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ちゅら星(139)
それから僕らは巨大真珠でステーションの外に出てみることにした。
ユニヴァはキラキラの草原をなめるように低空飛行して行く。
「ここももうすぐ無くなるって、どういうことなの?」僕が訊く。
「人工的な施設で埋め尽くされる・・・人々はその中で山に登ったり、海水浴をしたりする。」
「どうして自然のままを楽しまないの?」ユニヴァが言う。
「衛生的で安全な世界が好まれた挙げ句の果て、そうなっていったんじゃよ。」
「ふぅん・・・。」
しばらく草原を進んでいくと、次第に木々の姿が目立ってきた。
「あれっ?今鳥が飛び立った・・・。」クーさんが言った。
「ほらっ!」
木から木へと青い蛍光色の群れが一気に羽ばたいた。
「ニワトリもいるのかしらね?」ユニヴァが言う。
巨大真珠は高度を上げて、林の上をさらに進んで行く。
あちこちに鳥の群れが確認できる。
「ちょっと、あれ何?」ユニヴァが言う。
広大な草原を遮るように薄い膜のようなものが張ってあるのが見える。
「作業中 立ち入り禁止と書いてあるな。」おじさんが薄い膜にプリントされた文字を読む。
「もう開発が進んでいるんだな。」クーさんが言う。
薄い膜は地面から木の梢の上までに達する高さで張られて、端は見当もつかないほど向こうまで続いている。
「ちょっと見てみるわ。」ユニヴァはそう言うと、一気に巨大真珠を上昇させた。
すると眼下がどんどん広がって、広大な立ち入り禁止地区が見渡せた。
「そ、掃除機か?」クーさんが声を上げた。
巨大なラッパのようなものが、まるで絨毯に掃除機をかけるように進んでいく。
「うん、吸い取ってるね!」僕はモニターの拡大画像を見つめて言う。
「きゃー!今大きな鳥が吸い込まれたっ。」ユニヴァが叫ぶ。
「見ろ!あの狐みたいなの。」クーさんが言う。
小動物が必死に逃げようとしているが、吸引力が強くて前に進むことができないでいる。
「あああっ!」
むなしい空気が巨大真珠を満たした。
「どこに集めているのかのう?」おじさんが言う。
巨大掃除機の後部には例の黒い水面の様なものが揺れている。
すると巨大真珠が下降し始めた。
「ユニヴァ!まさか・・・。」僕とクーさんは同時に叫んだ。
ユニヴァは答える気も無く、巨大真珠は立ち入り禁止エリアの草原へと急降下して行く。
「なるほど、吸い込まれちゃうんじゃな。」おじさんがのんきに言う。
草原に降りると、ユニヴァは草むらに隠れるようにして巨大真珠を滑らせていく。
「ああ、あの音だわ。」ユニヴァは静かに言う。
ウーンという、大きさに似合わず割と静かな音が聞こえている。
バサバサと草が激しく揺れる音がしてきた。
そしてさらに、ガシャガシャと草や砂利の激しい衝突音。
そして・・・「っわ!」
真っ暗で何も見えない。
すごい鳥の鳴き声だ。
遠くで動物の遠吠えも聞こえる。
「何だかゆっくりとどこかへ運ばれている気がする。」ユニヴァが言う。
それからしばらく真っ暗闇が続いた。
次第に鳥の声が少なくなっていった。
唸るような動物の声が聞こえている。
「見てあそこ!」ユニヴァが言う。
見ると、うっすらと白い光が見えてきた。
「出口かな?」クーさんが言う。
するとその光は次第に白く明るくなっていき、と同時に渦を巻いて回転しているのが分った。
「ポータルだ。」
突然現れたポータルに次々と動物たちが吸い込まれていく。
「どこに抜けるのかしら?」好奇心満々のユニヴァが言う。
「ユニヴァ!」また僕とクーさんが同時に言った。
「おおっ、今度はこっちじゃ。」おじさんが言う。
また新たなポータルが出現した。
「うわっ、そこにもじゃ。」
また違うポータルが現れた。
気がつくと最初に現れたポータルはもう閉じかけている。
「まるで動物たちのダストシュートね・・・。」ユニヴァがつぶやいた。
「おや?」僕がつぶやく。
ポータルに吸い込まれていく動物たちを見ていると、一つのポータルに入って行くのは一定の種類ばかりのようだ。
「ほら、あそこは白い鳥とウサギのようなのばかり入って行く。」
「本当だ、あそこは狐と狸ばかり行く。」
「今度のところは小さなハチドリみたいなのばっかね。」
その間にも新しいポータルは次々と現れ、また別のものは消えていく。
そこで僕らは、ニワトリが吸い込まれるポータルを待つことにした。
その後ポータルはぱったりと現れなくなり、しばらくして一つ二つ現れ、そして消えていった。
長い時間、暗闇の中にいる。
「だいたいこの暗闇の中に、ニワトリなんているのかしらね?」飽きてきたユニヴァが言う。
「それより、ここからどうやって抜け出すんだ?」クーさんが言う。
「適当なポータルに入るしかないわね。」
「・・・。」
それからまただいぶ時間がたった。
ポータルはたまにしか現れないし、ニワトリの姿も未だ見えない。
「次のポータルで、もう出ましょう。」しびれを切らしてユニヴァが言った。
「でも、どこに行き着くかも分らないのに?」僕が言う。
ユニヴァはなにも答えず、また長い暗闇の時間が続いた。
「来たわ!」
うっすらと、白いもやのような光が見えてきた。
ユニヴァは巨大真珠を光の方向に、ゆっくりと移動させていく。
光は渦を巻いて輝きを増している。
クーさんのため息が聞こえた。
僕らより先に、犬のような動物が数匹吸い込まれていった。
そして巨大真珠もそれに続いた。
「わぁぁ・・・。」
「ああっ!なんで回転してるの?」ユニヴァの声がする。
「あれっ、制御できないぞ!」クーさんの声。
巨大真珠はなぜか制御不能で、回転している状態だ。
「わあっ!」
瞬間、強い引力を感じた。
ポータルか何かに引き込まれたようだ。
「ふぅっ。」
巨大真珠の回転が止まった。
「どこよ、ここ?」ユニヴァが言う。
「洞窟のようじゃなぁ・・・。」おじさんが言う。
また、クーさんのため息が聞こえた。
「それより、他の動物たちはどうしたんだろう?」僕が言った。
鳴き声も、姿も見えない。
狭い洞窟に到着したのは、巨大真珠だけのようだ。

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【2018/03/14 15:28】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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