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ちゅら星(123)
「なんだ、このビルは?」クーさんが驚愕の声を上げた。
『タンタン狸の担々麺』のはずが、シャッターの降りた古びたビルに変わってしまった。
よく見ると、ビル建て直しの予定表が貼ってある。
「最近、狸に化かされる人が急増しているみたいなんです。」少年がため息交じりに言った。
「とんだ狸にだまされるところだったな。」GackNtが笑って言う。
「いいところに来てくれたわね、アンタ。」お礼のつもりだろうか、ユニヴァが少年に言った。
「湯麺(タンメン)の店でよければすぐそこにありますけど・・・。」少年がちょっと間抜けた提案を言う。
「フン、ずいぶんサッパリしちゃうけどまあいいわよね。」ユニヴァが僕を見て言った。
僕らは少年に案内されて、次の角を曲がった。
「ちょっと!ヤダ!」ユニヴァが急に立ち止まった。
「今度は巨大真珠に化けやがったのか。」クーさんが忌々しそうに言う。
前方の上空には、巨大真珠がゆっくりとこちらに近づいてくるのが見える。
レモン星で僕ら以外の巨大真珠を見かけるなんて、まず絶対にあり得ないことだ。
「それより、奴らの望みはいったい何なのだ?」ニャントロがゆっくりと僕らに訪ねるように言う。
「まあ、湯麺でも食いながら考えねぇか?」オオワシが言った。
どうやらここの地下が湯麺の店らしい、オオワシがメニューを眺めている。
「大丈夫でしょうか?」不安そうに少年は言って、巨大真珠を見つめた。
「・・・でも、どうせ偽物の巨大真珠よねぇ。」
ユニヴァの眼にやる気の光が見えた気がして、僕は身震いした。
「やっつけるのは、湯麺前なんだけど!!」
そう言ってユニヴァはポケットから巨大真珠を出した。
「ユニヴァ、それを言うなら朝飯前でしょ!つーか暴力はどうかと・・・。」と僕は言ってみた。
ユニヴァは巨大真珠から目を離そうとしない。
僕はクーさんとGackNtを見た。
「とっ捕まえようか?」静かにニャントロが言った。
すると、ニャントロの眼からパールグレーの光が巨大真珠に向けて放たれた。
光に捕らえられた巨大真珠は、動きを止めた。
「よし!」クーさんがグーを握った。
しかし次の瞬間、光は急速に巨大真珠を離れ、ニャントロの眼に吸い込まれるように消えてしまった。
僕らは無言でニャントロを見た。
ニャントロは僕らを見てフフッと笑う。
何のことかと、巨大真珠を振り帰ってみた。
「ウワッ!」
巨大真珠がもうここまで迫っている。
「おいっ、ビックリしたぞ!ニャントロ。」巨大真珠のスピーカーから小さな動物の声だ。
「なぁんだ・・・。」ユニヴァが緊張をほぐして言った。
それから、僕らは湯麺屋の階段を降りていった。
巨大真珠から出てきた小さな動物と、そしてピンクの髪も一緒に。
「9名様!少しお待ちください。」
店員はそう言うと、テーブルを寄せて僕らのための席を用意してくれた。
「んじゃ、湯麺9つ。」ユニヴァが言って、注文が済んだ。
「珍しいねぇ・・・。」クーさんが小さな動物に言う。
「レモン星に来るのは初めてだ・・・。」小さな動物が言う。
「一大事・・・。」ピンクの髪が言った。
「えっ?」僕はその言葉に反応した。
「しっぽが逃げ出してね、どうやらここに来たらしい・・・。」小さな動物が言う。
いずれ消滅すると思っていたあのしっぽが、勝手に動き始めたらしい。
「本当は大きな男が来るはずだったけど、一人で留守番するのイヤだから来ちゃった。」ピンクの髪が髪を束ねながら言う。
湯麺のための準備にしては、派手な髪留めだ。
「あのジェミニィのしっぽなら・・・化けるわよねぇ。」ユニヴァが意味深に言う。
「・・・うん、たぶん。」小さな動物が神妙な顔つきで答えた。
「化けてたよ、さっき。」クーさんが言った。
クーさんの言葉に、ピンクの髪の動きが止まった。
「ああ、危うくとんでもない担々麺を食わされるところだったからな。」GackNtが笑った。
「イヤだ、どういうこと。」ピンクの髪が過剰に反応する。
「それで、今度は巨大真珠に化けやがったってクーちゃんが言うから・・・。」そう言ってユニヴァがニャントロを見た。
「悪かった、とっ捕まえたりして。」ニャントロが笑った。
みんなも笑った。
「お待たせしましたぁ。」
9人分の湯麺が続々と運ばれてきた。
担々麺からすっかりお預けをくっていた僕らは、早速湯麺に取りかかった。
しばらくの沈黙の中、麺をすする音だけが響いた。
「ふぅ、満足!」
最初にユニヴァが食べ終えた。
「まだ、近くにいるはずだな。」小さな動物は言って、また麺をすすった。
「しっぽがねぇ・・・。」クーさんが箸を止めて言う。
「やめてよ、食事中にっ。」ピンクの髪が言う。
「大丈夫よ、ニャントロもいるしねっ。」ユニヴァが余裕な顔で言った。
「問題は、ヤツを捕まえてどうするかだ。」僕が言う。
「抹殺でしょ。」ユニヴァが即答する。
「死ぬのか?」クーさんがどんぶりを置いて言った。
「そうよ、だってアイツはただのちぎれたしっぽよ。」ピンクの髪が湯麺を食べ終えて言う。
「しかし・・・こののどかなレモン星に、害獣をはびこらせてはおけまい。」
GackNtがそう言って、僕らは腰を上げて湯麺屋を出た。
階段を上る途中でニャントロが言う。
「まだ、あの廃墟のビルの中にいる・・・。」
僕らは無言のままに、あのタンタン狸の担々麺があったビルの前に立った。
「すごい大人数ね。」見回してユニヴァが言う。
「それじゃ、俺はその辺散歩してくるよ。」オオワシがそう言うなり、オオワシと化して飛び立った。
「じゃあ、アタシもちょっとショッピングっ!」ピンクの髪がそそくさと通りを渡って行った。
「・・・じゃ、付き合うか・・・。」クーさんはピンクの髪を追いかけて行った。
ユニヴァがシャッターをガシャガシャと動かそうとする。
「ダメね。」
「最上階に移動したようだ。」ニャントロがまた透視した。
「早くしないと、逃げられちゃうかも・・・」僕がつぶやく。
その時、バサッという音にビクリとした。
振り返ると、散歩に行ったオオワシがもう戻ってきたのだ。
「このビル、屋上にも出入り口あるぞ。」立ち往生している僕らに、オオワシが言う。
ユニヴァはすぐに巨大真珠を取り出した。
すぐにニャントロとGackNtが乗り込んだ。
僕の巨大真珠にはトリニタスの少年を乗せた。
「待って、ピーちゃんたちはここを見張ってて!」ユニヴァがスピーカーから言った。
僕らと小さな動物は、ここに残された。
ユニヴァの巨大真珠が浮き上がると、羽ばたきと同時に鳥と化したオオワシも舞い上がった。
「屋上の入り口開いてるといいけど・・・。」僕がつぶやく。
「通常の鍵なら、サイキックがいるから簡単なことだ。」小さな動物が腕組みをして上を見上げた。


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【2016/03/31 15:26】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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