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ちゅら星(121)
僕らはとにかく海岸に向かって平野を真っ直ぐに進んで行く。
「こんな乗り物があるんなら、もう鳥類はいらねえなぁ・・・。」オオワシの声が聞こえた。
するとユニヴァの巨大真珠が突然減速したので、僕も慌てて速度を落とした。
「どうしたのユニヴァ?」
「こんな乗り物さえいらないことに気が着いたのよ・・・。」
そしてフズリナがあることに、僕も今気付いたのだ。
ユニヴァは足元のフズリナを一つ取り上げてニヤリとモニター越しに笑う。
「せっかくのソイツを使っちまうのかい?」オオワシがため息交じりに言う。
「いくらでも採りに来れるじゃない。」ユニヴァは言う。
「まぁな・・・。」オオワシはそう言って、深いため息をついた。
しばらくの沈黙の後、オオワシがため息とともに話を始めた。
「むか~しむかしってやつなんだが・・・、壁一面まっさらになるほどソイツを採っちまった奴がいてな・・・、ある時、隣の惑星まで行くのにこれを使ってポータルを開いたんだ。しかしポータルを抜けてみると有毒ガスと強い磁場の思いもよらない場所に出てしまい慌てて戻ってきたという。その他にも近距離でこれを使うと思いもよらない場所につながっちまうと訊く。こいつのエネルギーは遠く離れた地点へとつないでしまうほど巨大だ、近距離には向かねぇんじゃねーかな・・・。」
「なるほどな・・・。」GackNtの声が聞こえた。
「そのエネルギーは、本来の目的地を超えて裏座標まで到達してしまうのかもしれない。」
GackNtが言う。
「その嘘、本当なの?」ユニヴァが茶化す。
「つーか、裏座標って何だ?」クーさんが質問した。
「マイナス方向の地点だ。」
「反物質の世界?」
「実際そうなのかは僕にも分からないが、本来の目的地点を貫いた先に行ってしまう事は確かだと思う。」
「でも、むかしむかしのその人は消滅しなかったのよね。」ユニヴァが意地悪く言った。
GackNtの咳ばらいが聞こえた。
「でもこれ使ったら、ホントの本当の裏レモン星につながっちゃったりして。イヤイヤ反レモン星?」ユニヴァが楽しそうに笑った。
「とにかく、我々はこのドームを出よう。」満を持したようにニャントロが言った。
「んっ・・・イエス、サー!」ユニヴァは気を取り直して巨大真珠の速度を上げた。
僕らはキラキラ光る海を目指して進む。
ポツリポツリとあちらこちらに見えてきたのは、とてつもなく大きな巻き貝だ。
僕には見覚えがある、あれは魚人達の住居だ。
ユニヴァは適当な原っぱに巨大真珠を着陸させた。
僕もそれに続いた。
それから海岸の方向へ歩いてみることにした。
「誰もいないわね。」ユニヴァが言う。
僕らは天気のいい原っぱの脇道を、言葉少なにのんびりと散歩した。
「海が見えた!」クーさんが前方を指して言った。
人影さえ見ないまま、もう海岸までたどり着いたようだ。
「あ~!喉乾いた・・・。」ユニヴァが海に向かって駆け出した。
「・・・。」
僕があっけにとられて駆けてゆくユニヴァを見ていると、後ろからボソッと声がした。
「乾きすぎだな、塩水飲む気か・・・アイツ。」GackNtが言った。
その時、突然の悲鳴が聞こえてユニヴァの足もピタリと止まった。
「キャァアアア!!猫人間~~~!」きみどり色の巻き紙の女の子がニャントロを見て叫んでいる。
ニャントロは目を丸くして硬直している。
「は・・・初めてです、初めてなんです猫人間に・・・いえ猫人間さんに会うの。」女の子は呼吸を乱して早口で言った。
「あぁ・・・はじめまして、あなたは・・・イルカですね。」慌てたニャントロは妙な返答をした。
波打ち際からユニヴァも戻ってきた。
僕はニャントロに釘付けになっているイルカの女の子に声をかけた。
「あの・・・、虹ちゃんって子、知りませんか?」
女の子はわれにかえったように僕を見て、そして再び悲鳴をあげた。
「キャァアアア!!猫人間がぁぁぁ!」
僕の隣にいるGackNtに気が付いたようだ。
「何度も驚かせてすまない。」GackNtが挨拶がわりに言った。
女の子は、さらに慌てたようにじたばたすると、友達を呼んでくると言って走って行ってしまった。
するとその子を追いかけてユニヴァが言った。
「何か飲み物をお願い!喉がカラカラなの~!」
他に人影もないこの島で、仕方なく僕らは彼女の帰りを待つことにした。
海岸の雰囲気には見覚えがなかった。
以前に虹ちゃんや月ちゃんによって訪れた場所ではない気がする。
しばらくすると向こうから、4人の緑の髪の集団が来るのが見えた。
さっきの子とは若干濃淡の差はあるが、どの子も緑色の髪をしている。
ヤシの実を抱えてキャッキャと話しながらやって来た。
「こんなのでいい?」
「ありがと。」ユニヴァはヤシの実を一つ受け取った。
ユニヴァはヤシの実を撫で回してみた。
「これどうやって開けるの?」
「ちょっと待ってね。」
女の子はそう言って、僕に持っていたヤシの実を押しつけた。
そして、脇にさしていたナタのような道具を取り出してヤシの実の上部を切り落とした。
ユニヴァはそれを受け取って中のジュースをグビッと勢いよく飲む。
「ウエッっ!ぬるいっ。」そう言ってまずそうな顔をしたが、すぐにまた飲み始めた。
「ねっ・・・猫人間ってホントに存在するんですねぇ。」女の子が黄色い声で言う。
「あ、あのっ毛並みに触れてもいいですか?」
ニャントロが小さく頷いた。
女の子はニャントロにそっと触れながら何かブツブツと唱えているようだ。
「次はアタシよ!」
駆け寄ってきた子が、ニャントロに触れながら言った。
「来年はちゅら星旅行に行けますように!」
どう見ても、ニャントロに願賭けをしているようにしか見えない。
残りの二人もやって来た。
「カフェのお客さんが増えますように!」
ひとりは待ち切れずに、GackNtに触れて願い事を言った。
緑の髪の女の子達は、なんだかすごく嬉しそうだ。
「鳥人間の方が御利益あるんじゃないかと思うけどねぇ・・・。」オオワシのボヤキが聞こえた。
「・・・んで・・・盛り上がってるとこ悪いんだけど、月ちゃんか虹ちゃんってイルカの子知らない?」
ユニヴァの質問に四人は顔を見合わせた、そして一斉に首をノーと振った。
「あっ、そう。」
気を落としたユニヴァの背中を見て、今度は僕が質問した。
「こういう魚人やイルカの島は、この他にもあるのかな?」
「アクエリアスのエリアがあるわ。」
僕は、クーさんとユニヴァに目を合わせた。
ここは虹ちゃんのいる島ではない可能性がある。
「ポータルを使えば・・・。」女の子はそこまで言って口をつぐんだ。
「ポータルがあるの?」ユニヴァがすかさず訊く。
「この島以外の人には言えないの・・・。」気まずそうに女の子が言う。
「ポータルの場所さえ示さなければ大丈夫よ。」もう一人が極秘情報を漏らしそうになった子を助けるように言う。
更にもう一人が続けて言った。
「申し訳ないけどポータルの場所を教えることはできないの。しかもそのポータルの先はみなみのうお座の恒星フォーマルハウト、直接レモン星のアクエリアスのエリアにつながるわけじゃないのよ。フォーマルハウトにあるポータルから、今度はうお座にあるアルレシャという恒星へ抜け、アルレシャのポータルを抜けてレモン星のアクエリアスのエリアに出るというわけ。」
更にもう一人が言う。
「このアフロディーテのエリアの魚人はフォーマルハウトの出身、アクエリアスのエリアの魚人はアルレシャという様に出身が違うの・・・見た目に変りはないんだけどね。」
こんなにもレモン星についてのディープな話があったなんて、僕は目から鱗な気持ちで少しレモン星の住人としての自分を恥じた。
ニャントロの咳ばらいが聞こえた。
「我らは、このテリトリーから外のレモン星の地へ出たいだけなのだ。」ニャントロが言った。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2015/11/09 11:38】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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