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ちゅら星(93)
「ちゅら星って・・・ここどこかしらね?」ユニヴァが辺りを見回して言った。
僕らの背後には、今出てきたばかりの滝が煙のようにうごめいている。
そして僕らの巨大真珠は、その滝壺の真上に浮かんで静止している状態だ。
滝壺は薄暗く、直径50メートル位の綺麗な円形をしている。
そして四方は緑の苔むした壁が、頭上高く100メートル近くまでそびえている。
上空に丸く切り取られた空が小さく見える。
「とにかく上空に出て見ましょう。」ユニヴァが言う。
そして巨大真珠は一気に上昇した。
視界が開けると、どこまでも続く山が果てしなく見渡せた。
「うん・・・ここには来たことがある。」ニャントロがボソリ言った。
「ん?」クーさんが考えてから言った。
「キャニオンドームじゃないか?」
「フズリナを見つけた・・・。」ニャントロも言った。
「なるほどね、この岩山は・・・。」ユニヴァも納得したうようだ。
そして僕は今やっと、ちゅら星に帰って来た実感を味わったような気がした。
「さて、どこへ行ったらいい?」GackNtの声がした。
「とりあえず、アタシの家かな?」ユニヴァが答えた。
壮大な冒険をしてきた割には、日数的には数日しかたっていないのだ。
僕らは相変わらずのユニヴァの部屋で、冷たい飲み物を飲んでくつろいだ。
急に僕はハッとして声を上げた。
「それより女神・・・。」
直ぐにクーさんが外に飛び出して行き、僕らもそれに続いた。
『✞女神の占い洞窟』の扉の前にクーさんが立っている。
「いない・・・。」クーさんが僕を見て言った。
「ってことは、まだカガミーランドだ。」僕は言った。
そして、ユニヴァがポケットから巨大真珠を取り出した。
クーさんが乗り、GackNtとニャントロが乗り込むとユニヴァが言った。
「戻るまでのんびり待ってて。」
そして巨大真珠はユニヴァのドームを出て行ってしまった。
いつの間にか僕は取り残されていた。
僕は仕方なく、ユニヴァの応接室に戻った。
ピンクの髪にお茶のお代わりをせがまれた。
妖精はソファアのクッションの上で眠っている。
僕は、彼女にお茶のレプリケイターの場所を教えて、それからユニヴァがよく出してくれるクッキーの箱をテーブルに置いた。
「んじゃ、戻るまでのんびり待っててね。」
僕はそう言って部屋を出ると、慌てて僕の小型巨大真珠で皆の後を追った。
久しぶりのレモン星が見えてきた。
レモン星の月に接近すると、ちょうどあの嘘っぽい輝きを放っているアミュズ星が見えた。
アミュズ星を一周してみたが、巨大真珠で侵入するコースがどうにも分からなかったので、僕は結局、月の2番ゲートからカガミーランド行きのバスに乗ることにした。
チケットを買って奥の通路に進むと、以前と同様に『A』の表示の壁が見えた。
僕が進んで行くと、ゆっくりと『A』の壁が上がっていく。
「おっ、待ってました。」クーさんがいた。
僕はやっと皆に追いつくことができた。
席に着いた僕に、ニャントロがお菓子の包みを差し出した。
ニャントロの足元は、空になったお菓子のクズでいっぱいになっている。
僕はそれを見て笑った。
僕を待っていたようにバスは出発した。
もうすぐ到着だ、「ようこそカガミーランドへ・・・」の音楽が聞こえてきた。
「びっくりするだろうな。」クーさんが嬉しそうに言う。
僕らはとにかくオフィスルームへと向かった。
「どこまで続いているのかしらね。」行列する人達を見てユニヴァが言う。
『最後尾』という看板を掲げたバルーンスカートのスタッフが僕らに笑いかけて言う。
「女神の水晶占いは、2時間待ちとなっております。」
「女神・・・?」クーさんが言った。
「水晶占い・・・?」僕とユニヴァが顔を見合わせる。
僕らは急ぎ足で行列をどこまでも遡って行った。
「あれよ、あの巨大シャボン玉。」ユニヴァが指さした。
それは、すっかり透明な半球型のかなり広い部屋になっていて、中央の小さなテーブルを挟んで女神とクライアントが対面している。
僕ら5人は透明の壁に顔をつけてじっと中を観察してる。
「イヤだあの人、あたし達がいないうちに何やってるのかしら・・・。」ユニヴァが呟いた。
中の声などは全く聞こえてこない、そして女神が僕らに気付く様子もない。
「おや?まさか、あなた方は・・・。」
驚いた顔でそこにいたのは、あのとんがり耳だ。
そして僕らはオフィスルームの応接室で、GackNtをとんがり耳に紹介した。
そして手短に冒険の一部始終を説明した。
「・・・ええそうです、あのレモン星の彼が閉じかけた渦に向かって、女神の水晶玉を投げ入れたんです・・・でも本当によかった。」とんがり耳が何度も頷きながら言う。
「あのポンコツ宇宙船も、頼りになってくれたわけだ。」クーさんが言った。
「ところで、その彼は?」僕は気になって訊いた。
「はい、女神さまのアトラクションを手伝ってもらっています。」
「女神・・・大分忙しそうね。」ユニヴァが言った。
「みなさんがご覧になったのは、女神のサイボーグです。」
「ええっっ!!」全員がその言葉に大きく反応した。
「女神さまが水晶玉を読む時の波動をパターン化させて、我が奇才のスタッフがプログラムを創ったのです。・・・もちろん単純な占いに限りますが・・・。」
「で・・・女神は?」クーさんが訊いた。
「プログラムが完成してから御帰還されましたが、こちらへも定期的にお見えになって下さいます。」
その時、突然部屋に入って来たのはレモン星の彼だった。
「心配してました、よかった。」レモン星のテレパシーが僕に飛び込んできた。
GackNtが彼に自己紹介をして、助けてくれたお礼を言った。
「すごい、この猫のお二人は高次元生命体なのでしょう。」レモン星の彼は、意外なことに感動していた。
そして僕らの冒険の話は盛り上がった。
途中僕は思い出して、お土産に買った恐竜のマシュマロを彼にプレゼントした。
彼の異次元からのお土産に対する喜びようは、尋常ではなかった。
ふと、彼がGackNtの方を向いた。
すると、突然GackNtが彼に言った。
「・・・覚えていないの?」
お土産を抱きしめた彼が、GackNtの顔を見た。
「・・・・・・。」沈黙が続いている。
僕らもじっと黙っていた。
「あぁ・・・あの・・・ワームホールの・・・。」
GackNtは静かに頷いた。
「あの時は本当にありがとうございました。僕、死ぬかと思ってましたから・・・。」
GackNtの長くなりそうな解説が始まった。
「君はあのワームホールで宇宙のクモの巣に捕らわれてしまったんだ。異次元の扉が開いたことにより、ワームホールが歪み、傷ついてしまったため異常な電磁波に引きつけられて抜けられなくなったのだ。」
「ところでGackNtは、いったいどうしてクレバスになんか落ちたのよ。」ユニヴァがちゃちゃを入れた。
「うん、氷星で再調査をしていると異常な波動を感じた。その発信源を追っているうちにクレバスに落下、慌てて周波数調整をして帰還しようとしたのだが、ワームホールは周知の通り壊れていた。我も彼同様に宇宙のクモの巣へと引き寄せられる羽目になったのだ。」
「もう氷星へ行くのは、おやめなさいな。」ユニヴァが上から目線に言った。
その後、GackNtは何とかレモン星の彼を助けたものの、その反動でGackNt自身はそのまま別のルートへ落下してしまった。
そして行き着いた先は低次元惑星のあのチカチカしたネズミ人間の星だったというわけなのだ。
「しかし・・・、本来なら彼はレモン星へ戻れるはずなのだが・・・。」GackNtが不審そうに宙を見て考えていた。
するととんがり耳が口を開いた。
「どうやら壊れたワームホールがミラールームの周波変動に同調してしまったようなのです。
あの後、ミラールームのシールドをかなり強化しましたので、もう大丈夫です。」
「やはり・・・それでフズリナの周波数も変動してしまったのか。」ニャントロが独り納得していた。
それから一息ついて、僕らはちゅら星に戻ることにした。
レモン星の彼は、仕事が終わり次第あのポンコツ宇宙船でレモン星に帰ると言っていた。
オフィスルームの外に出るとユニヴァが言った。
「あの乗り物、まだ乗ってなかったわよね・・・。」
ゾウの背中に乗ってぐるぐる回る、メリーゴーラウンド的なものだ。
「ちょっと、あれ見て。」またユニヴァが言った。
「女神・・・。」
女神が回転の止まったゾウから降りてきたのだ。
そして、僕らのカガミーランド騒動も穏やかに幕を閉じようとしていた。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2012/06/14 15:52】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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