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ちゅら星(118)
「仕方ないわね!すぐ戻って来るから、ここでじっとしてて。」
ユニヴァはそう言うと、既にGackNtとニャントロが待機している巨大真珠に乗り込んだ。
「急いでね。」クーさんが力なく言う。
次の瞬間、僕とクーさんの目の前から巨大真珠が消えた。
「来ないな。」クーさんが呟く。
「いくら瞬間移動って言っても、ニャントロ達が降りる時間が少しはかかるよ。」僕が言った。
ため息をひとつついて、またクーさんが言う。
「まだかな。」
「まだかな?」僕も言ってみた。
「あん?・・・氷解けてきた。」クーさんが凍りついたようにピラミッドの残骸を見て言う。
「気温が上がってるの?」
よく見ると、緑の氷の壁の隅にも白い霜がついているのが分かった。
「つーか、遅すぎるぞ!」クーさんが僕に焦りをぶつける。
「事故かな?」僕が呟く。
「・・・否、ユニヴァじゃない。俺たちだよ!」
「まさか、ポータルに・・・。」
「引き込まれてる・・・のかも・・・。」クーさんが僕の腕をつかんだ。
「これって、ミイラ取りがミイラに・・・てヤツ?」僕はちょっと茶化して落ち着こうと試みた。
「ミイラの方はとっとと脱出したぞ。」クーさんがすがるような目で僕に言う。
「確かに遅い、ユニヴァどうしたんだろう・・・。」さすがに僕にも不安が押し寄せてきた。
ガサガサッズンッ!
どこかで氷が崩れた音だ。
「ユニヴァァ。」クーさんがすがる様に言う。
その時、通路の奥に光が見えた。
「ユニヴァア!!」
巨大真珠が通路の奥を曲がって来るのが見えたので、僕らは走り寄った。
「お待たせ、早く!!」ユニヴァの声だ。
僕らは巨大真珠に飛び込んだ。
「もうポータルの引力に取り込まれて、浮遊惑星が加速しているんだ。」GackNtが低い声で言った。
「うん、氷が溶けだしている。」僕は心臓をバクバクさせたまま、冷静に言った。
「脱出できるのか?」緊張したクーさんの声が聞こえた。
「無理!」ユニヴァ言った。
僕は答える代りに息をのんだ。
クーさんも黙っていた。
「移動は瞬間でも、時差があんのよね。」ユニヴァがため息交じりに言う。
気か着くと巨大真珠の発光で、溶けだした緑の氷の壁が眩しいほどに反射していた。
「ねぇ、もっと派手に光らせる?」ユニヴァがGackNtに言う。
「うん、できる限り。」GackNtが答えた。
「じゃ、出力89パーセントでっ。」
窓のシェードがかなり強くなった、外は相当眩しいはずだ。
「どういう事?」僕が質問した。
「奈落の底で、ニャントロちゃんに見つかる様にね・・・光るの。」
「う~ん、なるほど・・・。」クーさんが満足そうにうなった。
「よしっ!来たぞ!!」突然GackNtが叫んだ。
その声を合図に、今度はユニヴァが叫び出した。
「めぇぇぇぇぇぇぇええええええ~~~・・・」
これは、あのちゅら星の女神に伝授された、特別な移動方法だ。
「めえええええええぇぇぇぇぇえええええぇぇぇぇ~~~・・・」ユニヴァの声は更に続く。
次第に靄が立ち込めたように、目の前が白っぽくかすんできた。
そしてユニヴァの声が止み、静寂が流れた。
・・・・。
「ふぅっ。」ユニヴァのため息が一つ聞こえた
テーブルにグラスを並べている大きな男の姿が見える。
「早くそんなものから出てきてよ。」ピンクの髪の声が聞こえた。
どうやら無事ちゅら星に戻って来たらしい。
漸く我に返って、僕らは巨大真珠を降りた。
「お疲れさん!」大きな男がサラダボールを運んで来た。
「あの子たちもすぐ戻るから、とにかく座れば。」ピンクの髪がフォークを並べながら言う。
テーブルに目をやると、中央に僕とクーさんの巨大真珠があった。
僕は速やかに一つ取るとポケットにしまった。
それからクーさんも巨大真珠を掴み、深いため息をついてからポケットにしまった。
ユニヴァの冷たい視線を何となく感じたが、ユニヴァは何も言わなかった。
ぴゆぅ~うっ!
外で口笛が聞こえた気がした。
GackNtが入り口のドアを開けに行った。
「おっ、上手くいったようだね。」ニャントロの肩に乗った小さな動物が言った。
「ユニヴァはニャントロ並みの周波数の達人だ。」GackNtが言う。
「練習すれば誰でもできるわよ。」ちょっと照れてユニヴァが言った。
それから、出がけにピンクの髪が言った通り、僕らは山ブドウのワインで乾杯をした。
「これで、やっとジェミニーについても一件落着できた。」感慨深げにGackNtが言った。
「次は何をやらかす気なんだ?」ニャントロが面倒そうに言ってワインを飲んだ。
なんとなく冷たい空気が流れた瞬間、ピンクの髪が取り持つように言った。
「でもさぁ~あ、ジェミニーについて何も知らないままだったら、そのうちアイツら何しでかすか分かんなかったと思わない?」
そう言われてみれば、確かにそんなような気もする。
「ニャントロ!・・・悪いが新たな難問がある。」しかしGackNtがまた場を凍らせた。
「ここから帰る手段がない。・・・か?」ニャントロが見透かしたように言う。
「難問だぁ。」そう言って飲みほしたグラスをピンクの髪に差し出した。
グラスには新たな山ブドウのワインがなみなみと注がれた。
「じゃあ明日、発掘探検に行きましょ。」ユニヴァが呟くように言った。
それから、焼きあがった熱々のピザが運ばれてきた。

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【2015/07/06 15:33】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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