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ちゅら星(89)
そして僕とクーさんとニャントロはまた縮小化、そしてユニヴァの前にセットされた。
そして咳払いを一つして、ユニヴァの『メェ~~』が始まった。
さすがに絶好調らしくバイブレーションが強く感じる。
「メエエエエエエエエエエエエ~~~~・・・・・」
「おっ、靄が晴れてきたぞ。」クーさんが言った。
ユニヴァは『メェ~~』を続けている。
「暗いな・・・。」GackNtが呟く。
「夜だね・・・。」僕が言う。
「いや、宇宙空間だ。」GackNtが訂正した。
僕は縮小巨大真珠の窓越しに、巨大真珠の大きな窓の外を眺めてみた。
何か光る物をと探すけれど、小さな星ひとつ確認できない。
と言うより、宇宙空間なのかさえ分からない。
「ここは・・・ヴォイドだ。・・・ユニヴァ、まだ声は出る?」GackNtがユニヴァに訊いた。
「ちょっと休めばね・・・。」ユニヴァはそう言って、頬杖をついて小さな巨大真珠の中の僕に向かって笑った。
「何か・・・聞こえる。」ニャントロが突然言った。
僕には何も聞こえていない。
ニャントロ以外の誰も何も聞こえないと言った。
「回転している・・・近くで何かが回転している・・・渦か?」
GackNtがサーチライトを照らした。
どんよりと回転している渦が見える。
僕らのすぐ目の前に渦が出現していたのだ。
「見ろよ!こっちにも。」クーさんが言った。
サーチライトで全方向照らしてみる。
「うわぁあっ!すごい渦の数。」ユニヴァがその光景に固まっている。
僕らの周りを大小の渦が取り巻いていて、それは更に向こうにまでいくつも出現しているのが分かる。
「使えるだろうか・・・この渦。」GackNtが独り呟く。
「GackNt!」ニャントロがGackNtを制する。
確かにこれだけ大量の渦に囲まれると、恐怖にさえ感じる。
「嫌な予感がする・・・あくまで予感だが・・・。」ニャントロが小さく言った。
それからニャントロは目を閉じて、何かモニターし始めた。
僕はユニヴァにジュースを飲んで次の『メェ~~』に備えるように言った。
「ユニヴァ!急いでほしい。」目を開けたニャントロが静かに言う。
「何かが出てくるのか?」GackNtがサーチライトを消した。
「違う、この場所だ。間もなくここに巨大な渦が出現しそうだ。」
ニャントロの緊迫した声に、クーさんがうろたえているのが分かる。
するとユニヴァはいきなりジュース片手に『メェ~~』を開始した。
しかし突然に閃光が走った。
そして暗黒の世界が、一気に七色の光の世界に変ってしまった。
「どうしたんだ、これ。」クーさんが叫んだ。
「渦にのまれた。」GackNtが言う。
「ここも、宇宙空間なんだろうか?」僕が訊く。
「渦の中だ、我らはまだ渦を抜け出ていない。」GackNtが言った。
「どういうこと?・・・」ユニヴァが言った。
「回転速度の遅い渦の場合、チューブ状の空洞ができてしまうから瞬間移動できない。」GackNtが答えて言った。
僕とクーさんは「ふぅーん。」と小さく言って、色とりどりの光のダンスを眺めていた。
何か音楽が聞こえる気がする。
「つい最近にも、こんな渦のチューブを通り抜けた。」GackNtがまた言った。
「ふんっ、そのおかげで我ら皆この始末だ。」ニャントロの視線がモニターから突き刺さった気がしたが、たぶんGackNtに向けてのものだったのだろう。
「それにしても、すごく綺麗ね。」ユニヴァがムードを取りなすように言う。
「プラズマ波だ。」GackNtが言って、しばらくの間その景色を眺めていたのか皆静かになった。
「そう言えばこの前、渦のチューブの中で珍しいことがあった・・・。」しばらくしてGackNtが話し始めた。
「人に出会ったんだ。しかもえらく古めかしい小型宇宙船に乗った少年だった。」
僕はまさかと思ったが、直ぐにカガミーランドでのレモン星の彼のことを思い出した。
「それ、まさかアイツじゃない?」直ぐにクーさんが言った。
「たぶんね・・・。」僕も言った。
「まさか、知り合いか?」GackNtがモニター越しに僕らを見た。
僕らはカガミーランドについての事の経緯を、GackNtに説明しようとしたその瞬間、目の前の光の世界から真っ暗な宇宙空間に放り出された。
「やだ、また戻っちゃった。」ユニヴァが言った。
「でも、ほら星があるよ。」僕はユニヴァの側とは反対方向を映したモニターで、近くに星を見つけて言った。
「んじゃ、そこの星に寄ってみよう。」ユニヴァは言って、巨大真珠を一番近くの白っちゃけた紫の星へ向けた。
僕らの背後には、僕らが出てきた薄黒い渦がまだそこで渦巻いていた。
大気圏に入ってみると、白っ茶けているのは雲が多かったせいだと分かった。
「比較的高度なヒューマノイドの惑星だ。」モニターしてニャントロが言った。
どうやら眼下は夜の風景らしく、薄暗い中に灯りの集合があちこちに見えた。
「この星は、100%水に覆われているようだ。」またニャントロが言った。
「じゃあ、あれは船かなんかの灯りね。」そう言って、ユニヴァは高度をぐんと下げて光の集まりに近づいて行った。
「うわぁ逃げろ、超巨大クラゲだ!」クーさんが声を上げた。
僕もギョッとした。
まるで街一つ分もあるような巨大なクラゲが無数に浮いているのが見える。
「この星じゅうを埋めつくしちゃってる。」ユニヴァが言った。
「クラゲのようだが、あれが居住都市だ。」ニャントロが言った。
「ええっ・・・。」僕らと、そしてGackNtまでもが窓に顔を寄せた。
クラゲのように見えていたのは透明のドームだ。
時々ドームは移動したり、水没したり浮き上がったりしているので、生き物みたいに見えていたのだ。
そして内部の光は、まるで呼吸をするように照度を変化させている。
「ある意味、綺麗よね。」ユニヴァがポツリと言った。
「あの星を見て。」ニャントロが上空を指さした。
「数カ月の間あの星が付きまとって、恒星の光を遮ったままの状態になる。」
「じゃあ、ずっと夜のままなの?」
「まるで星ごと冬眠状態だ。」ニャントロが言った。
どうやら、ほとんどの住民は数ヶ月間眠り続けているようだ。
僕らはとりあえず、少し休憩をとるため海に着水した。
ほっと一息ついた瞬間、弱い振動を感じた。
「何?」ドキッとして僕が小さく言った。
「捕まった。」ユニヴァが言った。
みんな黙って周りの様子に神経を集中した。
巨大真珠は何かに誘導されて、ゆっくりと移動し始めた。
どうやら前方に迫る巨大クラゲに引き寄せられて行くようだ。
「わぁあっ。」
水中から一本の触手が現れた。
まるでクラゲだ。
そしてその触手の先が、巨大真珠のてっぺん辺りに吸いついたのだ。
僕らは黙って事の成り行きを見守った。
僕の目の前では、ユニヴァが映し出されているモニター画像が乱れ始めた。
ザザザ・・・ザザ
スピーカーに雑音が入る。
「見慣れないタイプだが旅行者か?侵略者か?」スピーカーから聞こえた。
「旅行者と言うよりは放浪者だ。」GackNtがスピーカーの声に言った。
「どこから来た?」またスピーカーが質問した。
「別の宇宙域だ。」またGackNtが言った。
「・・・では、旅行者ということにして、第7ホールに案内する。」
それから巨大真珠は別の巨大クラゲに誘導させられ、今度は水中に引き込まれてしまった。
「何なのよ、もうっ。」ユニヴァが不満げに呟いた。
浮上すると、巨大真珠は巨大クラゲの内部に入っていた。
僕らは巨大クラゲの中央にある、ターミナルプールに浮いていたのだ。
そして、前方にある3つの巨大コンニャクみたいなものの方へと引き寄せられていった。
桟橋のようなところに到着すると、巨大コンニャクが動き出したのだ。
しかしよく見ると、このコンニャクは生き物だ。
「ぐえぇ。」ユニヴァが変な声を上げた。
「ようこそ、遠いところから。」3つの・・・否、三人の巨大コンニャクがほほ笑みかけた。
ニャントロとGackNtが黙ってうなずいたのを見て、僕らは巨大真珠を降りてみることにした。
僕とクーさんとニャントロは、久しぶりに元の大きさに戻ることができた。
僕らの行動を、感心したように3人のコンニャクは見ていた。
「これはこれは高度な宇宙域から・・・。」一人のコンニャクが首を振り振り言った。
僕らは応接室らしき明るい部屋へ通され、ひんやりと柔らかいコンニャクっぽいソファアに座った。
「あいにくただいまこの星は夜期でございまして・・・。」一人のコンニャクが言うと、別のコンニャクが続けた。
「ご案内できるドームがございません。」
そして次のコンニャクが続けた。
「お土産のご用意だけとなりますがご了承くださいませ。」
「お土産?」ユニヴァが訊いた。
「ええ、例の『海の珠』でございます。」ニコニコしながらコンニャクが言う。
「もう少し用意に時間がかかりますので・・・。」
「直ぐにお茶の用意ができます。」
どのコンニャクもニコニコしながら交互にしゃべる。
僕らがポカンとしていると、別のコンニャクが続けた。
「皆様、この星へお越しになる目的は『海の珠』でございましょう?」
「どんなもの?」ユニヴァが訊く。
「この海でとれる海藻の一種でございます。」
「どれも甘くて、多様な種類がございます。」
「陸の植物では、果物に似ていると言われております。」
「ほうっ、『海の珠』ってーのは食べものなんだね。」クーさんが言った。
「GackNt・・・。」ニャントロが小さくGackNtを呼んで、何かテレパシーで伝えたようだ。
僕とユニヴァとクーさんに少し緊張が走った。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2012/02/18 17:09】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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WhiteUniva∞ホワイトユニヴァ


れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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