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ちゅら星(95)
そして僕らがケルプの森から海岸に戻ると、小さな動物たちの姿は見えなくなっていた。
僕らは灯台に続く小道を上がって行った。
扉を開けて中に入って行くと、テーブルを囲んでいた三人がこちらを振り返った。
「海水浴はどうだった?」小さな動物が言った。
「虹色のイルカがきれいだった。」ユニヴァはそう言って、ピンクの髪の隣に座った。
「きれいね・・・。」ユニヴァがテーブルの上の物体を眺めて言う。
ジャムの瓶に似たガラスの容器の中で、白い光が回転している。
ピンクの髪がガラス瓶を軽く指ではじいて微笑んだ。
「何なの、これ。」僕とクーさんも適当な椅子に腰掛けた。
「私だ。」
「僕。」
「あ・た・し。」
大きな男と小さな動物とピンクの髪が交互に言った。
「何なのよ、あんた達・・・。」ユニヴァがふてくされたように頬杖ついた。
そして僕らは、その不思議な光る物体をただ眺めていた。
しばらくして大きな男は立ち上がると、キッチンに向かいながら言った。
「君たちも食べて行くだろう。」
夕食のことだ。
僕らはピンクの髪も送り届けたわけだし、後は妖精をピクニックのドームに送り届ければすべてがひと段落着くのだ。
夕食の誘いを断って、僕とユニヴァとクーさんとそして妖精は巨大真珠で灯台のドームを離れた。
ピクニックのドームは、もう西日が伸びる夕方なこともあって、広場にもほとんど人影はなかった。
遠くでテーブルクロスをたたんでいたグループが、こちらに手を振っている。
「行ってみよ。」ユニヴァが言って、僕らは歩いて向かった。
「ああ、赤いクマの・・・。」僕はユニヴァの友達の赤いクマだとすぐに分かった。
僕らが近づいて行くと、赤いクマは僕らの周りを飛び回っている妖精に気づいたようだ。
「あっ!ユニヴァの後ろに夕方の妖精・・・。」
「夕方の妖精じゃないわよ・・・。」とユニヴァが笑ったとき、僕は草陰にきらきら光るものを感じた。
「うわぁっ、いっぱいいるよ。」クーさんが茂みを指差して言った。
銀色に光る羽を羽ばたかせて、たくさんの妖精が森から姿を現したようだ。
「夕暮れ時には、川で水浴びをするのよ。」赤いクマが静かに言った。
いつの間にか僕らは、大軍の妖精の中に連れの妖精の姿を見失っていた。
「まだお茶が残っているわ、どう?」赤いクマがポットのお茶を勧めてくれた。
僕らはミントティーで一息つきながら、涼しげな妖精の水浴びを眺めていた。
「水浴びしちゃった。」突然耳元で声がした。
連れの妖精が戻ってきていたのだ。
そばで羽ばたかれると、水滴があたる。
「連れて来てくれてありがと、おかげで楽しくなりそう。」
妖精はそう言うと、近くにいた白い髪の少年の手を取って空中へ舞い上がった。
もちろんその少年というのも銀色の羽根の小さな妖精だ。
「もう仲良しを見つけたようだね。」クーさんが言った。
だいぶ日が落ちてくると、次第に妖精たちも姿を消していった。
赤いクマたちのグループもすっかり後片付けが済んだようだ。
ユニヴァが巨大真珠をボワンと出した。
僕とクーさんもそれそれに自分の巨大真珠を用意した。
僕が乗り込もうとしたとき、また耳元にあの妖精がやって来た。
「それじゃまたね。」
妖精は軽くそう言うと、白い髪の少年と共に飛んで行く。
森に消えて行く妖精の姿を僕らは見送った。
「それじゃまたね。」ユニヴァが妖精を真似て言った。
ようやく僕らに帰宅の時がやって来たのだ。
僕の巨大真珠に乗り込むと、モニターにユニヴァが映った。
「灯台の光るアレ、気にならない?」ユニヴァが言った。
「明日、明日。」クーさんが疲れたように答えた。
そして、僕らはそれぞれの住処に無事帰ったのだ。
・・・というのもつかの間、翌日の午後にはユニヴァが僕の家の玄関先に現れた。
「レモン星は連絡取りにくいから、迎えに来たのよ。」
そして僕は一日足らずで、またユニヴァの部屋に戻って来た。
「クーちゃん遅いわね。」ユニヴァが腕組みしてつぶやくと、そしてそこにクーさんもやって来た。
僕とクーさんをソファアに座らせると、ユニヴァが神妙な顔で言った。
「さっき思い出したんだけど・・・あの灯台の光る物体・・・色と大きさは違うけど、白鼠にウォークインしたときにGackNtが身体を保存していたものに似てるのよね・・・。」
「身体・・・?」クーさんが言った。
「それとも白鼠の魂なのかなぁ・・・?」ユニヴァがつぶやいた。
僕はなんだか急に、灯台のドームへ行きたい気分が増してきたように感じた。
「よし、行こう。」クーさんが言った。
そして僕らは、灯台のドームへ向かった。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2012/08/21 15:48】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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