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ちゅら星(107)
「・・・それで急いで走ったわよ、そしたらピカッーと光ってここにいたってわけ。」
ユニヴァが僕らの経緯を手短に話し終えた。
「で、ここどこなのよ。」改めてユニヴァが訊く。
ユニヴァはそう言うと、大きなガラス窓の方へ歩いて行った。
「高い!」ユニヴァは下を覗き込むようにして言った。
「キレイ、シャボン玉みたい。」
ユニヴァの言葉につられて、僕らも窓の方へと移動した。
「うわっ!超巨大真珠の群れ?」クーさんが驚きの声を上げた。
僕らの巨大真珠を何倍にも大きくしたような丸い物体が、空中にいくつも浮かんでいるのだ。
「ここでは誰でもこういう家に住むのが普通だ。下に降りれば自然を楽しむこともできる。」
GackNtはユニヴァに飲み物を差し出して言った。
「で、ここどこなのよ。」ユニヴァがグラスを受け取って再び訊く。
「レグルス。」
「・・・???」僕はクーさんを見た。
「ライオン座の近くか?」どうやらクーさんも知らない天体らしい。
「我らの本拠地だ。」GackNtが外の景色を眺めながら言った。
「へぇ、ここがGackNtの生まれ故郷かぁ・・・。」クーさんが窓から眼下を覗き込む。
「イヤ、生まれ故郷は・・・山猫座にある。」
「ねぇ、ニャントロもここにいるの?」ユニヴァが訊く。
「いや、彼女はまだあの星に滞在したままだ。」
GackNtはクーさんとホシマルちゃんにも飲み物を配った。
「ニャントロには内緒って言ったわよね・・・。」窓からの景色に見飽きたユニヴァが言う。
GackNtは僕にもグラスを差し出すと、ソファアに腰を下ろした。
「昔、ミンタカとアルニタクに変異装置を置いた。」
「ピラミッドのことね。」ユニヴァが言う。
「ええっ、あれGackNtが創ったピラミッドなの?」クーさんも寄って来てソファアに座った。
「中央のアルニラムに引きのポータルが開かれると知ったので、事前に衝撃を和らげる目的だった。」
「引きのポータルって何よ?」ユニヴァが言う。
「引きとは低次元方向という意味だ。引きのポータルはすぐに閉じられる、しかしうっかりポータルに陥ったり、しばらくの間つまらぬ災いを招いたりする事がある。」
「なぁ~るっ、それで遊園地を作ってみんなの気を散らそうって事ね。」ユニヴァが曖昧に
納得しかけた。
「私が創ったのはただの空間だ。」
「???」ユニヴァが僕にハテナな顔を向けた。
「空間を悪用されるとは・・・不覚だった。」
「アンタはいつも間抜けよ。」ユニヴァが静かに呟く。
「引きのポータルは双子座近辺から通ってきていた、あの辺りもポータルが多いが引きのポータルも多い、流れ者を寄せ集めた双子座流星団・・・それを率いるジェミニィ、やつが犯人だ。放浪していた彼らには絶好の場所だったのかもしれない。」
「へぇ、でもあのピカーってので一件落着でしょ。」ユニヴァが飲み干したグラスをテーブルにおいた。
「しかし気になることがひとつある・・・。」
それからGackNtはテーブルを見つめたまま黙っていた。ユニヴァはその横で、テーブルに頬杖をついてGackNtが動き出すのを待った。
そしてしばらくすると、ユニヴァはしびれを切らしたように言った。
「ちょっと、気になることがあるって気になるじゃないのよ。」
「うん、定かではないのだが・・・。」
「何でもいいわよ!」苛立ち混じりにユニヴァが言う。
「ジェミニィ・・・奴の消滅した痕跡がつかめないんだ。」
GackNtは大きくため息をついた。
GackNtによれば、あの閃光で低次元レベルのものはすべて消滅し、たとえばすり替えられたあの羊人間たちも無事にもとの身体に戻っていると言う。
当然、うまいこと身体をすり替えてミンタカやアルニタクに行った双子座流星団の一味たちも消滅しているそうだ。
ホシマルちゃんはそれを聞いて安心したのか、ソファアの隅で寝息をたて始めた。
「なのになぜ、そのジェミニィが・・・?」クーさんがテーブルにグラスをおいて言う。
「何か特殊な方法をとって、この世界に入り込んでいる・・・はずだ。」GackNtが音を立ててグラスをおいた。
そしてジェミニィについて僕らに話し始めた。
ジェミニィとは、双子座近辺に現れる引きのポータルを通じてこの次元にやって来た低次元の存在。
低次元の存在はそれ以上の次元域に適合した身体を求める、なぜなら低次元の身体だと消耗が激しいからだ、ジェミニィは低次元からやって来た者たちに乗っ取った身体を提供する。
その目的は分からないが、仲間を集めてさらに高次元へのポータルを探しているようだ。
ジェミニィがどのような乗っとり方法をとっているのかその詳細も分からない、ただジェミニィの特技は分身の術と幻覚キノコを使って巧みに幻影をつくりだすことだ。
「キノコって・・・キノコのお家いっぱいあったわよね。」
ユニヴァの言うあのキノコの家が幻覚の胞子を出していたのかもしれない。
「ねぇ、とにかくそれってジェミニィを取っ捕まえなきゃダメって事でしょ。」ユニヴァが言った。
「正に、その通りだ。・・・だが、成す術がない。」GackNtは諦めたようにソファアに寄りかかり腕を組んだ。
ユニヴァはしばらく空のグラスをいじっていたが、それから立ち上がると言った。
「術がないんじゃしょうがないわね、帰りましょ。」
クーさんが僕の顔を見た。
「帰るって?」僕は惑い混じりに言った。
「ねぇGackNt、ちゅら星辺りまでチャラッとポータル開いちゃってくれない?」ユニヴァが言う。
「無理!」GackNtの一撃だ。
「じゃあ、あの幻覚遊園地にピカーってお願いするわよ。」またユニヴァが言う。
「もう、あの空間は無い。」そしてまたGackNtの一撃。
「あの空間も、ミンタカとアルニタクのピラミッドも全て消滅した。」
「お家に帰りたいんですけど・・・。」ユニヴァがGackNtを睨んで言った。
GackNtは立ち上がるとユニヴァの言葉を無視して奥の方へ立ち去った。
それから1時間近くたっただろうか、窓から見える空の色が紫色に変わってきた、レグルスの夕方なのかもしれない。
それからしばらくして、GackNtが姿をあらわした。
「簡単にだが、向こうに食事の用意をした。」
その声に居眠り半分だったユニヴァが飛び起きた。
「キャッホ~!帰りたいけど、まずお食事よね。」ユニヴァはそう言って僕らを見た。
「いいですな。」すっかり眠り込んでいたホシマルちゃんも大きく延びをして言った。
僕とクーさんもユニヴァとホシマルちゃんの後を追った。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2013/08/28 15:08】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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