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ちゅら星(119)
48.裏レモン星
翌朝、予定通り僕らは発掘探検へ向かった。
ちゅら星のキャニオンドームだ。
ユニヴァの巨大真珠にはニャントロとGackNtが乗って、僕とクーさんは銘々の巨大真珠で向かった。
キャニオンドームをしばらく走行して、ユニヴァが着陸したのを見たので、僕らもその付近に着陸した。
「覚えてるでしょ、ここ。」ユニヴァが言った。
ここはニャントロと初めて会った時にフズリナを探しに来た場所だ。
「でもあれはニャントロがその昔に落としていったものだったよね、探せばまた見つかるってわけではないんじゃ・・・。」僕は辺りの岩を見回して言った。
そびえ立つまっさら白い石の塊には、貝の化石どころか染み一つ見つからない有り様だ。
「ニャントロ、こんなところで以前にフズリナを・・・?」不審そうにGackNtがニャントロに問う。
「・・・しかしそれは人工的に埋め込まれた状態だったのだが。」ニャントロが言った。
「人工的に?」僕は自然に埋め込まれたものだとばかり思っていた。
「うん、これは人工的に創った大理石だ。」GackNtが言った。
「って事はもっと何か埋め込んであるかもしれないな!」クーさんが辺りをきょろきょろした。
目につくところを散歩して回ってみたが、そう簡単に見つかりそうもない。
フリズナが見つかる確率はさらに低い。
しばらく辺りを散策してみたが、全員収穫なしに戻ってきた。
ふと上空を見上げると、遥か上にオオワシが旋回しているのが見える。
「アイツこっちに降りてくるわ。」ユニヴァがオオワシから視線を外して僕に言った。
僕はここでフズリナ探しを続けるより、移動した方が効率が良さそうだと提案した。
その時、突然男の声がした。
「ピクニックかい?」
僕らは声の主を探して、辺りを見回した。
彼は小高い岩に腰かけて、僕らの頭上から見下ろしていた。
茶色っぽいフリンジのパラパラ揺れるポンチョを着て、頭にはインディアン風の羽の着いた飾りをつけている。
僕は一目で、これがさっきのオオワシに違いないと思った。
こんな現象は以前にも経験したことがある。
そう、ユニヴァとラブリーカカオの試食会に出かけた道すがら、森で出会ったシロフクロウに何とも雰囲気が似ていたのだ。
「ピクニックなんかじゃないわよ!アンタこの辺の鳥なの?」ユニヴァが言う。
「ああ、産まれも育ちもずっとこのキャニオンドームだ。」自慢げにオオワシが言う。
「アタシ達、貝の化石を探してんだけど・・・。」
するとオオワシは突然ゲラゲラ笑いだした。
「考古学のお勉強にゃあ、ここは向かねえ!この大自然はみんな人工的に創ったもんだ。」
「エエっ!このキャニオンドーム全てが?」僕とクーさんが同時に言った。
ユニヴァも驚きの表情を見せた。
「とは言っても、既に数万年は経過している。ポータルにつながる洞窟なら、よその惑星の進化系が入り込んできてはいるが、ここらに見えてる岩山で貝の化石は無理じゃないかな?」
「そうなの・・・。」ユニヴァが力なく引き下がった。
オオワシはポンチョをふわりと羽のように広げて、ストンっと僕らの前に飛び降りてきた。
それから、珍しそうに僕らの巨大真珠に近づくと、手で撫でてみたりして観察している。
「これで飛ぶのか?」
「そうよ、中に乗り込むの!」ユニヴァが答えた。
「惑星外では重宝しそうだ。」オオワシはポンポンと巨大真珠の外壁を叩いて言う。
僕らはオオワシが巨大真珠の半透明の外壁に顔をつけて、内部を興味深く観察しているのを黙って見ていた。
観察を続けながらオオワシが言う。
「貝の化石って言ったら、レモン星だろうよ。」
レモン星という言葉に僕はビクリとした。
クーさんとユニヴァが僕を見た。
「そうなの?」ユニヴァが僕に訊いた。
「貝ならいくらでもあるけど・・・化石は・・・。」僕はレモン星に化石が無いとは言わないが、取り立てて貝の化石のことを聞いた覚えはなかった。
僕らが顔を見合わせていると、またオオワシが言う。
「古―い貝の化石が、渦巻き模様のように岸壁を埋め尽くしているだろうよ。」
僕が考えあぐねていると、オオワシは巨大真珠から離れて僕の前に来た。
「レモン星の人?」オオワシが鋭い視線で僕を見つめて言う。
僕は首をコクリと振った。
「知らないの?化石の崖・・・。」不思議そうに鋭い視線が僕を見つめている。
しばらく僕を見つめていたオオワシがハッとしたように言った。
「ははぁん・・・この宇宙船で来たって事は、君は表の人かぁ。」
「ええっ??・・・表??」
「何よ、レモン星に裏と表があるの?」ユニヴァが訊いた。
「嫌・・・無い。」オオワシがすぐさま答えた。
ユニヴァの呆れたため息が聞こえた。
「裏ってぇーのは、ポータルからしか行けない場所のことだ。」
「それ、もしかしたら行ったことあるかも・・・イルカに乗って・・・裏。」ユニヴァが僕を見て言った。
すると、ユニヴァの目がきらりと輝いた。
「情報アリガト!御礼もなくて悪いけど、あたし達今からレモン星へ行くわ。」
ユニヴァはそう言うと、巨大真珠に乗る様に皆に言った。
「譲ちゃん達、ちょっと待ちな!」オオワシの呼び止める声がした。
そして、オオワシは腕を組んで岩にもたれかかると言った。
「ポータルを教えるよ。」
それから僕らは巨大真珠に乗り込み、ポンチョ姿の男から変身したオオワシの後を追って、キャニオンドームの奥へと進んで行った。
40分以上は経過しただろうか、先程には遠い山並みに見えていた岩山が目の前に迫って来ていた。
オオワシは、僕らの巨大真珠よりもやや高い位置で優雅に空中を滑っていく。
さっきまで雪山かと思っていた山は、白い大理石の岩山だったことに気付いた。
「見てよ、あそこ!」ユニヴァの声がモニターから聞こえた。
「これは、何と・・・。」続いてニャントロの声もした。
白い岩山を過ぎると、赤い岩山や紫の岩山、黄色や緑や青や色とりどりの岩山が次々と見えてきた。
「宝石箱だな。」クーさんが言った。
しばらくするとオオワシは、白と黒のゴマ塩模様の比較的地味な岩山に降りて行った。
「なんだツマンナイ、地味なとこに降りるのね。」巨大真珠から抜け出したユニヴァが言う。
「きれいだろ、この辺りはキャニオンドームの深淵部に当たる。」
「これもすべて人工の物なのか・・・。」感心したようにGackNtはゴマ塩の岩肌をなでた。
「そこを少し降りたところに洞窟の入口がある。」元オオワシだった男は、足場の悪い崖を降り始めた。
「ここのポータルって、たいてい洞窟の中にあるのね。」ユニヴァが慎重に崖を降りながらも言った。
「それこそが、こんな大掛かりな大自然を人工的に創った理由さ。」オオワシも足元に気をつけながら言う。
「どういう事?」僕もちょっと足を滑らしそうになりながら訊く。
「内緒だがな、ここにはこの宇宙のどんな場所にでも行けるほどのポータルが備わっているんだ。偽物の大自然はそれを隠すためさ。」
「でも捜しあてて、今じゃ結構みんな使ってるわよ、ここのポータル。」ユニヴァがやっと少し広い岩棚に辿り着いて言った。
「皆が知っているのは、全ポータルのホンのひとつまみにもあたらねえ。」
最後のクーさんまで、全員無事辿り着いた。
「さあ、ここからだ。食べ過ぎ厳禁、太ると通れねぇ。」
見るとそこの岩の間に、50センチも無いほどの細い隙間があった。
「中は真っ暗だ、皆繋がって!」オオワシが言った。
「これがあるわ。」ユニヴァが小さくなった巨大真珠を発光させて、懐中電灯代わりに使った。
「そんな使い方あったのか?」クーさんが言った。
「今思いついたの。」ユニヴァが言った。
「レモン星か、久しぶりだな・・・。」オオワシが独り言をつぶやく。
僕は珍しくもないレモン星に、こんな奇妙な方法で行く事にちょっとワクワクしてきた。

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【2015/08/10 15:05】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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