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ちゅら星(91)
ペチョン、ペチョン・・・。
コンニャク人間は部屋に入って来ると、妖精のガラスケースがあった奥の方に向かった。
カモフラージュした巨大真珠の僕らは、コンニャクの脇をすり抜けて、一目散に出口に向かって急いだ。
「ダメだ、やっぱり扉が開かないぞ!」GackNtが舌打ちをした。
ケースの中の妖精が不安そうに僕を見上げる。
ペチョンペチョンペチョンペチョン・・・。
妖精のガラスケースが無いことに気がついたコンニャクが、慌ててこちらに来るのが分かる。
「うんっ?・・・ありがたい。」
慌てた様子のコンニャクは標本制作室を飛び出して行った。
おかげさまで僕らもそれに続き、制作室を脱出することができた。
「ユニヴァ達、大丈夫だろうか?」僕は心配になって言った。
GackNtは小さく「うん・・・。」と言って、元来た階段の方へと向かった。
その時、妖精の声がした。
「誰かが助けを求めている・・・。」
ちょうどあのコンニャク水族館の付近だった。
とにかく僕らは触手で水族館への入り口を捜し、再びあのコンニャク水族館へ侵入してみた。
「あっちの方、奥の方よ・・・。」妖精がケースの中で言う。
僕らは水族館の奥に進んだ。
「・・・あれよ、あのピンク色の髪の・・・。」
そう言って妖精が見つめる方向の先に、確かにピンク色の髪の優美な女性ヒューマノイドの標本があった。
僕らは室内に誰もいないことを確認して、巨大真珠を降りてみた。
それから僕は、何気なくそのヒューマノイドのコンニャク水槽に触ってみた。
やはり柔らかく、僕の指の凹み跡がついた。
「ええっっ!」
僕とGackNtは瞬間的に一歩飛び退いた。
標本の目が開いたのだ。
「生き・・・てる・・・?」僕はゆっくりとGackNtに目をやった。
GackNtは標本を凝視している。
そして標本は瞬きを2度した。
「剥がそう・・・。」そう言ってGackNtは僕を見てうなずいた。
コンニャク水槽は弾力が強く、当然ちょっとやそっとでは傷さえつかない様子だ。
「巨大真珠のビームがあるよ!」僕は思いついて言った。
「相手が悪い、危ないだろう。」
確かに巨大真珠に慣れたユニヴァでもいれば別だが、僕らではピンク色の髪の彼女を傷つけかねない。
その時GackNtが何を思いついたのか、突然コンニャク水槽に齧り付いたのだ。
「牙・・・。」僕はその様子を、妖精のガラスケースを抱えて呆然と見ていた。
それから更に驚いたことに、GackNtの爪が数倍に伸びた。
「猫人間・・・だから・・・。」GackNtはそう言って笑うと、力いっぱい水槽に爪を立てた。
そして牙で齧って付けた傷跡から、メリメリとコンニャクを引き剥がし始めたのだ。
唖然としていた僕も、妖精のケースを足元に置いてから、短い爪ながらGackNtを手伝った。
「もう大丈夫よ、自分で抜けられるわ。」頭上で優しい声がした。
僕とGackNtが作業を止めると、標本の彼女はするりと壊れたコンニャク水槽から足を抜いて、床の上に飛び降りた。
ピンク色の髪がキラキラと輝いていて、僕らは少しの間すっかり魅了されてしまっていた。
「ありがとう、助かりました。でも・・・この星を抜け出せますか?」また彼女の優しい声が言った。
我に返ったGackNtが僕を見た。
「ピーちゃん、彼女達を連れてユニヴァ達のところへ行くんだ。」
「でもGackNtは・・・。」
「その間に逃げ道を用意するから、とにかく全員巨大真珠に乗って待機していてくれ。」
そう言うとGackNtは、ピンクの髪の彼女に巨大真珠に乗るように言った。
「だけど一人で大丈夫?」僕はGackNtのことが心配になって言った。
「いいから急げ!」そう言うとGackNtは僕らより先に水族館を出て行った。
GackNtが出て行ってしまうと、一気に全責任が僕にかかっていることに気がついた。
僕はカモフラージュしていると知っていながらも、コンニャク人間に出合わないことを祈って巨大真珠を進めた。
直ぐに来た時の階段にたどり着き、狭い廊下を抜けるといきなり一人のコンニャクが壁から現れた。
ドキリとしたものの、ターミナルプールへ抜ける出口を見つけるのに役立った。
ターミナルプールに出ると、閑散としていたさっきとは変わって、たくさんのコンニャクがせわしなく行き来している。
「アタシを捜しているのよね・・・。」妖精がケースの中から僕に言った。
たぶんそうなのだろう、僕はユニヴァ達のことがまた心配になって急いだ。
応接室の前まで来ると、彼女達にはカモフラージュした巨大真珠で待つように言って、一人巨大真珠を出た。
散歩から戻った風を装って応接室に入ると、ユニヴァとニャントロの姿があった。
とりあえず一安心した。
「いかがでしたかお散歩は?」一人のコンニャクがニコニコしながら僕に言った。
「もうひと方とご一緒だったのでは?」別のコンニャクが言った。
「うん、外で待っている。そろそろ行く時間だから・・・。」
僕はそう言ってユニヴァとニャントロに目で合図をした。
「クーさんは?」僕はクーさんがいないことに気付いた。
「シャワーを浴びに行ったわ。」ユニヴァが言った。
「・・・そう言えば、だいぶ時間が経つ・・・。」ニャントロが言った。
「じゃあ僕、呼んでくるよ。」
「わたくしが見てまいります。」一人のコンニャクが素早く言った。
僕は何か嫌な予感がした。
「ニャントロちゃん!」ユニヴァが低い声で言った。
ベジャン・・・、ベジャン・・・。
いきなり僕らの前にいた2体のコンニャクが床に倒れ落ちた。
ニャントロが目からビームを出して眠らせたのだ。
「シャワー室よ!」ユニヴァが奥のシャワールームに走った。
「クーちゃんっ!うわぁぁぁ・・・。」ユニヴァが叫んだ。
ニャントロの目ビームを受けたコンニャクがユニヴァの上に倒れ込んだのだ。
僕は急いでユニヴァをコンニャクの下から引きずり出した。
「それよりピーちゃん・・・。」
「クー・・・さん・・・。」僕は奥のコンニャクの山に駆け寄った。
クーさんがコンニャクの山に埋もれてうずくまっている。
「コンニャクからかき出してっ、直ぐに蘇生する!」ニャントロが言った。
仮死状態のクーさんを、ニャントロの目から出る細かい銀色の粒子が包んでいく。
僕とユニヴァは黙って見ている。
「げほっ、げほっ・・・オエッっ。」クーさんが口からコンニャクを吐き出した。
「クーさん大丈夫。」僕はクーさんの上体を起こした。
「げほっ・・・こりぁあシャ・・・シャワーじゃないぞ・・・。」咳き込みながらクーさんがシャワーを見上げた。
「脱出だ!詳しいことは後で話す。皆、直ぐに巨大真珠へ・・・」
僕の言葉にユニヴァとニャントロがすぐに動いた。
僕はクーさんが服を着るのを手伝った。
ユニヴァが用意した4人乗りに乗り込むと、僕は手短に事の成り行きを説明した。
ユニヴァはのんきにも、コンニャク水族館が見てみたいと言った。
それから僕は、外に待たせておいた二人乗りを応接室に入れた。
ピンク色の髪の優美な彼女が出てくると、クーさんとユニヴァから感嘆のため息が聞こえた。
ニャントロがなぜか、苦笑いをしたような気がした。
そしてニャントロが僕に言った。
「ではピーちゃん、全ては任せる。」
それからニャントロは、ピンクの髪の彼女を4人乗りの乗るように促すと、僕から妖精のケースを受け取った。
次の瞬間ケースが粉々に飛び散った。
妖精はトンボのような羽をはばたかせて、驚いたようにクルクルと飛び回った。
そしてニャントロが素早く巨大真珠に飛び乗ると、直ぐに最小サイズまで縮小した。
「OKよっ。」ユニヴァの声がした。
僕は野球ボール大になった4人乗りをつかむと、二人乗りに乗り込んだ。
そして、僕が例の縮小巨大真珠の設置場所にそれを置くと、妖精はそのすぐ隣に座って、面白そうに中の小さな4人を覗き込んでいた。
「とにかく水族館に行ってみましょうよ。」スピーカーからユニヴァの声がした。
僕は水族館の方へ行くべきなのか迷って、モニター越しにニャントロを見た。
「ニャントロ、GackNtは待機するようにと言っていたんだけど・・・。」
「・・・水族館へ。」ニャントロは少し考えてから、そう言った。
「キャッホー!」ユニヴァの声が聞こえた。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2012/04/15 15:21】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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