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ちゅら星(124)
しばらくすると、小さな動物は周辺をうろうろし始めた。
僕と少年はただじっと小さな動物の動きを眺めていた。
小さな動物は、隣の建物との細い隙間を眺めてまた腕組みをした。
「屋上から逃げるとは限らないよね。」僕を振り返ると、小さな動物はボソッとつぶやいた。
僕も細いビルの谷間をのぞいてみる。
「んん?」小さな動物がビルの壁に手をかけた。
「来たぞっ!!」
そう言うと小さな動物は凄まじい勢いでビルの隙間に入り、壁を斜めに駆け上って行った。
僕があっけにとられて見ていると、小さな動物が向かう先にある小さな窓から青色のケバケバが這い出したのが見えた。
青色のケバケバ・・・イヤしっぽは、小さな動物を超える素早さで壁を伝わり、ビルの背面へと見えなくなった。
そして、小さな動物もそれを追って見えなくなった。
僕は、通りに面した反対側に急いで回った。
僕がビルの背面を見上げると、ちょうど小さな動物がしっぽを追いかけて屋上に上がったところだった。
屋上で何が起こっているのかはここからは見えない。
「振動数を変えればいい。」僕の横で少年がつぶやいた。
「え、何のこと?」僕は屋上から目を離して訊いた。
「そりゃ、あのしっぽのことですよ。」そう言って少年は屋上を見上げた。
僕もまた屋上を見上げた。
「しっぽだけで生存するはずなんかない、あれは一度ジェミニィの震動を帯びているが故に、それを利用して遠隔で操作されているに違いないよ。」
「なるほど・・・そうか・・・。」僕は屋上を見上げたまま、少年の言葉に納得した。
「逃げたぞぉおお!!」屋上から声が響いた。
その時、ビルの屋上から青いしっぽが勢いよく空中に飛び出してきた。
しかし次の瞬間には、空中でオオワシの頑丈な爪に捕らえられてしまった。
オオワシは僕らに見せつけるかのように、数秒ホバリングをした。
それから僕と少年もすぐに巨大真珠で屋上に上がった。
しっぽはオオワシの足の下で身動き一つできないでいる。
「細かく切り刻んじゃえばいいかしらね?」ユニヴァが僕を見て言った。
「そいつはジェミニィの振動数を帯びているだけなんだよ。」少年が言う。
「なるほど。」GackNtと小さな動物が同時に言った。
それからGackNtはニャントロを見た。
「では、やってみるか。」ニャントロはそう言ってオオワシの足下に寄った。
しばらくするとニャントロはオオワシに足を外すように言った。
オオワシがゆっくりとしっぽから足を離すと、少しだけしっぽはピクリとしたが、ニャントロの見えない力に捕らえられているようだった。
ニャントロはしっぽを見つめ続けている。
特に変化もないまま10分くらいたったろうか。
「オオワシ、すまないがもう一度押さえてくれ。」ニャントロが突然言った。
オオワシは慌ててフェンスから飛んでくると、またしっぽに足をかけた。
「どうした?」GackNtが不審そうにニャントロに訊く。
「振動数がすごい勢いで下がり続けていて、いくら上昇させても水の泡だ。」
僕には事の詳細はよく分からない。
「殺せないって事?」ユニヴァが言う。
少年が僕を見て不安そうにした。
「100倍くらいに増幅すればいいのか?」GackNtがニャントロに問う。
「一瞬でいい、1万倍で頼む。」ニャントロが言った。
GackNtはしばらく目を瞑ってから僕に向かって言った。
「買い物だ。」
僕は巨大真珠にGackNtを乗せると、すぐに下の町に降りた。
「鉱物か金属を扱っているところへ。」GackNtは言った。
しかし、レモン星のこのあたりで鉱物を扱う店など訊いたこともない。
「岩場にでも行ってみる?」と僕は行ってみたが、GackNtは黙っていた。
「・・・じゃあ、雑貨屋に行こう。」少し間をおいてGackNtが言った。
僕らは、前にユニヴァと言ったあの雑貨屋に向かった。
中に入ると、奥からキャッキャッと騒ぐ声が聞こえた。
ピンクの髪とクーさんだ。
「おっ!しっぽは捕まったかい?」クーさんが陽気に言った。
「ああ、おかげさまで。」
「も~うっ、抹殺しちゃったんでしょ?」ピンクの髪が持っていたカエルのパペットを振りかざしながら言う。
「それには水晶かトルマリンが必要でね。」GackNtが棚に並んでいたカラフルなノートをペラペラさせながら言った。
ピンクの髪はキョトンとしてGackNtを見た。
「残念だけど、その手のお店はこの辺りにはないわよ。」そう言ってピンクの髪はカエルのパペットをうなだれさせた。
「二人で端から端まで回ったからね、地元のピーちゃんよりもこの町のことは詳しくなっちゃったかもよ。」クーさんが言った。
「あぁ、一万倍かぁ・・・。」GackNtが珍しく頭を抱えて見せた。
「ねぇ、そのネックレス・・・。」僕はピンクの髪がこれ見よがしに着けているネックレスに気がついた。
「トルマリンか?」GackNtがピンクの髪の首元に手を伸ばした。
「失礼ね、エメラルドとアメシスト、途中に入ってる小さいのはダイヤよ。」
「言うこと無しだ!貸してほしい。」GackNtの瞳が輝くのが見えた。
「貸すのはいいんだけど・・・、あのしっぽに使うんでしょう?」ピンクの髪がネックレスを両手で覆って一歩下がった。
「分解させてもらうが、ニャントロを囲んで配置するだけだ。」GackNtが言った。
するとピンクの髪は、手を首に回してネックレスを外した。
「終わったら、ちゃんと元の形に戻してよ。」
そんなピンクの髪の言葉もよそに、GackNtは巨大真珠で戻るように僕を急かした。
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【2016/05/17 15:27】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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