、運転任せるわね。」ユニヴァは前方を見たままそう言った。
「クーちゃん、何があっても声を出さないで!」
クーさんは小さく答えた。
「めえぇぇぇぇぇ~~~~~~・・・」ユニヴァの声が響く。
僕は巨大真珠を前進させる。
そして、垂直に下降する穴へとゆっくりと降りていく。
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【2019/01/30 15:58】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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