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ちゅら星(132)
「そうだ!」ユニヴァの声がすると、洞窟に明かりが差した。
「コレがあるのを、忘れてたわ。」
ユニヴァは巨大真珠を懐中電灯代りにしたのだ。
洞窟はらせん状で、緩やかな下りのカーブがどこまでも続いている。
内部は奥に進むほど蒸し暑くなっていくように感じる。
それとも、さっきの木の実のせいでそう感じるのかもしれない。
「ちょっとまってよ!」ユニヴァが突然言う。
「あの白いオオワシ、言ったわよね・・・上昇方向って・・・。」
そう言えば、未来の世界へ戻ることをそんな風に言っていた気がした。
「コレって坂道下ってない?」
「まさか、反対側に上り坂があったとか・・・?」
真っ暗な内部におびえてよく見ていなかったことは確かだ。
「でもユニヴァ、洞窟を上に登っていったら地上に出ちゃうんじゃない?」
「・・・、でもここは次元を超えるポータルよ。」
僕らは、仕方なくもう一度入り口まで戻ることにした。
懐中電灯を点けるまでの間は恐る恐る進んでいたおかげで、案外直ぐに入り口に戻ることができた。
「やっぱりね。」
ユニヴァの言うとおり、反対方向へ進めるようになっていた。
そして、今度はゆるい上り坂を僕らは進んでいった。
しばらく進むとすっかり汗も引き、薄暗い空間が心地よく感じられてきた。
「どのくらいかかるのかなぁ。」僕がつぶやく。
「ポータル自体は瞬間移動できても、ポータルまでが遠いんじゃ、ポータルまで行くポータルが必要よね。」
「うん。」僕はどうでも良さそうに答えて、そして歩き続けた。
それから1時間は歩いたと思う。
突然、カーブの先に光るものが見えて息をのんだ。
「ここなの?」ユニヴァが僕の腕をつかむ。
僕らは恐る恐るその先に進んでみた。
強烈な白い光が回転している。
「これがポータル?」ユニヴァが言う。
僕が今まで見たポータルといえば、たいてい黒っぽい渦が巻いたようなものだったはずだ。
あまりに強烈な光で先に進めない。
「なんか怖いよ。」僕が言う。
僕らはしばらく、ただ回転する光を見つめた。
「でも、行かなきゃ。」ユニヴァが言う。
ユニヴァが僕の背中を押すので、すくむ足を一歩前にすりだした。
「あれっ。」
光が少し弱まった。
「ポータル消えちゃったらどうするのよ!」ユニヴァがまた僕の背中を押す。
さらにもう一歩前へ。
「ああ、またっ。」
光がさらに弱くなった。
「これなら行けそうかも・・・。」僕は言って、もう一歩踏み出した。
辺りに洞窟の薄暗さが戻るほど、青っぽい暗い光になった。
「これならいつものポータルっぽいじゃない。」ユニヴァが言う。
そしてユニヴァに押し出されるようにして、僕は一気にポータルの渦に飛び込んだ。
今、ポータルを抜けた先、ここは真っ暗だ。
ユニヴァが懐中電灯を点ける。
「洞窟だぁ。」
今出てきた後ろを振り返ってみると、そこは行き止まりの壁になっていた。
僕らはとにかく進める方向にただ進んだ。
先ほどと同じようなゆるいカーブの続くらせん状の道を、緩やかに登った。
直ぐに進む先に明かりが見えてきたので、ホッとした。
「あれ、ここ?」先に洞窟を出たユニヴァが言う。
「あれ、ここ?」僕も同じことを言った。
白いオオワシに案内された、先ほどと同じ洞窟の入り口だ。
「ほんとに僕らの世界に戻れたのかなぁ?」僕の心に心配が漂った。
「でも大丈夫みたいよ、だってさっき食べた白い木の実の枝なんかも無いし・・・それに何となく散らかった感じ・・・。」
ザザザァーーーァッ。
その時、天井の穴から、砂と枯れ草がなだれ落ちてきた。
「ウワッと、ひでー場所だなぁ。」
枯れ草とともになだれ込んできたのは、どう見てもあのオオワシだ。
「あれ?・・・おめぇらじゃねぇか?」オオワシが僕らを見て言う。
オオワシは体のほこりを払いながら、僕らを見て笑った。
「なんでこの場所にいるんだ・・・。」そして、いぶかしげにオオワシが訊く。
「ポータルを抜けて、過去の世界から帰ってきたのよ。」ユニヴァが自慢げに言う。
オオワシは一瞬驚いたように目を丸くした。
「・・・先祖が昔、未来人を助けたっていう伝説かあってな、ちょうど今日が未来人ってのが帰ってくるその日に当たるんで来てみたんだが、まさか・・・。」
「ユニヴァ、どうやらちゃんと戻ってこれたみたいだね。」僕はユニヴァを見て言った。
ユニヴァも頷いた。
「あの白いオオワシって、アンタのご先祖様なのね。」ユニヴァがオオワシに言う。
「ああっ、会っていくかい?」
オオワシの言葉に僕はびっくりした。
「お礼を言いたいわ。」ユニヴァは驚きもせずに言う。
僕とユニヴァは巨大真珠に飛び乗ると、オオワシの後を追った。
上空に出ると、僕らが白いオオワシに案内された低木の林は姿を消し、ただの岩場が見えるだけになっている。
岩場を超えると、少し先に低木の林があちらこちらに見えてきた。
オオワシはその林の一つめがけて下降していく。
「この奥だ。」地上に降り立つと、オオワシが言った。
僕らは低木の林の中を歩いて進んだ。
あのときと同じような獣道を進むと、あのときと同じような岩場に出た。
そしてオオワシは岩の隙間に入り、その先の洞窟の入り口に立つと、僕らに来るように合図した。
入って直ぐの細い通路を抜けると、明るいリビングがあった。
オレンジ色のソファアに白い三つ編みのあの人がいる。
「無事に帰還できたようだな。」白いオオワシであろうその人は言った。
時間がたっていることが嘘のように、あのときのままだ。
違っていると言えば、今日は鮮やかなブルーに白い幾何学模様の入った服を着ていることくらいだ。
「おかげさまで、感謝するわ。」ユニヴァが言った。
僕が最初怖くて入り口まで戻ったことや、方向を間違えてまた戻ったことなどを報告すると、白いオオワシであろうその人はケラケラと楽しそうに笑った。
それから白いオオワシであろうその人は、白くて甘いお茶を用意してくれた。
オオワシはその人のことをマスターと呼んだ。
「マスターは、その時もコイツらが来ることを知っていたのでしょう?」
「少し前にどこかで次元の扉が開く音がしたからね・・・。」マスターは言った。
「音が・・・?」ユニヴァが不思議そうに訊く。
「微妙な風の変化が、かすかな音になる。」マスターが言う。
白いオオワシであろうこのマスターを目の前にしていると、時が止まったかのような錯覚を覚える。
彼女は広大で、優雅なのだ。
「こうしていると、まだ過去の世界にいるような気分ね・・・。」ユニヴァが言った。
「そうだ!」僕の頭に現実がよぎった。
そうだ、僕は女神に無事を報告しなければならないことを思いだした。
僕とユニヴァは、白いオオワシであろう彼女に改めてお礼に来ることを告げて、居心地のいい洞窟を出た。
そしてオオワシにもお礼を言って、巨大真珠に乗り込んだ。
キャニオンドームを出ると、海に浮かぶいくつものドームは今まで通りポップな色合いを放っていた。
僕とユニヴァは無言のままホッと安堵のため息を漏らした。

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【2017/05/06 14:09】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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