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ちゅら星(130)
ユニヴァは作業机から大きなフズリナを持ってきて、僕の目の前に置いた。
そして、ソファアにもたれて天井を仰いで言う。
「これだけ大きいってことは、遠くまで行けるパワーがあるってことよね?」
僕は大きなフズリナを見つめた。
「でも、今までのフズリナは充電時間がより長いものほどパワーがあったんじゃない?」僕は言った。
「じゃあ大きさにはどんな意味があるのよ。」
ユニヴァにそう質問されても、僕が回答を持ち合わせているわけがない。
しばらく僕もユニヴァも大きなフズリナをただ眺めた。
「わかった!」ユニヴァは思いついたように声を上げた。
「入り口が大きいのよ!惑星ごとポータル抜けられちゃうくらい!」
「なるほど・・・。」僕も少しだけ納得した。
けれども、だとしたら今の僕らにはどうでもいい機能だ。
「とにかく使ってみなきゃ、どこに行く?」ユニヴァが言う。
僕は、安全策をとってちゅら星のどこかにすることを勧めた。
もっと遠くがいいというユニヴァをなんとか説得して、結局は小さい動物たちの灯台を訪ねることにした。
「つまんないの・・・。」ユニヴァは口をとがらせて言うと、大きなフズリナをソファアの後ろの壁に投げつけた。
「・・・。」
壁に開いた渦巻く光の入り口は、今まで見たものと大差ないものだった。
「フズリナの大きさには、意味はないのかもね。」僕が呟いた。
「行きましょ。」ユニヴァもなにげに力なく言うと、ポータルに入って行った。
ポータルを抜けると、おなじみの海岸に出た。
僕は、暖かい潮風を胸一杯に吸い込んだ。
「大・・・変・・・。」ユニヴァが横で呟いた。
「ええっっ、灯台は?」僕も思わず叫んだ。
あるはずの灯台が跡形もなく無いのだ。
「何があったの?」
そういうユニヴァに、僕はただ首を横に振った。
そして、ユニヴァは何も言わずに灯台があるべき岬へと足早に歩き出した。
僕は慌ててユニヴァの後を追う。
よく見ると、海岸を囲む草原もいつもより変に生い茂っているように見える。
海岸の端まで来てみると、灯台に続くはずの階段も無いことが分かった。
ユニヴァは何も言わずにただ進んでいく。
僕らは階段があるはずだった岩場を、手を掛け足を掛け這い上って行く。
「何これ?」頂上に到着したユニヴァのつぶやきが聞こえた。
ユニヴァは灯台があったはずの場所で、大きな岩を目の前にしてたたずんでいた。
大きな岩には、朽ちかけた太い縄がかけられている。
「何だろう・・・これは注連縄みたいだ。」僕が言う。
「シメナワ・・・?」ユニヴァが僕を見た。
「大昔の人がパワースポットを示したものだよ。」
「へぇ。」ユニヴァが小さく言って、岩を見上げた。
強い海風が吹きつける。
「あの人達、いったいどうしちゃったのかしらね・・・。」
僕らは高い岩場からぐるりと辺りを見回してみたが、海と草原が広がるだけだった。
「そうだ!あの洞窟のポータルを通ってミンタカへ行ったんじゃ・・・。」
そういうユニヴァに僕も大きく頷くと、僕らは大急ぎで岩場を降りた。
こんなに遠かったかと思うほど、海岸線が長く感じる。
「どこだったかしら?」
近くまで来てみたが、草が生い茂っていて、入り口の岩の裂け目が見つからない。
「おかしいわね、このちょっと赤っぽくなってる岩が目印だったはずなのに・・・。」
「ユニヴァ、これだよ。」
僕が見つけたのは指一本も入れられないほどの小さな裂け目だった。
「閉じちゃったの?ポータル・・・。」
僕とユニヴァは、唖然としてその場に立ち尽くした。
しばらくすると、ボヨンっとユニヴァが巨大真珠を出した。
「とにかく、家にいったん戻った方がいいような気がしてきた。」
僕らは、巨大真珠でユニヴァの家に向かった。
灯台のドームを出た瞬間ユニヴァが大きくため息をついた。
「なんか変、ドームの色が地味すぎない?」
確かにユニヴァの言う通り、カラフルに輝くドームは一つと無く、どのドームも白っぽい白濁色をしている。
「アタシがいない間に、ちゅら星に何かあったのかしら・・・」
その時だった、向こうのドームから光が放たれた。
「何?」
光が宇宙空間へ向けて突き進んでいくのが見える。
「あれ、何か燃えてないか?」僕は目をこらした。
「追いかけるわ!」
ユニヴァは、燃えている標的をロックして追跡操縦に切り替えた。
巨大真珠はスピードを上げて、すぐに燃えているものに近づいた。
「何かしら、あれ・・・。」ユニヴァが言う。
「あれは・・・。」僕は絶句した。
あれはロケットに違いない。
化石を燃料エネルギーとする大昔の輸送機だ。
「なんでそんなものがちゅら星に?」ユニヴァがモニター越しに僕を見て言う。
「まさか!」同時に僕とユニヴァは叫んだ。
「ここってまさか大昔のちゅら星なんじゃ・・・。」
僕とユニヴァの間に、とてつもなく長い沈黙が続いた。
しばらくたって、僕が重要なことを思いついた。
「だとしたら、どうやって戻る?」
モニターのユニヴァが上目遣いに僕を見た。
「あるわよ、ビッグフズリナならいくらでも・・・。」ユニヴァは言った。
空いている座席の床下を見ると、ごろごろとさっき使った大きなフズリナが転がっていた。
それを見て一瞬ほっとした僕だが、これじゃダメなことにすぐ気がついた。
「ユニヴァ、このフズリナで今度は石器時代にでも行こうって言うの?」
「ピーちゃんも嫌みに言うわね、アタシも今それに気づいたところよ。」
僕らはそろってため息をついた。
気がつくと、遠巻きに戦闘機4機に四方を囲まれていることに気がついた。
「そりゃそうよね、この時代じゃ怪しすぎる物体よコレは。」
ユニヴァはそう言って、巨大真珠の透明化ボタンを押した。
「とりあえず、家に行ってみる。」ユニヴァはそう言って、冴えない色合いのユニヴァのドームに向かった。
位置的には間違いないはずなのに、ドームの内部はまるで別の場所だ。
ユニヴァの家があった場所には、芝生の広がる大きな豪邸があった。
僕らは塀越しに、その豪邸の庭をのぞき込んで見る。
「見てよユニヴァ、庭の奥の方・・・。」
「すごい数ね。」
何十匹という猫が、バルコニーやらベンチやら、古びた樽の上や二人乗りブランコにいる。
「猫か・・・。」ユニヴァは庭を見つめて言った。
そして、僕は『✞女神の占い洞窟』の方はどうなっているかと振り返ってみた。
「おやっ?」
壁の色は鮮やかなブルーで、あの『✞女神の占い洞窟』とは違うように見えるが・・・。
「おやっ?」僕はユニヴァに聞こえるように、さっきよりも大きい声でもう一度言った。
『✞女神の占い洞窟』
「嘘でしょ?」ユニヴァが言って、駆け寄ってきた。
ドアの文字を読み返して、ユニヴァと僕は見つめ合った。
「あの人、何万歳なの?・・・。」
その言葉と同時に、僕らは躊躇もせずに扉を開けた。

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【2017/02/13 15:10】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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