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ちゅら星(102)
僕とクーさんが巨大真珠に乗り込むと、ホシマルちゃんが言った。
「昔、私が見たピラミの扉にはこんな仕掛けは無かった・・・。」
「とにかく、水が引いたら何か分かるわよ。」ユニヴァがホシマルちゃんの疑惑を遮るように言った。
そして、そう言う間にも巨大真珠を池の真上に移動した。
見るとすっかり水は引いてしまっていて、底には赤黒い木の実がたまっている。
「なんだ・・・ 。」
と言うユニヴァの呟きに等しく、池の水深は僅か2メートル弱だ。
がっかりしているとクーさんが言った。
「よく聞いて!」
「んん?水滴が響いているようです。」ホシマルちゃんが耳をピンと立てて言う。
よく見れば、ふちに沿って降りているスロープは更に深くまで続いているのが分かる。
「そこに見えるのはフィルターなんだ。」クーさんが言った。
このフィルターでジャングルから落ちる葉や果実が内部に入ることを防いでいるようだ。
「仕方ない、降りてスロープを歩くしかないよ。」僕が言った。
「まだ湿っていて滑りそうだな。」クーさんがアンチな反応をする。
「まったくぅ・・・。」ユニヴァはそう言うと、巨大真珠をビーチボール程度に縮小化した。
僕らは池のスロープに沿って、縮小化した巨大真珠で進んで行く。
フィルターの下に入ると、いくつもの水滴が落ちる音が反響していて、まるで巨大水琴窟の中だ。
「何にも見えない。」ユニヴァが言って、小さくライトをつけた。
「底はだいぶ深いぞ、水滴の音で分かる。」クーさんが言う。
確かに、水滴の響く音源はだいぶ下の方に感じる。
「何かある。」またユニヴァが言った。
池の中央に何か四角い物体があるのが分かる。
「ピラミの扉の先端では?」ホシマルちゃんが中央の物体に目を凝らしながら言う。
「パァッと照らしちゃうわよ。」ユニヴァは言って照明を強くした。
「わぁあ!」一斉に言った。
目の前の四角い物体からすそ野を広げるようにして、眼下に巨大な四角錐が鎮座している。
「行くよ。」ユニヴァが言って、巨大真珠はスロープをどんどん深く深く降りて行った。
スロープが終わり、池の底に到着すると、目の前にはピラミの扉の北側にあるという両開きの扉が確かにあった。
「ちょっと狭いじゃない、ここじゃ巨大真珠を元に戻せない。」ユニヴァが言う。
僕らは巨大真珠を縮小させたままでは船外に出ることができないのだ。
スロープの幅は約50センチ、ここにはこれだけのスペースしかない。
「少し上まで戻ろう。」クーさんが言った。
そう言えば、ピラミッドは上に行けばいくほど小さくなっているのだ、少しのぼればスペースはいくらでも確保できるのだった。
僕らは10メートル程さかのぼってから、巨大真珠を標準サイズに戻し、一人ずつスロープへと用心深く踏み出し、再び下へと降りて行った。
扉の前に到着した先頭の僕が、両扉に手をかけた。
「ビクともしない。」僕は続く皆を振り返って言った。
「ツーか、普通そう言うのって引くんじゃないの?」スロープの少し上からユニヴァが言う。
そう言われて引いてみると、あたかも軽く開いた。
「ほい、4人ね。」
いきなりフクロウのような、いやフクロウタイプのヒューマノイドのおっさんが眼鏡を上げて言う。
「大掛かりでビックリした?」フクロウのおっさんは笑って僕らに言う。
振り返るともう一人そっくりのフクロウおじさんがそばでニコニコ笑っていた。
「ジャングルの木の実ね、毎年巨大化していくのよ。」またおっさんは笑って言う。
「ああ、あの赤黒ヤツにはまいるわ。」ユニヴァが言う。
「そう。でもこうして水につけとけば、時々フィルターを掃除するだけで済むからね。」そしておっさんはまた笑う。
どうやら、ピラミッドを木の実の汚れから守るために水没させているらしい。
「んじゃ、適当なところに腰かけて。」もう一人のフクロウおじさんが僕らを奥へ促した。
僕らは中央に設置されているシートベルト付きの椅子に座った。
おじさんは一人一人のシートベルトを確認してから、一人一人に小冊子を配った。
パラパラめくってみると、簡略地図などが載っている。
これから行く先の案内なのだろう、遊園地のガイドのようなものだ。
「パンフレットは後でゆっくり見てね、じゃあしっかり捕まって。」
ザンッッ!!
僕らは一気に椅子ごと落下したようだ。
虹色の光が一気に上昇していくのが見える。
ワフンッッ!!
柔らかなクッションを感じて、何処かに到着したようだ。
「遊園地のアトラクションか?」クーさんが、若干青い顔で言う。
更に隣を見ると、ホシマルちゃんが四角い瞳を見開いて固まっている。
僕は生死を確認するようにバシバシとホシマルちゃんの肩をたたいた。
「はぁ、着きましたか。」ホシマルちゃんが瞬きをして答えた。
楽しげな音楽が鳴り響いている。
ジェットコースターが轟音を立てて通り過ぎて行った。
すぐ横には海洋生物が回るメリーゴーラウンド。
「ユニヴァ・・・。」僕は小さくつぶやいた。
いつの間にかシートベルトを外して、ユニヴァはもうメリーゴーラウンドの黄色いイルカにまたがろうとしている。
「ちょっと、あの子・・・。」すぐ横でユニヴァの声がした。
「ユニヴァ・・・。」僕は僕の横でシートベルトを外したものの、未だ椅子に座っているユニヴァを見た。
「ユニヴァかと思ったよ。」僕は言った。
クーさんとホシマルちゃんは、やっと落下のショックから回復したようだ。
そしてここは、あのトリニタス星人が教えてくれた・・・
「分身化とはちょっと違うが・・・まぁ行ってのお楽しみって事にしておこうか。」
彼はそう言っていたけれど、いったいここがどんな場所なのか、手掛かりはこのパンフレットだけだ。
「何よコレ、ここ遊園地なの?」ユニヴァがパンフレットを見ながら言う。
パンフレットの地図には、遊園地の敷地とそれを囲む水域が描かれているだけだ。
「回りは海なのかな?」クーさんが言う。
「ええ、遊園地ですよ。」唐突にホシマルちゃんが言った。
「ジャングルを抜けて、ピラミの扉に行きつけた者だけが到達できるという、伝説の遊園地と聞いています。」ホシマルちゃんが言う。
「伝説の遊園地・・・。」
「ただ、妙な噂もありまして・・・。」
「妙な噂?」クーさんが瞬時に反応する。
「記憶をなくして戻って来たとか、性質が別人のようになったとか・・・。まぁ極稀な話ですがね。」
ふと気がつくと、メリーゴーラウンドの右にあるポップコーンマシーンにいつの間にかクーさんがいる。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2013/03/26 14:42】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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