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ちゅら星(100)
マジックショーのようにして出現したその男は、三位一体化前の赤い髪や青い髪の男達に由来してトリちゃんに比べると頑丈さがあり、表情からして凛々しい感じがする。
そして彼の耳をかすめる髪は、紺色をしている。
だいたいトリちゃんの方は体格的には十分なのだが、あのピンクの髪のデザインゆえか、妙な色気としなやかさがあるのだ。
「これで300年くらいは十分にもつ・・・が、たぶん100年足らずで飽きるだろうなぁ・・・。」
着替えを終えた紺色の髪の男は、唖然と彼を見ている僕らを見回してそう言った。
「飽きたらまた三人に分かれるって事?」ユニヴァが訊く。
「そう、そして新しく創った体を20年くらいかけて熟成させるってわけだ。」
「じゃあ、トリニタス星人にはいつ手紙が来るの?」ユニヴァがまた訊く。
もちろんこんな珍しい話には、僕とクーさんも興味津々だ。
「ああ、あ~ゆ~もんはこっちから頼んだ時に届くんだ。」
僕はどうやってターニングレターを頼むことができるのかちょっと不思議に思っていると、クーさんが言った。
「ターニングレターをこっちから頼むことができるなんて・・・。」
「頼まねぇから、いきなり届くんだよ・・・でもまぁ、この辺の宇宙域はまだ物騒だから、事故で逝っちまう方が多いのかもなぁ・・・。」男はそう言って笑った。
「さぁできたよ、運んでくれる?」夕飯の用意ができたようだ、トリちゃんが僕らに声をかけた。
美味しそうなトマトソースのマカロニだ。
「後・・・残り2本だ。」そう言いながらトリちゃんがワインの栓を抜いた。
「ちょっと、それ催促してるの?」ユニヴァがトリちゃんの涼しい顔を覗きこんで言う。
当然ながら、トリちゃんの料理は言うこと無しに美味い。
「ところでゼータ、この三人はお前の友達って事でいいのか?」マカロニの手を止めて男がトリちゃんに言う。
「うん、恩人だ。」
男は黙ってうなずくと、またマカロニを食べ始めた。
僕は今、彼がトリちゃんのことをゼータって呼んだような気がした。
「相方って、あんた達はどういう関係なの?」ユニヴァが訊いた。
「兄弟だ。」紺色の髪の男が答えた。
「へぇ~。」
ユニヴァが軽く納得して、僕らはまたマカロニを食べた。
「違うよ、親友だ。」トリちゃんが言い直した。
「一緒にいるべき存在だ。」男がまた言い直した。
そしてまたマカロニを食べ始めると、またトリちゃんが言う。
「いつか次のもう一人が現れたら、僕らはグレートターニングレターをもらうことができるんだ。」
「何それ、凄い三位一体化でもするの?」ユニヴァが面倒臭そうに訊く。
トリちゃんは静かにうなずいた。
僕にはよくわからないが、誰だかもう一人揃うと超ハイヤーな宇宙へ移行できるってことらしい。
「お代りあるよ。」
トリちゃんの超現実的なその言葉に、僕らは全員マカロニのお代りをもらった。
「ねぇ、トリニタス星ってどこら辺にあるの?」ユニヴァがヤバそうな質問を始めた。
ユニヴァのことだ、巨大真珠を放り出して、「今すぐ乗って!」何て言いかねない。
しかし僕の予想に反して、どうやらユニヴァはトリニタス星へ行くことよりも三位一体化に興味があるようだ。
「じゃあ、あたし達がトリニタス星へ行ったところで、新しい体を手に入れることはできないって事なの?」ユニヴァがワインでマカロニを流し込むようにして訊く。
「まず、君らは分身化できないだろう・・・。」紺色の髪が言う。
ユニヴァはちょっとがっかりした様子だ。
それからしばらくは、お代わりしたマカロニを黙って食べていた。
トリちゃんは2本目のワインを持って来た。
「いいことを教えてやろう。」突然紺色の髪の男が言う。
「そこにポータルがあるから、ミンタカのことは知ってるだろう?」
僕らは黙ってうなずいた。
「海を進んでいくと諸島があって、大きな沼地が目につく場所がある。」
また僕らは黙ってうなずいた。
「そうだ、あのサンドウィッチの巨大ガエルの産地だ。」
ユニヴァがハテナ顔で僕を見た。
「それを抜けると大きい島がある。ほぼ全域ジャングルに覆われていて、中央付近に古代遺跡のようなものがあるんだ。」
「へぇ、今すぐ行きたい。」ユニヴァがボソッとつぶやいた。
「その遺跡の地下にポータルがある。」
この言葉で、完全にユニヴァの好奇心が刺激されたのが分かった。
なぜなら、僕の好奇心もちょっと動いたからだ。
「どこに繋がってるの?」ユニヴァの目が輝いている。
「分身化とはちょっと違うが・・・まぁ行ってのお楽しみって事にしておこうか。」
ユニヴァがニタニタして僕とクーさんを見た。
クーさんがワインを飲みほしたので、僕もワインを飲みほしてみた。
それから案の定、ユニヴァはミンタカ星へすぐに行こうと言いだした。
僕が「だって夜だよ?」と言ったものの、ユニヴァにミンタカの時間帯なら昼間に決まっていると言い返された。
そして案の定、僕らはポータルの洞窟を抜けて、真昼のミンタカへやって来たのだ。
「ホシマルちゃんの所に寄って、情報収集でもしていく?」クーさんが言う。
ユニヴァはその提案にうなずくと、巨大真珠を放り出した。
僕らは眼下に羊たちが草をはむ景色を眺めて、ホシマルちゃんの家へと向かった。
しばらくするとクーさんがポツリと言った。
「さっき、トリちゃんの本当の名前を聞いたような気がした。」
「ああ、ゼータって言ってた。」僕が言った。
「トリちゃんで十分よ。」ユニヴァが言う。
「じゃあ、紺色の髪の方は何て呼ぶ?」クーさんが訊いた。
「コンちゃんでいいわよ。」ユニヴァが言う。
そんな他愛もない話をしているうちに、もうホシマルちゃんの家が見えてきた。
「あ、裏庭にいる。」
ホシマルちゃんが庭で草を食べているようだ。
ユニヴァは巨大真珠をゆっくりと旋回させながら、高度を下げていく。
ホシマルちゃんが僕らの巨大真珠に気がついて、僕らはホシマルちゃんの裏庭に着陸した。
「お変わりないようで何よりです。」
「ホシマルちゃんも。」
久しぶりのあいさつを交わした。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2013/01/21 16:35】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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