FC2ブログ
ちゅら星(108)
アーチ型のエントランスを入ると、大きなガラステーブルの上に人数分の料理と飲み物が用意されていた。
ユニヴァとホシマルちゃんは並んですっかり席についている。
「すっごくスパイシーないい香り!」ユニヴァがお皿に顔を近づけて言う。
チキンカレーとナッツ入りのターメリックライスに海老のサラダとゆで卵が添えられている。
大きめのタンブラーグラスの中には輪切りにした数種類の柑橘類がスタンバイしている。
まず、ユニヴァのグラスにビールが注がれた。
泡が一気に上がり、柑橘類が踊る。
僕とクーさんもユニヴァとホシマルちゃんの前の席に、とにかく座った。
GackNtは全員にビールを注ぎ終えると、誕生日席に当たる場所に着いた。
「こんなものしか用意できなくて済まないが・・・。」
「いっただっきま~す。」既にスプーンを手にしていたユニヴァがチキンカレーに執りかかった。
「さっき、ニャントロと連絡を取った。」食べるユニヴァにGackNtが言う。
「ふぅん。」ユニヴァがうわのそらに返事をする。
「フズリナを持って来る。」
その言葉にユニヴァが顔を上げた。
GackNtはそこまで言うと、後は黙って食事を始めた。
しばらくしてGackNtが僕を見たので、なんとなく僕はスプーンを置いた。
「どう?もっと辛くした方が良かった?」GackNtが僕に訊いた。
「う、うん、でもユニヴァやホシマルちゃんはたぶんこの方が・・・。」
「ええ、絶妙なバランス加減です。とっても美味しい。」ホシマルちゃんが白い口髭に着いたカレーをぬぐって言った。
「あたしはもっと激辛が好きよ。」ユニヴァは最後の海老をパクリと食べて言う。
「了解。」GackNtはそう言って、残りのカレーを食べ始めた。
翌朝リビングに行くと、そこにニャントロもいた。
「おはよう。」ニャントロが僕らに気付いて言う。
僕らはニャントロを囲んでソファアに腰かけた。
「何か事故が起ったとか?」ニャントロが言う。
僕はGackNtの言葉を思い出して、ニャントロには本当のことを言わないようにと心した。
「そうなの、ピカーッてね・・・」
ユニヴァが言いかけたので僕はユニヴァの腕をつかんだ。
クーさんがすかさず割り込んで言った
「僕らにもよくわからないんだ、気が付いたら見知らぬ場所にいて・・・。」
ユニヴァもGackNtの言葉を思い出したらしく、その後を続けた。
「なんとなく遠くに見えた建物に行ってみたら、何と彼がいたってわけ。」
「偶然・・・にしては・・・。」ニャントロが不思議そうに言う。
「ふんっ、この世に偶然などあるものか、これが我らの運命だったのだろうよ。」GackNtが場のムードをごまかすように言った。
テーブルの上には、ニャントロが持って来たのであろう一つのフズリナが置いてある。
「言っておくが、このフズリナはエネルギー充電が不十分な状態だ。」
「使えるの?」ユニヴァが訊く。
「ちゅら星へはまず無理だ。」GackNtはそう言って、フズリナを手に取った。
「どういうこと?」クーさんが言う。
「行ける場所まで・・・と言うことだ。」ニャントロが言った。
「行ける場所って?」ユニヴァが訊く。
「トリニタス!」
僕とクーさんは顔を見合わせた。
「トリニタスとは・・・あの妙な再生のしかたをして、未来を見渡せる人々達の住む星のことでしょうか?」ホシマルちゃんが乗り出して言う。
「ご存知でしたか、トリニタス星人を・・・。」GackNtがホシマルちゃんに言った。
「皆知ってるわよ、友達だもの。」ソファアにふんぞりかえっているユニヴァが言う。
「トリニタス・・・星人が・・・か?」ニャントロが不審そうに訊く。
「ちゅら星の灯台守のことですよ。」ホシマルちゃんがソファアの端から言った。
「なるほど、彼らが・・・。」
それから、GackNtは手にしていたフリズナをテーブルに戻した。
「トリニタスに行けば、定期的に開くポータルがある。」GackNtが言う。
ホシマルちゃんもその通りと言ったように僕らを見た。
「ええ、アルファルドへつながっています。」
ホシマルちゃんが知っているのであれば心強いと、僕は少し安心した。
「アルファルドって、あのヒツジと一緒にいたオレンジ色の髪の・・・。」ユニヴァがとっさに答えた。
アルファルドと言う聞き慣れない名前を、あの遊園地のレストランで初めて耳にしたことを僕は思い出した。
「ああ、そう言えばアルファルドとか言ってたな。」クーさんも思いだしたようだ。
「じゃあもう、ちゅら星に着いたようなものね。」ユニヴァがバンザイ風に伸びをした。
「まぁ、いろいろ迷惑をかけたが・・・。」GackNtがそう言いかけたところで、ニャントロが反応した。
「迷惑を・・・かけたのか?」
「いや、その・・・何かと彼らには世話になってきたということだ。」
ニャントロはそんなGackNtの言葉を無視するように、和やかな笑顔を僕らに見せた。
僕はその瞬間、完全にニャントロには全てバレているのだと直感した
それからユニヴァがテーブルのフリズナに手を伸ばした。
「そんなに急がずとも、再会を楽しんではどうだ?」ニャントロがユニヴァに言う。
「うん、レグルスを少し案内しよう。」GackNtが言った。
しばらくすると、空しか見えなかった窓の景色が変化していることに気付いた。
きのう窓から見下ろした景色だ。
たくさんの超巨大真珠が、あちこちに浮いているのが見える。
「本当にシャボン玉みたい。」
そう言っているうちに木の梢が見えてきた。
「あ、ドングリなってる。」クーさんが言った。
「見てください、リスが・・・ここにも。」ホシマルちゃんが楽しそうに言う。
音もなく着地したのは、広々とした芝生の庭だった。
「お腹が空いてきました。」ホシマルちゃんが芝生の庭を見渡して言った。
僕らは超巨大真珠なGackNt達の家を出て、芝生の庭へと踏み出した。
GackNtは庭を突き抜けて進んで行くので、僕らはただそれに従って進んだ。
ホシマルちゃんは時々庭の芝生をつまみ食いしている。
「美味しいとは言えないわね。」ユニヴァも一緒につまんでいる。
GackNtは芝生の先のドングリ林の中へと進んで行く。
木々の間を抜けてきた気持ちのいい風を、僕は胸いっぱいに吸い込んでみた。
「ちょっと~、どこまでいくのよぉ。」ユニヴァが僕を追い越して、GackNtの方へ走って行った。
川が見えてきた。
ちょうど小さめのクルーザーがドックから出てきたところだ。
スポンサーサイト



テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2013/09/30 15:28】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
| ホーム |
WhiteUniva∞ホワイトユニヴァ


れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

プロフィール

れもんちゅら

Author:れもんちゅら
こにちわ~!
Contact whiteuniva@gmail.com

teddybearSHOP:lemonchura

☆ちゅら星ヴィジュアル見に来て。

記事map

*ちゅら星*を途中から読まれるのに便利です。↓↓↓

全ての記事を表示する

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

category

月別アーカイブ

ブログ内検索

RSSフィード