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ちゅら星(138)
巨大真珠はちゅら星の大気圏を出ると、直ぐに土星付近にワープした。
「北半球側に行くといい。」おじさんが言った。
ユニヴァはドーナツの輪を避けて、北極付近からゆっくり旋回しながら土星の大気圏に入っていく。
「この辺りはいい天気じゃないのよ。」ユニヴァが深緑色の大海原の上空を滑るように進む。
「ああ、大嵐はいつだって赤道付近だ。航海時代は苦労しただろうよ。」おじさんが言う。
眼下に大陸が現れた。
「どの辺がいいの?」ユニヴァが言う。
「青い光が見えるかな?」おじさんは窓から下をのぞき見て言う。
「あれかしら?」
確かに青色の光が点滅しているのが見える。
「ああそうじゃ、あそこに入り口がある?」
「入り口?」クーさんが言う。
「土星の人達って地下に住んでいるの?」僕が言う。
巨大真珠は一気に下降していく。
点滅する青いライトが示す場所は、水面の様に黒くメロウに揺れている。
ユニヴァは躊躇もせずに黒い水面に突っ込んだ。
「あれ?」
「進んでるじゃろ、土星!」おじさんが自慢げに言った。
僕らは巨大なステーションの船着き場のような場所にいた。
「昔はこの辺りは広大な牧場だったんじゃが、テクノロジーが進んでこんな具合じゃ。」
巨大真珠は吸い込まれるように通路に入ると、自動的に進んで行く。
巨大な掲示板に地図のようなものが現れた。
地図には記号がいくつかついている。
「行き先を聞かれてるみたい?」ユニヴァが言う。
「うん、ええと・・・。」
「ニワトリがいそうなところに行こう。」僕が言う。
「ふぅん・・・。」
そう言っておじさんが掲示板に手を差し出すと、光の掲示板がぐぅーんと近寄って来て、巨大真珠の中まで進入してきた。
おじさんは左中央にある緑色の記号を指さした。
巨大真珠は左手側に進み出した。
「このまま自動で連れて行ってくれるのかしら?」ユニヴァが肘掛けにもたれて言う。
「おおっ?またあれだ。」進行方向に向かっていたクーさんが言う。
巨大真珠は背中合わせに4人全員が正面を向いているので、モニターを見ない時はそれぞれが別方向を見ることになる。
クーさん側の景色を見ると、先ほどの黒い水面のようなものが、今度は垂直になって壁のように近づいていた。
「うわぁぁぁぁ~。」クーさんの叫びとともに、巨大真珠は水面のような壁に突入した。
そこはステーションの続きのようだが、先ほどのものに比べるとだいぶこぢんまりとしている。
一面ガラス張りのドームで、外の景色が一望に見渡せる。
ここは、金色に揺れる草原のど真ん中だ。
直ぐ先に弱々しい細い木が、風に葉をキラキラと揺らしている。
「キレイね。」ユニヴァが光り輝く草原を見て言う。
巨大真珠は通路の先まで来ると、押し出されるようにしてドームの中央の空間に放出された。
「下がロビーだ。」おじさんが言う。
下降していくと、賑やかな店舗がいくつか見えてきた。
ユニヴァは巨大真珠を広場に着地させた。
そして巨大真珠をしまうと、当然のように目の前のカフェに入っていった。
「あれ?ドーナツあるじゃないの。」メニューを見てユニヴァが言う。
「卵の代用品を使ってるんじゃよ。」
「これ、コーヒーでしょ?」コーヒーらしき飲み物をさしてクーさんが訊く。
「おうっ、最高のコーヒーじゃよ!土星に来たら『土星Black』を飲まんとな。」
おじさんの言葉に、全員が『土星Black』を注文した。
直ぐに銀色のカップが4つ運ばれてきた。
『土星Black』と言うだけあって、色は茶色と言うより真っ黒だ。
「うん。」相当苦いのかと思ったのだが、まろやかでこくがある。
「確かに最高のコーヒーだね。」クーさんが満足そうに言う。
「しかし、今じゃこの『土星Black』もレプリケイターで作られたものじゃからな・・・なんとも味気ない。」おじさんはそう言って『土星Black』をすする。
「コーヒー豆も採れなくなったっていうの?」ユニヴァがどうでも良さそうに言う。
「あ~あ、何もかもじゃよ。何でもレプリケイターの時代じゃ。」おじさんは鼻で笑った。
「こんなに広大な土地があるって言うのに?」クーさんが言う。
「ここが最後の楽園じゃ・・・と言っても、ここももうすぐ無くなるんじゃ。」おじさんは淋しげに草原を眺めた。
「動物たちは?」僕はニワトリのことも気になって訊いた。
「いることはいる、広大な動物ランドもある、ただ全てはコントールされているからのう・・・。」
「土星って、こんなテクノテクノなところだとは思わなかったわ。」ユニヴァが言う。
「旅をする気持ちが分るじゃろう・・・。」
僕らは無言で相づちを打った。

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【2018/02/02 16:16】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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