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ちゅら星(101)
45.ジェミニィ
ホシマルちゃんはローズティとクッキーが山盛り入ったカゴを用意してくれた。
「フム・・・海の向こうの・・・遺跡・・・。」
そう言って斜め上を見つめるホシマルちゃんの顔を僕らは眺めていた。
「うん、ジャングルの奥のピラミの扉!・・・まさにそのことでしょう。」
「ピラミの扉?」僕が言った。
「それが、その遺跡の名前なのね。」ユニヴァが脳内にメモった様な顔をして言う。
「その遺跡って・・・所謂ピラミッド?」クーさんが訊いた。
「はい、ピラミッド型をしていますよ。そして北側の面に両開きの扉があるんです。」
「それで、ホシマルちゃんはそこに行ったことは?」ユニヴァが訊く。
「一度だけ、大分昔のことです。」
「ポータルの先へは?」クーさんが訊く。
「近くにあって、いつでも行けると思うと案外行きそびれるものです。」
「それじゃ、ホシマルちゃんも乗って!」
ユニヴァはそう言って立ち上がると、無造作にクッキーのカゴをひょいと持ち上げた。
ホシマルちゃんも乗せた巨大真珠は、羊たちの大草原を海に向かって進んで行く。
ホシマルちゃんはさっきのローズティを携帯ポットに移してきてくれたので、僕らはお茶の続きを巨大真珠の中で楽しんだ。
「ところで、どこで遺跡の話を聞かれたのですか?」ホシマルちゃんが皆にローズティを勧めながら言う。
「ミンタカに滞在していたトリニタス星人が教えてくれたのよ。」ユニヴァが答えた。
「ト・・・トリニタス?」ホシマルちゃんが驚きを見せた。
「あなた方はトリニタス星人に何処かで出会ったのですか?」
「ホシマルちゃんだって会っているんだよ。」クーさんが言った。
「灯台の・・・」僕が言いかけた。
「あの小さな動物と大きな・・・。」ホシマルちゃんは遠くを見て一人でうなずいた。
ホシマルちゃんはトリニタス星人について、妙な再生のしかたをして、未来を見渡せる人々だと語った。
僕らがその再生の瞬間に立ち会った事を言うと、ホシマルちゃんは驚きでお茶を吹き出しそうになった。
そして巨大真珠は大海原をかなり高い高度で進んで行き、島々が見え始めてきたところで少しずつ高度を下げていった。
「それじゃあ、もうあの小さな動物と大きなあの方はあの灯台にもう居られないのですね。」ホシマルちゃんがしばらくたってからまた言った。
「うん、三位一体化しちゃったからね。」僕が言う。
「では、再生して現れた方があそこに・・・。」
「今度紹介するわよ。」ユニヴァが言う。
それからユニヴァは、手土産にはワインがいいということをと付け加えた。
「分かりました。」ホシマルちゃんが行く気満々に答えて言った。
トリニタス星人が言った通り、巨大ガエルの沼地の先に大きな島が見えてきた。
ユニヴァは一気に高度を下げる。
「遺跡は島の中央です。」
「この島、どれくらいの大きさなのかしら?」ユニヴァはひとり呟いてモニターを見る。
それから、ユニヴァはまた高度を少し上げた。
「けっこう大きい島みたい。」
僕らは島全体が俯瞰できるくらいまで上昇してから、螺旋を描きながらゆっくりと再度降りていった。
「何にも見えないけど。」ユニヴァがボソリと言う。
「ジャングルの中に潜んでますから、外からは見えません。」ホシマルちゃんが言う。
「とにかく中央付近に降りるわね。」ユニヴァは垂直に高度を下げていった。
ガサゴソと木々をかき分けて巨大真珠はジャングルの中へと降りていく。
「何よ、これ!」ユニヴァがヒステリックに言う。
回り中赤黒いドロドロしたものに覆われて、視界が遮られている。
ユニヴァが巨大真珠にクリーニングをかけた。
直ぐに視界は広がった。
赤黒いドロドロは、ここに群生している木の実の仕業だったようだ。
地上も落ちた赤黒い果実で埋め尽くされている。
「座標的にはここが島の中央なんだけど・・・。」ユニヴァがモニター画面をにらみながら言う。
辺りを見回してみても、それらしきものなど見当たらない。
それから付近を巨大真珠で巡回してみたが、全くただのジャングルだ。
その時、ドサッと頭上で音がした。
落ちてきた赤黒い果実が巨大真珠に命中したのだ。
赤い果実は巨大真珠の球面をずるりと滑って、クーさんの目の前辺りを赤黒く染めた。
また一つ近くに落ちた音がする。
10センチ大の柔らかい実は、落ちると崩れて内部の赤黒い汁を飛び散らせる。
ボチャン。
「ん?」全員が今した妙な音の方に意識を向ける。
「そこ、池になってる?」僕が呟く。
すると即座にユニヴァが言った。
「ピーちゃん降りて見てきてよ。」
クーさんが僕以上にぎょっとした顔を僕に向けた。
しかし僕と、そしてクーさんはユニヴァに言われるがままに赤黒い実の大地に降り立った。
「どう?」スピーカー越しのユニヴァの声がする。
僕らは足を取られないように慎重に進み、ユニヴァの声は無視した。
全ては草と赤黒い果実一色に覆われていて、池も何も区別がつかないのだ。
僕とクーさんは適当な棒切れで足元をつついて回った。
「クーさん、ここからが池みたいだ。」
僕がそう言ったので、クーさんがこちらに寄って来た。
「うわぁー!!」
ジャブッッ。
クーさんの片足が池に突っ込んだのだ。
「浅いようだね。」僕が言った。
僕はなるべく長い枝切れを探してきて、池の水深を図ってみた。
どうやら浅いのは縁のあたりだけで、中央付近は深くなっているようだ。
「まさか池の中に?」スピーカー越しのユニヴァが言う。
そこで僕とクーさんは、一度巨大真珠に戻ることにした。
僕は巨大真珠に乗り込もうとした。
「うわぁー!!」またしてもクーさんの悲鳴だ。
どうやら何かに躓いたらしく、手と膝をついて、すっかり赤黒い実にやられている。
僕は戻ってクーさんが起き上がるのを手伝った。
「ちょっと!水が引いて行く。」ユニヴァが言っている。
振り返ると、池の水が10センチも下がっていて、その輪郭が現れていた。
直径にして10メートルに足りない程度の綺麗な円形をしている。
「これか?」クーさんが足元を見ていった。
そこにはクーさんを躓かせた物体らしきものがある。
「これ、スイッチぽいね。」僕が言った。
「オレ、スイッチ入れちゃった?」
僕が頷くと、巨大真珠の中のユニヴァとホシマルちゃんも頷いていた。
僕らは、水位が下がっていく様子を黙って見守っている。
池のふちに沿って、50センチ程度の細いスロープが螺旋を描きながら緩やかに下にへと続いているのが見えてきた。
その下りのスロープは、明らかに僕らを遺跡に案内しているように感じた。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2013/02/21 16:10】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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