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ちゅら星(99)
「こいつぁ美味いサンドウィッチだ!」赤っぽい髪は大声でそう言って、僕が置いた紅茶を飲んだ。
そして僕らも久しぶりにミンタカのサンドウィッチを口にした。
「ポータルって・・・オマエどこから来たんだ?」青い髪が赤っぽい髪に訊いた。
「ああ、ほらあの三つ星の・・・。」
「へぇ~・・・どうだった?」また青い髪が訊く。
「うん・・・羊をかわいがってるんで、食うわけにはいかない。」
「じゃあダメだな・・・。」
僕らは黙ってサンドウィッチを食べていた。
「んじゃ、このパンに挟んであるのは何の肉だ?」青い髪が手に持ったサンドウィッチを見て言う。
「それはカエルだ、巨大ガエル。」
僕とクーさんは食べる手を止めて、見つめ合ったまま静止した。
「オイどうした、見つめ合って・・・仲が良すぎるぞ!」赤っぽい髪が僕らに言う。
それから赤いっぽい髪と青い髪の二人は、二つ目のサンドウィッチに手を伸ばした。
それを見て、僕とクーさんはまたサンドウィッチを食べ始めた。
そうあの時の、あのレモン星の男の子の初の宇宙旅行の時の、あの沼地にいたあの巨大ガエルだ。
僕はあの時のクーさんの叫び声を思い出した。
「そう言えば、あの時は怖かったよね。」クーさんが平然とサンドウィッチを頬張りながら言う。
「・・・。」僕はそんなクーさんの様子をただ見つめた。
「でも、サンドウィッチになっちゃえば美味いだけさ。」クーさんは笑ってまたサンドウィッチを齧った。
僕も笑ってサンドウィッチを齧った。
「何か聞こえないか?」青い髪の男が僕らの顔を見た。
めえぇぇぇぇぇぇぇ・・・。
「ああっ!ユニヴァだ。」僕は慌ててキッチンの奥へ走った。
ユニヴァとトリちゃんが床下に戻って来ているに違いない。
僕は床穴を開けるため、舵を左に切ろうとした。
動かない。
そうだ、ポケットにしまった鍵のことを忘れていた。
「めえぇぇぇぇぇえええ~~~・・・。」ユニヴァの『めぇ~~』が大きく反響してくる。
僕は慌てて舵の中央に鍵を差し込んだ。
「うわっ、なんだぁ~!!」サンドウィッチを食べていた二人が声を上げた。
見ると、ユニヴァとトリちゃんの姿がキラキラと輝く砂煙を凝縮するようにして現れたのだ。
「お・・・お帰り。」クーさんが目の前に現れたユニヴァ達に言う。
「何で閉めたのよ。」ユニヴァがボソッと言った。
「お客さんが来たからね・・・。」
クーさんがそう言うと、ユニヴァは二人の客人をチラリと見てからトリちゃんを見た。
「今迎えに行ったんだよ、顕微鏡から脱出したとは思わなかったからね・・・。」トリちゃんが青い髪の男に言った。
「顕微鏡?・・・ああ、あの賑やかなエレベーターか。」青い髪の男が言った。
青い髪の男は、突発型の渦を抜けてこの灯台の暗い地下に着いたらしい。
そして、あのスゴイ顕微鏡の宇宙のドンパチを見た後、山の上から外に出て、外を回って灯台に辿り着いたと言うことだ。
「相方ってこの二人のことなの?」ユニヴァは言って、サンドウィッチのカゴに手を伸ばした。
トリちゃんは辺りをきょろきょろと見回して言った。
「ポスト・・・見た?」
青い髪が首を振った。
トリちゃんは外に出て、階段を下りて行く。
直ぐに戻って来たトリちゃんは、小さな包みを持っていた。
「届いていたよ。」トリちゃんはそう言って、テーブルに包みを置いた。
「いったいアイツ、何処からだ?」赤っぽい髪の男は言って、包みの宛名を眺めた。
「へぇ、レモン星ね・・・。」
「レモン星からなの?」ユニヴァが乗り出して包みを見た。
赤っぽい髪が包装を乱暴にむしり取ると、小さな黒い箱が出てきた。
「妙な移動方法を思いついたものだな。」トリちゃんが言った。
「ワオッ!」箱の中身にユニヴァが声を上げた。
クッションを引いた箱の中に、2本の小さな瓶が並んでいる。
一つの瓶の中では白い光が回転していて、もう一つの瓶では金色の光が回転している。
「どういうこと?また三位一体化するの?」ユニヴァが三人のトリニタス星人を見た。
「見てるといいよ。」トリちゃんはそう言って静かに笑った。
赤っぽい髪の男が、金色の光が入っている瓶を手に取った。
「コイツ・・・どうする?」
「飲んじまえばいいだろう。」青い髪が言う。
すると赤っぽい髪はビンの蓋を取って、金色の光を自分の口の中にふわりと落とした。
白ネズミの赤い火を飲んだ時のGackNtように、気を失ったりはしない様子だ。
「さてと、ついでに次も行くぞ。」
そう言うと、赤っぽい髪は白い光の瓶の蓋を開けた。
この白い光は、この前の小さな動物達の時のものに似ている気がした。
また赤っぽい髪は上を向いて、口の中にビンの中の光を落した。
すると今度はあの時のGackNtと同様、すぅ~と椅子にもたれかかって意識を失っていった。
僕らはトリちゃんの顔を見た。
トリちゃんはただその様子を静かに見つめていた。
赤っぽい髪の男の身体の輪郭がゆらゆらと揺らめいていくのが分かる。
まるで蜃気楼か何かのようだ。
そして次第に内側から光があふれ出てくるのと同時に、輪郭が消えていく。
もう、バレーボールくらいの白い光だけになってしまった。
その光は更にどんどん小さくなっていく。
まるで凝縮されているかのように小さくなるにつれて、光が強くなっていくのが分かる。
「大丈夫なの?」ユニヴァが小さく言った。
トリちゃんが静かにうなずく。
「ショータイムだ。」青い髪の男はそう言っておもむろに立ち上がると、宙に浮かぶクルミほどの大きさになった白い光をつまんだ。
それから、男は僕らの方を見てニイッと笑って見せた。
僕らはマジックショーでも見るかの心境で、息もつかずに彼の手元を見守った。
そして彼が白い光をヒョイと口の中に放り込んだのだ。
彼は床にヨロリと倒れ込み、トリちゃんがそれを軽く受け止めた。
さっきの赤っぽい髪の男と同様に、次第に輪郭が薄れて行く。
蜃気楼のようになった身体内部が輝きだしたのが分かる。
さっきの時の光とは少し様子が違うようだ、キラキラと小さな粒が蜃気楼の体全体に広がって行く。
「ああ、何か出来あがっていく。」ユニヴァが呟いた。
「髪は紺色?」ユニヴァが独り言のように言う。
三位一体化した新しい体が現れてきたのだ。
「悪いけど、その扉の中にある服を取って来てくれ。」トリちゃんが言ったので、僕が動いた。
言われた扉を開けると、綺麗にたたまれた一式の服が置いてあった。
それを持っていくと、トリちゃんの傍らには紺色の髪の裸の男が横たわっていた。
「さぁ目を開けて。」トリちゃんが男に呼び掛ける。
「レディに失礼だ、起きて服を着て。」トリちゃんが軽く男の頬をたたく。
レディとはユニヴァのことだろうか。
レディは事の成り行きを、わき目も振らずに見守っている。
すると突然、男は大声と共に飛び起きたのだ。
「うぁああ!」
それから自分の体を見回して言った。
「上等だな。」
それから男は僕が持って行った服を掴んで椅子に腰かけると、着替えを始めた。
トリちゃんも立ち上がると、まるで何事もなかったかのようにキッチンに入って行った。
そして、僕らの方を見て言った。
「食べてくでしょう?」
僕らは黙ってうなずいた。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2012/12/21 17:13】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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