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ちゅら星(143)
しばらくして、僕らはそば屋の中庭に通された。
井戸をのぞき込むと、怪しく黒々と光る渦がうごめいている。
「では、お先に!」モコモコ雲に乗った二人が井戸の中に消えていった。
「んじゃ、行くわよ。」ユニヴァが言って、僕らの巨大真珠も井戸に入った。
またも予想外の光景だ。
宇宙空間だ。
目の前には青く輝く巨大な星が迫っている。
「この星の軌道に乗っちゃってるみたいね・・・。」ユニヴァが言う。
2羽の乗ったモコモコ雲はキラキラした霧状の物に包まれている。
「あいつら、宇宙空間でも大丈夫なのかな?」クーさんが言う。
ゆっくりと巨大な星の周りを移動しているのが分かる。
「あれ?・・・あいつらは?」クーさんが言う。
さっきまで巨大真珠の少し先を進んでいたはずなのだが、忽然と消えてしまった。
「ああっ、あそこだ!」僕が見つけて言う。
「って、ここ何処だ?」クーさんが言う。
真っ暗で何も見えない。
でも先ほどの宇宙空間とは違うようだ。
「ぎゃぁああ!」
何か白い物が巨大真珠を舐めるように通り過ぎていった。
「うわっ!」
「タコだ!」
巨大真珠のウィンドウにタコの八本の足がしがみついた。
「ここ、海底なんじゃない?」ユニヴァが言う。
「わぁああ!」
今度は何か光る物が寄ってきた。
「きょ、巨大くらげじゃぁぁああっっ!」おじさんが叫んだ。
「・・・雲でしょ。」ユニヴァが冷静に答えた。
光る霞をまとったモコモコの雲だ。
青いクチバシがついて来るようにと合図すると、モコモコ雲はゆっくりと浮上し始めた。
しばらくすると真っ暗だった水中の景色が、少し青みを帯びてきた。
「ああサメだ。」
薄暗い中でも少し周りが見えるようになってきた。
モコモコ雲は光る霞のせいで、いい目印になる。
「あれじゃイカかクラゲに間違われて食われちゃうぞ。」クーさんが言う。
しかし一切の脅威も寄せ付ける様子もなく、モコモコ雲は浮上していく。
「うわぁあ!」
それに比べ巨大真珠は水中が明るくなるにつれて、魚が次々と突き回してくる。
「カモフラージュしちゃった方がいい?」ユニヴァが訊く。
「ミラージュしてみれば?」僕が言う。
瞬間、巨大真珠に寄りついていた魚たちが散り散り退散していった。
鏡に映った自分の姿に驚いたのだろう。
見上げると、モコモコ雲を包む霞は海上の陽光に七色に輝き幻想的な光景を醸し出していた。
そしてやっと、真っ青な空のもとに出た。
巨大真珠が近づくと、モコモコ雲はまた進み出した。
「島一つ見えないわね。」ユニヴァが言う。
「どこも海は同じなのかねぇ~?」クーさんが暢気に言う。
確かに、もう何処の宇宙の何処の星なのかさえ見当がつかなくなっている。
しばらく行くと、島らしき物が見えてきた。
「何だ?・・・あの水しぶき?」僕が言った。
「魚か?」おじさんが言う?
「イルカじゃないか?」クーさんが言う。
「・・・あの鳥達?」ユニヴァが言った。
モコモコ雲が姿をくらました。
そして巨大真珠は再び海中に入ってみる。
「いたぞ!」
クーさんが言った瞬間にキラキラ雲は見えなくなった。
浅い海底の白い砂がぐるぐると渦を巻いている。
「これ、ポータルなのね・・・きっと。」
巨大真珠は砂の中に飛び込んだ。
「何処の海も同じじゃないようね・・・。」ユニヴァが言った。
僕らは海を眺める岩場の上に浮かんでいた。
その岩は虹色の光沢を放つ金属質で、さらに寄せる波は水銀のような不透明な銀色をしている。
「こんな景色は初めてじゃよ。」おじさんが言う。
僕らはモコモコ雲のことも忘れて景色を眺めた。
コツンっ、コツンっ!
青いクチバシが巨大真珠の壁面を突いていた。
「ちゃんとついて来て!」
僕らはお叱りを受けて、モコモコ雲の後に従った。
所々に見える植物は、まるでビニール細工のような輝く透明色を彩っている。
「たまに来るにはいいところだなぁ。」クーさんが言う。
「うん・・・、住みたくはないね。」僕が言った。
しばらく行くと、前方に真っ黒の塊が見えてきた。
モコモコ雲はそちらに向かっている。
「なんか気持ち悪いな。」クーさんが言う。
「あれは、森なんじゃろうなぁ・・・。」おじさんが言う。
よく見ると、炭でできているような真っ黒な木々が密集しているのがわかる。
モコモコ雲は、次第に迫ってくる黒い森に吸い込まれるように入って行く。
鬱蒼としたでは言い切れないほど、重く暗い森だ。
「今、今、見たか?」クーさんが声を上げた。
「何よ?」
「小さい・・・何かだよ。」
僕らは辺りに目をこらした。
黒い木の陰で、何か動いた気がした。
「帽子!」
「ああ、今帽子が見えたね。」
緑のとんがり帽子だ。
でも結局、それがどんな生き物だったのかは見ることはできなかった。
「この森、絶対にお姫様とか眠ってるはずよ?」ユニヴァが言った。
「ユニヴァ、また来るから座標メモっといて!」クーさんが慌てて言う。
「ダメよ、ここ圏外だもの。」
クーさんがガクリと首を垂れた。
「でも、ルートはメモってるから・・・また来れないこともないけどっ。」
クーさんの目に光が戻った。
「見てよ、あれ。」
ユニヴァが言う方を見ると、そこには蛍光ピンクを放つ池があった。
漆黒の森に、なんと鮮やかな景色だ。
「ああ、紫のもあるぞ。」
少し先には、またもカラフルな池だ。
この紫の池は、少し黒が混ざってマーブリング状の模様が美しい。
モコモコ雲は、漆黒の森をさらにさらに奥へと進んでいく。
バサバッ!
「カラスじゃ?」
梢で黒い鳥が飛び立った。
カラスと言うよりは、モコモコ雲の2羽を真っ黒にしたような鳥だ。
「また池だよ!」
今度の池は緑色だ。
そして、モコモコ雲はそこで静止している。
「じゃあ、ここだから。」黄色いクチバシが言った。
緑色の池は、濃淡の違う緑色がぐるぐるとマーブル模様を作って渦を巻いている。
「ありがとう、助かったわ。」ユニヴァが言った。
すると、モコモコ雲はさらに森の奥へと進んでいく。
「何処に行くのよ?」
「帰るに決まってるだろ。」青いクチバシが言う。
「この先に帰り道のショートカットがあるからぁ。」黄色いクチバシが言う。
そう言って、モコモコ雲は足早に森の奥へと去って行く。
「じゃあ、アタシ達も帰ろう。」
ユニヴァがそう言って、僕らの巨大真珠は緑の池にダイブした。

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【2018/08/24 16:22】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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