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ちゅら星(145)
「ダチョウみたいなのが多いな。」眼下を見下ろしてクーさんが言う。
「やっぱり、あの岩山の向こうじゃない?」ユニヴァはそう言うと、高度を上げてスピードアップした。
岩山を超えるとまた広い平原が現れたのだが、今までとは少し様子が違っている。
スケールが違う。
やたら大きい森、植物の一つ一つが数倍大きいのだ。
「見て!」ユニヴァが上空を仰ぐ。
「わぁ!翼竜だ。」
「何でもいるな。」クーさんが嬉しそうに言う。
「わぁああ!」
翼竜の大群が巨大真珠の脇をすり抜けていく。
「ユニヴァ!カモフラージュにした方が・・・。」僕が言う。
ユニヴァはカモフラージュのボタンに触れた。
眼下の巨大な森からは一斉に鳥たちが飛びたった。
「今!・・・聞こえた?」ユニヴァが僕を見た。
「おおっ、来たな・・・。」クーさんも僕を見た。
ドゥンっ!
重低音の地響きだ、これがティラノサウルスの足音なのか?
「アレだ!見ろっ!」クーさんが後ろ方向を指さした。
森が振るえた!
あれがティラノサウルスなのだろうか?
巨大な森をかき分けるように、大きな顔が現れた。
翼こそ無いが羽毛に覆われたその姿は、まるで巨大鳥のようだ。
「なんか思ってたのと違うけど・・・。」ユニヴァが言う。
「でも、ティラノサウルス以外にあんなにデカいのがいるか?」クーさんが言う。
いずれにしても、今僕らはすごいものを見ている。
ユニヴァが巨大真珠をティラノサウルスへ接近させる。
「ユニヴァ!」
「カモフラージュしてあるから大丈夫よ。」
「すごい目だなぁ。」クーさんがティラノサウルスの瞳を間近で見つめる。
「うわぁ!」
ティラノサウルスの大きな顔がこちらを向いた。
「ユニヴァ!少し下がろう。」僕が言う。
「くわぁ~っ!すごい歯だなぁ。」クーさんが食い入るように見る。
ティラノサウルスはまた歩き出した。
巨大真珠は少し上昇して、ティラノサウルスが森へと姿を消すのを見守った。
「それにしても、この森がすごいね。」ティラノサウルスを見送って僕が言う。
「こんな大きい木見たこともない。」
高度を落として巨大真珠は森の中に入った。
直ぐ先に小川が見える。
植物は大小どれもシダ類が多く目につき、いかにも恐竜の生息地だ。
巨大真珠は川に沿って進む。
同じような景色が続いて、距離感も地理感も奪われたように感じる。
「ホワイトノイズが聞こえない?」僕が言う。
「・・・。」
「滝よ、滝の音・・・。」ユニヴァが言う。
ホワイトノイズは次第によく聞こえるようになってきた。
確かにそれは、滝の音だ。
「すごい!」
目の前に現れたのは、幅10メーター以上はある雄大な滝だ。
僕らはしばらく滝をただ眺めた。
キラキラと揺れる日差しに、虹が架かっている。
「ありそう・・・。」ユニヴァがつぶやく。
「何が?」僕とクーさんが言う。
「この裏に・・・何かね・・・。」
ユニヴァは滝を見つめたまま、ニヤリと笑った。
ユニヴァは巨大真珠をゆっくりと滝の右端の方へ近づけてゆく。
「ここ、行けそう。」そう言うと、滝の直ぐ脇のシダの茂みの中へと突入した。
ユニヴァが言うとおり、茂みの先には滝の裏に続く空洞があった。
滝の裏の広々とした空間で、僕らは巨大真珠を出てマイナスイオンを堪能してみた。
ウーンと伸びをしたユニヴァが言った。
「ほら見てよ!」
僕とクーさんは洞窟の天井を見上げた。
僕らの頭上には、薄黒い渦がゆっくりと回転している。
「ねっ!」ユニヴァが言った。
そして、ユニヴァはそそくさと巨大真珠を出して乗り込んだ。
僕とクーさんもマイナスイオンそこそこに巨大真珠に戻った。
巨大真珠は天井めがけて上昇した。
次の瞬間僕らは広い草原にいた。
見渡す限りの草原だ。
「おっ?狐だ!」クーさんが言う。
小動物が駆け抜けていった。
「あの狐みたいなのは・・・。」僕が言いかけた。
「そうだ!土星の掃除機に吸い込まれていたヤツにそっくりだ。」クーさんが僕を見た。
僕はクーさんに頷いた。
「あ、またいた!・・・あっちにも。」
「あんなのも古代生物の仲間なのかしらね・・・?」ユニヴァがつぶやく。
見渡す限りの草原には、巨大恐竜の姿はない。
シダ類の森も見えない。
「座標でさっきのところに戻ろうか?」ユニヴァが言った。
「ところで、ここは?・・・」クーさんが座標を確認する。
「・・・。」
「どうしたのよ?」ユニヴァが言う。
「圏外だ。」
僕はふと空を見上げてみた。
「あれは、青い太陽・・・。」
「まさか・・・。」クーさんが僕を見た。
「来ちゃたのかな?・・・白い鳥のところに!」ユニヴァが言う。
白い鳥の惑星かどうかは今のところ分からないのだが、あのLUME星の様な青い太陽があの時と同じように輝いている。
そして僕らは圏外のここからは、そう簡単に帰れないと言うことも知っている。
「白い鳥いないかなぁ?」ユニヴァが巨大真珠の高度を上げながら言う。
上昇すると遠くに希望の海が見えてきた。
「海だ!」クーさんが言う。
もしここがあの白い鳥の惑星なら、あの海があの時の海の可能性もある。
だとしたら、モコモコ雲に乗ったあの・・・
僕がそう思うか思わないかのうちに、ユニヴァは海に向かって巨大真珠をぶっ飛ばした。
「このスピード・・・マックスじゃね?」クーさんは腕を組んでシートの背にもたれた。
海のキラキラが迫ってくる。
ユニヴァは急激に減速した。
「ここじゃないわ・・・。」
あの時は黄色い花が咲き乱れていたのが印象的だったが、そこには潮の引いた黒っぽい砂利の海岸が広がっていた。
「他の海岸を探してみようよ。」クーさんが言う。
「そうね・・・。」力なくユニヴァが言う。
「ユニヴァ!見て。」僕が言った。
直ぐ先の潮だまりに怪しい渦が巻いている。
「あれは、ポータルっぽいわね・・・。」
巨大真珠は潮だまりに近づく。
「ちょっ・・・」
ユニヴァは僕が止める隙も与えず、その渦巻きの中に飛び込んだ。
「何処だよ、ここは!」クーさんが半分怒って言う。
「・・・辺鄙な宇宙域の・・・小さな惑星の地中みたいね・・・。」ユニヴァが座標を見て無機質に答える。
クーさんが大きくため息をついた。
「でも、座標が表示されてるんだから・・・。」
ユニヴァはそう言うと、せっせと新たな座標を設定した。
僕らは5カ所の中継地点を経て、またタイタンへと戻ってきた。
「いたね!ずいぶん探したよ。」小さな動物の声だ。
気がつくと直ぐそばに、小さな動物と白シャツのおじさんを乗せた旧型の巨大真珠がいた。
「どうしたのよ?」ユニヴァが言う。
「ピーちゃんから困っちゃったテレパシーが発進されてたようなんでね・・・来てみた。」小さな動物が僕を見た。
どうやらさっき僕が(状況はさらに混乱しています・・・。)と心の中でつぶやいたことが、届いてしまったようだ。
「君らを探してなぁ、さっき土星を見てきたんじゃがのう・・・あの草原も整地が始まっていたから、もう掃除機の作業は終わってしまったようじゃなぁ・・・。」
「えぇっ!」僕とクーさんが同時に言う。
「大丈夫よ、いいポータル見つけてあるから!」ユニヴァが言う。
たしかに、滝の裏のポータルの先が白い鳥のところならばだ。
その時突然木々が大きく揺れた。
「何っ?」
僕らの巨大真珠と、旧型の巨大真珠の間に大きな首が現れたのだ。
「ティプロドクスだ・・・。」小さな動物がつぶやく。
「詳しいわねっ。」ユニヴァが言う。
「巨大な草食恐竜だよ・・・。」
ティプロドクスが巨大真珠に気がついて、不思議そうに見ている。
すると小さな動物が突然奇声を発した。
「:@%#&#((~|$‘))?*#??」
ティプロドクスは不思議そうに目玉を小さな動物たちの旧型巨大真珠に向けた。
「どこかで困っているニワトリを知らないかい?って訊いてみた。」小さな動物が言う。
「はぁ?」同時に僕らが言う。
突然ティプロドクスが声を発した。
比較的小さな声だ。
「くぅぅぅぅぅう~・・・くぅっくぅっくぅう~ん・・・」
「何だって?」ユニヴァが小さな動物に訊く。
「うん、小さなラプトルの鳴き声がする洞窟があるんだそうだ。」
「何よそれ?」不満そうにユニヴァが言う。
「あの小山の向こうだって。」
「アタシ達が探してるのはニワトリだって言うのに・・・。」ユニヴァが言う。
「とにかく行こう!」小さな動物が言う。
僕らは半ば半強制的に小さな動物に従った。
「小さいくせに生意気なヤツよねっ!」ユニヴァは不満そうに巨大真珠を起動した。

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【2018/12/16 14:26】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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