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ちゅら星(140)
「おかしいわね?」ユニヴァがつぶやく。
「弾かれたんじゃないか?」しばらくしてクーさんが言った。
「弾かれた?」僕が聞き返す。
洞窟の壁には、枯れた草木や砂利と何かの破片やガラクタがへばりついている。
このガラクタ達も、弾かれた物なのかも知れない。
「座標を出したわ。」ユニヴァが言った。
どうやら僕らは、土星の比較的浅い地中にいることが分った。
そして次の瞬間、ユニヴァはワープして巨大真珠は地上へと抜け出した。
「ここ、さっきの草原からは、ほぼ土星の裏側よ。」
辺りには積み上げられた赤茶色の巨大な土山がいくつもある。
ここも開発中のようだ。
「変なところね、土星って・・・。」ユニヴァが言った。
「ニワトリかぁ・・・。」クーさんがため息をつく。
僕はふと、マスターの言葉を思い出した。
「さっきポータルに入ったとき、巨大真珠が制御不能になって回転したよね・・・」
ユニヴァがそう言う僕を見た。
「マスターは、故意的に回転が不安定にされているポータルからニワトリを救い出してほしいと言っていたと思うんだけど・・・。」
ユニヴァの目がキラと光った。
「ああそうだ、そして救出するニワトリは一羽だったはずだよ。うん。」クーさんが頷いた。
「ポータルに入ったニワトリの仲間から、弾かれた一羽がいるってことね!」ユニヴァが低い声でささやいた。
僕はユニヴァに頷いた。
「弾かれましょ!今度はニワトリを集めるポータルに入って・・・。」ユニヴァはそう言って、巨大真珠を起動した。
僕らは再びあの開発中の草原に降りた。
「来たわ、あの音。」
静かな機械音が近づいてくる。
そして、草や砂利が激しく吸い込まれる音がして・・・。
「わぁあ!」
「ふぅっ、何度も来たくはない場所よね。」ユニヴァがため息とともに言った。
僕らは暗闇を流れのままに進む。
「んで、ここからどうするつもり?」クーさんが言った。
「ふぅん。」おじさんもそれに頷く。
「ニワトリが入って行くポータルを待つのよ。」ユニヴァが当然のように言う。
クーさんの深いため息が聞こえた。
「だいたいニワトリの鳴き声さえ聞こえもしないよ。」僕も思わず不平を漏らした。
「ここで卵が採れぬようになってからは、だいぶたつからのう・・・もうニワトリは一羽も残っておらんかも知れんぞぉ。」おじさんの声が言う。
ユニヴァは黙っている。
しばらくそのまま時間がたった。
巨大真珠は暗闇をゆっくりと流されていく。
獣の声が聞こえている。・・・。
「次のが出たら・・・入るっ。」ユニヴァが決断するようにつぶやいた。
けれどもその後、なかなかポータルは現れなかった。
獣の声も、まばらだ。
「また、この土星のどこかに飛ばされるのかなぁ?」クーさんが言う。
誰も答える様子もない。
「ってことは、ニワトリは土星のどこかにいるってことかなぁ?」またクーさんが言う。
「でも、マスターはキャニオンドームのポータルだと言っていたよ・・・。」僕が言う。
それにしても、いつまでたってもポータルは現れない。
「一度、外に出ないか?ワープで・・・。」クーさんが完全に飽きてきた。
「ここではワープは無理よ、磁場が不安定だから・・・。」ユニヴァがきっぱり言う。
それから無言の時間がだいぶたった。
それでもポータルは現れない。
「そうだユニヴァ!」クーさんが突然声を上げた。
「何よ。」面倒そうにユニヴァが言う。
「ユニヴァの『めえぇぇぇぇぇ』っていうのが使えないかな?」
面倒そうにユニヴァが僕を見る。
僕もクーさんの意見に、いいねと思った。
やる気になったのか、しばらくしてユニヴァが咳払いをした。
「ニワトリが捕らわれている場所を、イメージすればいいのかしら?」
そう言われてみれば『めぇぇぇぇ~』の方法では、行く先をイメージしなければならない。
しかし、ニワトリが捕らわれている場所がいったいどんなところなのかよく分らないのだ。
「上手くイメージできないと、どうなっちゃうのかな?」クーさんが言う。
「失敗したらどうなるかなんて、女神に訊いたことないけど・・・。」
僕らが敗北感を味わっている間にも、ポータルは姿を見せない。
また沈黙の時間が過ぎた。
「はぁあん?」今度はおじさんの変な声が沈黙を破った。
「その『めえぇぇぇ』じゃがな、振動数っつーか、周波数を使った移動方法じゃろう?」
「そうよ。」
「ちょっと似てやせんか?」
「・・・。」
「何に?」クーさんが率直に聞き返す。
「ニワトリの鳴き声にじゃ。」
「どこが?」ユニヴァも率直に聞き返す。
「『めぇぇぇぇ~』じゃろ?『けぇ~っけっけっ~』・・・うん、なっ?」
「・・・。」
「まぁ、ちょっとは・・・。」フォローするように僕が言う。
「・・・。」
「で、似てるから何だって言うのよ。」ユニヴァが言う。
「ああそうじゃ!ポータルに入って直ぐに、ニワトリは『けぇ~っけっけっ~』と鳴いたわけじゃ。」
「巨大真珠が制御不能で回転した、あの時だね・・・。」僕が言う。
「たぶんあそこは、三次元から離れたかなり不安定な場所よ。」ユニヴァが言う。
「そうか、そこで『めえぇぇぇぇ』ならず『けぇ~っけっけっ~』をやったら・・・。」とクーさん。
「とんでもない場所に、飛ぶかも・・・。」ユニヴァが神妙に言う。
「ユニヴァ・・・、ニワトリの真似できる?」僕が神妙にユニヴァに訊いた。
ユニヴァは僕の言葉を断ち切るように、目をそらした。
「『めえぇぇぇ』でやってみる。」ユニヴァは静かに言った。
「イメージする場所はどうする?」クーさんが言う。
「イメージ無しよ!」
一か八かと決め込んで、僕らはまたポータルを待った。

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【2018/04/21 14:55】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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