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ちゅら星(104)
アイビーの生垣が見えてきた。
「小さいけオ、フズヒげなおヒロね。」ユニヴァがポップコーンを口に放り込んでから言う。
「うん。」僕は答えて、アイビーのアーチをくぐった。
左右にある小さな池の不透明な黄緑色の水面は静止している。
そして小さなお城は全面アイビーに覆われていて、庭も含め緑一色だ。
「ん?・・・メニューだ。鯵のマリネ・・・仔鴨のロティ・・・オレンジ風味・・・」クーさんが読み上げた。
「フォンダンショコラ・・・ピスタチオのスフレ・・・。」ユニヴァも続ける。
「レストランテ・シャトウドフィーユ・・ふむ。」ホシマルちゃんが看板を読む。
「フォンダンショコラってチョコの何かでしょ、ケーキみたいなのよね?」そう言ってユニヴァが僕を見た。
「さぁ・・・?」
ユニヴァが小走りにお城の中へ入って行くので、僕らも続いた。
自動扉が開くと、エレベーターホールがある。
「ようこそいらっしゃいませ。」白手袋のウサギが僕らをエレベーターへと促す。
4階の最上階へ着いた。
ウサギの案内で、僕らは奥の窓側の席に通された。
窓は解放されていて、ツタをくぐった涼しい風が流れ込んで来ている。
アイビーのツタで覆われていても、葉の合間から案外景色がよく見える。
「・・・ええと・・・フォンダンショコラ。」ユニヴァが言った。
「それはデザート、まずは前菜から・・・ええと・・・。」クーさんがメニューを見回した。
「ロティって何よ・・・コンフィって・・・?」ユニヴァが立て続けにクーさんに訊く。
「ええっと、この昼下がりのコースを人数分・・・。」ユニヴァを無視してクーさんがウサギに告げた。
「かしこまりました。お飲物のメニューはこちらでございます。」
「っっと・・・シャトー・・・」ユニヴァがメニューを見て言いかけた。
クーさんはまたユニヴァを無視してウサギに告げる。
「白のハウスワインを・・・。」
今が何時なのかは分からないが、昼下がりのコースと言うことは午後の時間帯なのだろう。
僕らはあまり会話もなく、涼しげな窓の外を眺めて過ごした。
間もなくして、前菜がやって来た。
「ホタテ貝柱のマリネと季節の葉野菜です。」
ウサギの帰り際にユニヴァが何か言ったようだ。
しばらくすると、ウサギはシャトー何とかという別の白ワインを持って来た。
「うん、この方がおいしい。」ユニヴァがシャトー何とかを試して言った。
次に来たのは「白身魚のグリエと温野菜」
それから「仔鴨のロティ、バターライス添え」
結構お腹いっぱいになってきた。
ナプキンで口をぬぐったホシマルちゃんがおもむろに言った。
「向こうのテーブルに、気になる人物がいるんです。」
僕らはゆっくりそちら側を見た。
ホシマルちゃんよりはふっくらしたヒツジ人間が、オレンジ色の髪の女性と食事をしている。
「知り合い?」
「ええ。」ホシマルちゃんは短く答える。
クーさんが残りのワインを均等に分けた。
「妙な噂があると言いましたよね。」
僕ら全員、二度うなずいた。
「彼がその一人・・・。」
僕らはもう一度、ゆっくりヒツジ人間の方を見た。
「どうする?」ユニヴァがホシマルちゃんを上目遣いに見て言う。
「うむ・・・ただ、わたしも彼と親しかったわけでもなく・・・。」
「話したことは?」
ホシマルちゃんは首を横に振った。
僕らは黙ってテーブルの中心あたりをただ眺めた。
「お待たせしました。デザートのケーキビュッフェです。」
ウサギが運んできたのは、かなりの種類のデザートが並んだワゴンだ。
ユニヴァは立ち上がって、ワゴンの側に出てきた。
「ええと・・・フォンダン・・・。」
「こちらがフォンダンショコラでございます。」
ウサギはにっこり笑って、フォンダンショコラを一つお皿に乗せた。
「それからぁ・・・この・・・」
「タルト・オ・フィグ、イチジクのタルトでございます。」
「イチゴの・・・」
「こちらが木イチゴのフロマージュ、こちらはイチゴのミルフィーユでございます。」
「この茶色いのは?」
「バナナのタルトをチョコレートでコートしたものです。」
ユニヴァの皿の上には、もう5つもケーキが乗った。
ユニヴァは満足そうな顔を僕らに向けて席に着いた。
次に、ウサギが僕の方を見てにっこり笑って見せた。
僕は、30種類は下らない色とりどりのケーキを眺めた。
結局美味しそうなのは、地味な装飾のフォンダンショコラやオペラのような気がする。
僕が、フォンダンショコラとオペラを選ぶとウサギが言った。
「こちらのフィヤンティーヌもお勧めですよ。」
「じゃあ、それを・・・。」
僕は3個の茶色いケーキがお皿に乗ったところでオーダーをストップした。
「では、わたしも彼と同じものを・・・。」ホシマルちゃんが言った。
「僕もそれで・・・。」クーさんまでも僕のチョイスを盗んだ。
デザートのケーキも食べ終えて一息ついていると、ケーキのワゴンが僕らの脇を通り過ぎて、あのヒツジ人間のテーブルへと運ばれて行った。
「あのヒツジな人、ゲームの分身じゃなくて本人なんじゃないかな?」ユニヴァが言う。
「・・・ええ、ですから、ここから戻って来た彼はまさに別人だったわけです。」
「・・・って事は、今ミンタカで暮らしている方がゲームの分身って事?」クーさんが僕を見て言う。
僕はゆっくりうなずいた。
「ん?・・・あれ使える!」ユニヴァは小さく叫ぶと、ウサギを呼んだ。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2013/05/26 17:06】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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