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ちゅら星(112)
46.幽霊のしっぽ
久しぶりにレモン星へ戻った僕は、商売の材料探しも兼ねて、海岸をのんびりと散歩していた。
「こんなレモン星にも、けっこう異星人がいるもんなんだなぁ・・・。」
僕はトリニタス星人のことを思って、海に向かってひとり呟いていた。
そして、レモン星で熟成した身体を盗まれてしまったというトリニタス星人のことを思った。
「・・・まだ、レモン星にいるんじゃないかな・・・そのトリニタスの人・・・。」
「やっぱ、そう思うでしょ!。」
その声に振り替えると、ユニヴァがそこにいた。
「とにかく街の方へ行ってみない?」いきなりやる気満々なユニヴァだ。
「何の手がかりもないのに?」やる気なく僕は言った。
「手掛かりを探すのよ。」
ユニヴァはもう歩きだしていた。
僕は仕方なくユニヴァの後を追う。
「だけどユニヴァ、まず小さな動物達に相談した方がいいと思わない?」
ユニヴァの歩みは止まらない。
「彼らは今忙しいのよ。」
だからと言って、近所を歩き回ったくらいで、お目当ての人物に辿り着けるわけがないと僕は思った。
そして、僕らは港のあたりまで来た。
港の向こう側はもう街だ。
「さてと。」ユニヴァはそう言って、ポケットから何かを取り出した。
「コンパス?」
それは東西南北を図るコンパスに似ている。
ユニヴァは手のひらの上のコンパスをじっと見つめている。
「トリニタス・・・」ユニヴァが呟く。
コンパスの針が少し震えた。
「トリニタス・・・」またユニヴァが呟く。
「トリニタス・・・トリニタス・・・」ユニヴァが続ける。
「ああっ、光った。」コンパスの針が一瞬光ったのが分かった。
そして震えていた針は、ピタリと静止した。
「あっちね。」ユニヴァは針の示す方を見つめた。
「しかし、ユニヴァ・・・それ、トリニタス星を指したんじゃないの?・・・あっちだとしてもだよ、この街どころかレモン星の裏側ほどずっと先かもしれないじゃないか。」
そしてユニヴァは僕の手を取ると、大きな通りを渡ったところにある雑貨屋を目指した。
「ここにいる。」ユニヴァが僕を見て言った。
「まさか。」
「今、あたしが決めたんだもの。」
ユニヴァにそう言われると、なんだかいそうな気がしてきた。
店内に入ってすぐにポストカードの回転ラックがあった。
ユニヴァはあいさつ代わりにそのラックをカラカラと回してみた。
それからサインペンの棚をしばらく眺めて、レインボーカラーのインクのペンが気に入ったようだ。
次にカラフルな食器を見てから、お菓子の棚に移動した。
「ピーちゃん、カゴ持って来てくれる?」ユニヴァが僕に言った。
カゴを持って行くと、ユニヴァは抱えていたお菓子をドサリとかごに落とした。
「ピーちゃん、さっきのレインボーのペンもお願い。」
僕はさっきのボールペンを取りに行った。
ボールペンを取って戻ると、お菓子の棚にユニヴァの姿が見えなかった。
「どう?これ。」ユニヴァが現れた。
「なっ・・・。」
ピンクの猫を被っている。
「似合う?」
ユニヴァはピンクの猫風の帽子を被って、鏡の前でくねくねしている。
「ユニヴァは黒猫姿が一番似合うと思うけど?・・・。」
そしてユニヴァはピンクの猫帽子もカゴに入れた。
レジにに向かうと、ひとつしかないレジに先客がいた。
僕らは少し離れて、雑誌なんかを眺めてレジが開くのを待っていた。
「ふぅ~ん、これより小さいのとなると取り寄せになるね。」レジの人が、客の少年に言っている。
「とりよせかぁ・・・じゃあ他を当たってみるよ。」少年は一瞬考えてから、持っていたガラス瓶をレジのテーブルにコトンと返した。
「ちょっと・・・」突然、ユニヴァが少年に声をかけた。
「あんたが探してるもの、これじゃな~い?」
そう言うユニヴァの手には、あの三位一体の光が入っていた小さな空の瓶がある。
「ユ・・・ユニヴァそれ。」
「この前の時、使えそうだからもらっといたの。」ユニヴァは僕を見て笑って言った。
少年は不思議そうにユニヴァを見ている。
それから冷静な声で少年が言った。
「それ、僕に譲ってもらえるの?」
ユニヴァは返事をするともなく、大きく鼻から息を吐いてもったいぶった顔をした。
「そのカゴの中の物、僕がプレゼントしてもいいよ。」少年がとっさに言う。
ユニヴァは持っていたカゴを見た。
山盛りのお菓子とサインペンとピンクの猫帽子が入っている。
「そ~お?悪いわね。」ユニヴァはそう言ってレジのテーブルにカゴを置いた。
そして手のひらの上で、小さなガラス瓶をコロコロとさせて見せた。
少年はそれをじっと見つめている。
「でも、もう一つ条件があるの。」ユニヴァが手の上の瓶を見つめたまま言う。
「条件?」少年が意外と言った表情でユニヴァの顔を見た。
「簡単よ、あたし達と友達になる!・・・できる?」ユニヴァが少年の目を覗きこんだ。
「最近痛い目にあってね、気安く人と友達にならないようにしてるんだ。」
少年は、ユニヴァの瓶をあきらめたように背中を向けた。
「条件なんて嘘よ、これ返すわ、だって元々たぶんあんたのモノだもの。」ユニヴァは少年に持っていたガラス瓶を差し出した。
「元々・・・僕のモノ?」少年が振り返って言う。
ユニヴァは少年にガラス瓶を握らすと、袋に詰め替えられたカゴのお菓子やなんかを受け取った。
「それじゃこれありがと、また今度ね。」
僕はユニヴァと一緒にその店を出た。
「ユニヴァ・・・今の犯罪じゃないよね・・・。」心配になって僕は言った。
「面白くなってきたでしょ。」ユニヴァは僕を見てニイッと笑って見せた。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2014/03/25 15:43】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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