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ちゅら星(128)
歌い終えたユニヴァが戻って来たので、僕らは大きな拍手で迎えた。
ピンクの髪が立ち上がって、ユニヴァを席に着かせた。
「どうだった?」ユニヴァはさりげなく皆に言った。
クーさんは、ちょうどテーブルに現れたピンク色のチェリー入りのカクテルをユニヴァの前に差し出した。
ユニヴァは一気にそれを飲み干す。
「ブランコがキュート!すっごくかわいかった。いつもの毒っ気なんかまったく感じられなかったわぁ。」ピンクの髪がユニヴァに拍手を送って言う。
「そりゃあ、清らかなちゅら星の歌だもの毒っ気なんか・・・って、毒っ気って何よ!!」ユニヴァが口に入れていたチェリーの種をピンクの髪に飛ばした。
「キャンっ!」ピンクの髪は奥の席へと逃げて行く。
「ところで・・・あの歌の言葉は・・・」ニャントロの声が静かに言う。
「ちゅら星の言葉よ、古い時代のね。」ユニヴァは同じカクテルをもう一つ取った。
「周波数が特徴的だ。」GackNtが言った。
「そうかもね・・・意味は分かんないけど、ちゅら星で最も古い歌だもの。」ユニヴァはカクテルに代わって現れたフライドチキンを取った。
いい香りがして僕も取ると、クーさんとGackNtもフライドチキンを取った。
「アツアツでおいしい!」奥の席でも声がした。
「そうか!周波数か・・・。」ニャントロの声が響いた。
「ニャントロ!君は一体何がしたいんだ?」GackNtがフライドチキンの手を拭きながら言う。
「新しい移動方法だ!フズリナより遥かに効率がいい・・・。」ニャントロはそう言ってチキンを食べた。
「そんなこと出来るの?」ユニヴァが言う。
「ユニヴァに聞きたいことがある・・・。」そう言ってニャントロはチキンの手を拭いた。
「あの・・・発声による移動方法のことだ。」
「ああ、それならアンタの隣に大先生がいるわよ。」
ユニヴァが言ったので、ニャントロはピンクの髪を見た。
「反対の隣よ。」ユニヴァが言う。
「めぇぇぇぇぇえええ~・・・・でしょ。」女神が微笑んで言った。
「ああ、それっ。」ニャントロが女神の方に向き直った。
「少し練習がいるけど、女性の声質ならできる可能性は誰にでもあるわ。」
「周波数を調整しているのか?」
「そうね、行きたい場所に集中すると周波数がそこに合っていくって感じね。」
「ふぅ~ん。」ニャントロは腕を組んで目を閉じた。
「使えそうだな!」GackNtが突然言った。
「何なの?」ユニヴァが言う。
「何だよ。」クーさんも言った。
「惑星の周波数を利用してワープするってことだ。」GackNtが言う。
「そんなの座標を設定すればいいことじゃない。」ユニヴァが言う。
「ふんっ。」GackNtが不敵に笑った。
「ピーちゃんはラッキーラブレターを手に入れて、そしてLUME星なんてすごいとこに行ったことがあるだろう・・・」GackNtが僕に言う。
僕はこくりと頷いた。
「惑星の周波数もまた、特別な招待状だ。」ニャントロが言った。
「全く意味が解らないけど?・・・。」ユニヴァが言った。
「別時間や別次元では、音を移動手段とした人々がいたと聞く・・・それを音楽に隠した?」小さな動物が言った。
「隠したかどうかはわからないが、この世界でもただの音楽として聞いている可能性がある。」大きな男が言った。
「そう、そんな伝統的な音楽がここに来たら聞けるのではと思ったのだ。」ニャントロがここに来た理由を白状した。
「おっ!ゴディ星の音楽だ。」クーさんが言ったので、みんなおしゃべりを中断して音楽に聞き入った。
それから、ミンタカ、アルニラム、アルニタクと三ツ星の音楽が続いて、その後は聞いたことのない惑星の音楽が何曲か続いた。
歌詞のあるものもあれば、小さな笛だけの音楽さえある。
そして最後の曲の説明が聞こえてきた。
「締めくくりは、もうこの音楽会のテーマ曲とも言えるこの曲です。・・・この曲のタイトルを言うことはできません、なぜなら誰も何も知らないから・・・。」
そのまましばらく沈黙が流れた。
かなり長い空白の時間が流れる。
気が付くと非常に静かな重低音がかすかに聞こえているのが分かった。
たぶん長い沈黙と思っていたのは、聞き取れない低周波音が響いていたのだ。
音は次第にハッキリとしてくる。
「この曲、相当遠くにぶっ飛びそうな周波数出してるな。」オオワシがボソッと言ったのが聞こえた。
確かに、低く静かなと言うよりはかなり重い。
そしてフィナーレだというのに、ステージは真っ暗闇だ。
スポットライトがステージに向けられているにもかかわらず、まるでブラックホールのように真っ暗なステージだ。
「歌が聞こえてる。」ユニヴァが言う。
耳を澄まさなければ聞こえないような、かすかな声が歌っている。
しかもこの重低音と暗いステージには似合わない、明るく踊るような歌だ。
不思議なことに、なぜか心が澄んで明るくなっていくように感じられる。
暗闇に吸い込まれてしまいそうに感じる。
いつの間にか、会場もステージも一斉に明るくなって、軽やかな高音の余韻が響いている。
なぜか重低音の音楽だったはずなのに、いつの間にか高音になっていたのだ。
「皆さん!素晴らしいこの宇宙に乾杯!!」
テーブルには金色に輝くシャンパングラスが現れていた。
僕らも遅ればせながら、グラスを取って乾杯をした。
「本日の卵をお忘れなくお持ち帰りください。」
テーブルにカラフルな卵が現れた。
これで今日聞いた音楽を再生することができる。
僕らは一つずつそれを取った。
「いい収穫だった。」ニャントロがユニヴァに言った。
「いまいちピンとこないけど、面白くなりそうね。」
ニャントロはユニヴァに頷いて、そして手の中の小さな卵を見つめた。

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【2016/11/16 14:33】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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