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ちゅら星(136)
52.ニワトリ
それからしばらく、僕はレモン星での平穏な日々を過ごしていた。
しかし迎えは直ぐにやって来た。
「行くわよ~!」ユニヴァの声だ。
玄関先を見ると、ユニヴァが大きな鳥かごをガシャガシャと振って見せた。
そう言えばあの時、マスターからニワトリ救出の依頼を受けたのだ。
僕も慣れたもので、数分で用意をするとユニヴァの巨大真珠に乗り込んだ。
到着したキャニオンドームでは、すでにクーさんが僕らを待っていた。
「例のあれ用意できた?」ユニヴァがクーさんに言う。
「ああ、お安いご用!」クーさんはそう言って、乗ってきた小型巨大真珠を親指で指した。
「例のあれって?」僕は不審げにユニヴァに訊いた。
「ニワトリの餌!」
「トウモロコシと雑穀・・・そんなのでいいだろ?」クーさんが言う。
「OKよ。」
クーさんは餌ごと巨大真珠を縮小させると、ポケットに放り込んだ。
「それで・・・どうやって探す?」クーさんが言う。
「・・・。」僕もユニヴァも何も言わずに、広大なキャニオンドームを眺めた。
「長い旅になりそうね・・・。」ユニヴァが遠くを見つめたまま言う。
僕はユニヴァを見た。
ユニヴァは黙ったまま遠くを見つめ続けている。
僕はそのままユニヴァの回答を待った。
だいぶ時間がたった。
僕も考えていないわけではないが、このキャニオンドームのどこかにあるポータルの一つを探し出す方法など思い当たらない。
ユニヴァは遠くを見つめ続けている。
クーさんはその場に腰を下ろした。
「無理ね。」ユニヴァが開き直ったように言った。
「えっ・・・?」
「乗って。」ユニヴァは巨大真珠に足をかけた。
僕とクーさんも黙ってそれに従った。
「どうするの?」僕が言う。
「ふぅん・・・灯台にでも行ってお茶する?」ユニヴァはそう言って巨大真珠を発進した。
キャニオンドームからそう遠くもない灯台のドームへは、あっという間に到着した。
海岸にモクモクと煙が上がっている。
大きな男の姿が見えたので、僕らは煙の場所に行ってみることにした。
「おや、いらっしゃい。」僕らに気がついて、大きな男が言った。
僕らは煙が上がっている四角い箱を見つめた。
「燻製を作っているんだ。」
「へぇ。」僕らは同時に言った。
それから煙の箱を残して、僕らと大きな男は灯台の階段を上がって行った。
部屋には誰もいないようだ。
「今、お茶を入れるよ。」大きな男はキッチンの奥に入っていった。
僕らはそれぞれいつもの席に座った。
「あとの二人は?」
ユニヴァがそう言った時、灯台の下の方から二人の声が聞こえてきた。
「ああ、帰ってきた。」大きな男はそう言って、テーブルにティーカップを並べた。
「おおっ、来てたのか?」小さな動物が入って来た。
ピンクの髪は大きな袋を抱えている。
「あんた達、すごいドーナツセンサーつけてんのね!」ピンクの髪は言って、袋をテーブルにドサリと置いた。
ドーナツのいい香りが漂った。
「まだ熱々よ!」
そして、熱々の紅茶もカップに注がれた。
僕らは次々に袋に手を入れて、温かいドーナツを取り出した。
昔ながらのオーソドクッスなヤツだ。
「おっさん達の・・・?」ユニヴァがボソッとつぶやいた。
そうだこの味は、あのドーナツとそっくりな気がする。
「あら、あのおじさん達を知ってるの?」ピンクの髪が言う。
「近くに来てるの?」ユニヴァが訊いた。
「森を抜けた先の古小屋にね、最近住み着いたのよ。」
「ここ数日ドーナツのいい香りがするから、ちょっと見に行ってきたんだ。」小さな動物が言った。
「後で行ってみなきゃ!」ユニヴァは小さく言って、二つめのドーナツを取った。
「それよりユニヴァ、ニワトリはどうするつもりよ?」そう言って、クーさんも二つめを取った。
「・・・う~ん。」
結局ユニヴァはそのまま何も答えなかった。
「美味いね!ドーナツはオールドスタイルに限る。」小さな動物は、小さく刻まれたドーナツの破片をもう一つ取った。
それから僕らは、この前のタイムトラベルの事なんかを話して時間を過ごした。
話が途切れたところでユニヴァが言った。
「さてと、行ってみる?」
「おや?」その時、ユニヴァの声をかき消すように小さな動物が立ち上がった。
「お客さんのようだ。」
ドアの下から、階段に息を切らせる声が聞こえてきた。
「やぁ、こんにちは。」
おじさん達だ。
「なんともいい香りがするんで来てみたんじゃよ。」青いシャツのおじさんが言った。
「海岸のあれじゃな。」もう一人のおじさんの方が言う。
「ええ、燻製を作っているところです。」大きな男はそう言って、おじさん達を迎え入れた。
「元気にしてるじゃない。」ユニヴァがさりげなく声をかける。
「こりゃぁ驚いた。」おじさん達は僕らを見るとなぜか大笑いした。
それから僕らは、おじさん達とのとんでもない場所でのいくつかの出会いについて懐かしく語り合った。
「ところでクーさん?さっきニワトリがどうとか言っていたけど・・・。」小さな動物がティーカップをカタンと置いた。
「今話した白いオオタカからの頼まれごとなのよ。」ユニヴァが答えた。
「ニワトリと言やぁ、卵じゃろう。」おじさんが唐突に話に割り込む。
「卵・・・?」僕とユニヴァとクーさんが同時につぶやいた。
「このまえの星じゃあ、卵が手に入らなくなったんでここにやって来たんじゃよ。」白いシャツのおじさんが言う。
「ドーナツには欠かせんモンでな。」青いシャツの方が言った。
「それ、どこの星なの?」ピンクの髪が訊く。
「あ~あそこよ、ほれあの・・・赤道付近でいつでも大嵐が起きている・・・う~ほれ、なぁ。」青いシャツのおじさんはもう一人の方に話を振ってみた。
「ああ、あれじゃな、うんあれだ。」
僕らはそれぞれに顔を見合わせて、首をかしげた。
「それってもしかして、脇っ腹に大斑点がある・・・。」クーさんが言った。
「ああ!あれね。」ユニヴァも分ったようだ。
「ああ!」小さな動物も閃いたようだ。
僕はまだぴんと来ない。
「うん!何て言ったっけ・・・。」大きな男が言った。
ピンクの髪が眉をひそめて僕を見た。
「ほら、赤い渦の・・・。」ユニヴァがヒントをくれた。
「ああ、ジュピターだ!」僕と同時にピンクの髪も答えた。
皆、手を打ってそれに答えた。
「違うよ、それじゃない!」おじさんの一言で、僕らは一気に静まりかえった。
「いったいどこなのよ!」ユニヴァが疲れたと息を吐いた
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【2017/10/16 16:21】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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