FC2ブログ
ちゅら星(85)
朝、ネズミの星の海底は朝日にキラキラと揺らめいていた。
水深は浅く、僕らは10メートル位の海底付近を女神の水晶を探して移動している。
「無いね。」ユニヴァが言った。
「そう簡単に見つからないよ。」僕が言った。
「そお?」ユニヴァは言って、溜息を吐いた。
ニャントロは近くに水晶玉の存在を感じると言っているが、なかなか見つからない。
GackNtとクーさんが乗っている小型巨大真珠が、海藻の森に侵入して行った。
「ニャントロちゃんホントにこの辺りなの?」
「・・・・。」
「もう一度、上空に出てリサーチしてみようか。」
僕がそう提案したので、僕らは小型巨大真珠の二人を残したまま浮上して上空に出た。
比較的小さなネズミの星を縦に一周した後、横に回ってみても、やはりニャントロは同じ地点を示した。
「見て、お城みたいなのがある。」ユニヴァが指す方を見てみた。
「ここはあの白ネズミの・・・。」ニャントロがつぶやいた。
お城のてっぺんでは巨大な紫色の宝石が輝きを放っているのが見える。
「さすがGackNt、倍以上にして返したって感じだね。」ユニヴァが嬉しそうにお城の上空を旋回しながら言った。
「時間の経過が速すぎる・・・。」ニャントロがつぶやいた。
確かに、いくらなんでも一日二日にしてお城が立つというのも妙な話だ。
白ネズミは一昨日アメジストの洞窟を発見したばかりだったのだから。
「タイムスリップ・・・したのか?・・・。」ニャントロが考え込んでいる。
その時、スピーカーからクーさんの声がした。
「水晶玉、見つかったよ。」
それは直径10センチほどの銀色のカプセルに入れられていた。
中身の水晶玉は、5~6センチの手に収まるくらいの大きさのものだ。
「女神、女神、こちらユニヴァです。どうぞっ。」ユニヴァがモニター越しの水晶玉に話しかけている。
また馬鹿なことをと思ったその時、水晶玉の中に煙のようなものがうごめきだした。
煙は次第に鮮明な画像を作り、女神の姿が浮かび上がったのだ。
「この水晶玉は周波数増幅器として使えます。上手く使えばユニヴァの『メェ~~』でも一つくらいなら次元の壁を越えられます。どうかご無事で御帰還ください。使用時以外はケースに入れる事。それからキーは『ユニヴァ』です。」
あの時僕らが帰らないのを心配して、慌てて女神がこの水晶玉を用意してくれたのだろう、水晶玉の中の女神は少し緊張していて、慌てた様子がうかがえた。
「よし、じゃあユニヴァ頼む。」クーさんが言った。
「ここじゃ無理だ、コウモリの星にまずは戻ろう。」
GackNtが言ったので、僕らはネズミの星を離れた。
僕らは白ネズミの城のことを、モニター越しにクーさんとGackNtに説明した。
「時間が?・・・。」GackNtも首をひねっていた。
外から見ても、ネズミの星には特に異変は感じられなかった。
コウモリの星は夕方の時間帯だったが、特に時間的異変もなく、食べ残しのピラルクがそのままの姿で待っていた。
僕らは小さなみかんを食べながら、水晶玉を囲んで座った。
「まず、全員一緒に『メェ~~』で移動するためには、二人乗りは搭乗したまま縮小出来ないから、四人乗りを最小サイズにして、全員一緒に二人乗りに乗り込む必要があるわね。」ユニヴァが提案した。
「ピラミッドを作るよ。」GackNtが突然言った。
「ありがと。・・・とにかく、あたし以外の誰か3人が縮小組で・・・」言いかけてユニヴァがGackNtを見た。
「僕のピラミッドで振動数をさらに増幅させれば、一度にもっと多くの次元を超えていける。」
GackNtのその言葉に、四千年の待ち時間がだいぶ短縮されそうな兆しを感じた。
「すぐ出来るの?」ユニヴァが訊いた。
「その水晶玉が入る程度のものだから、そんなにはかからない。」
「おかしいのは、この星だ!」急にニャントロが声を上げた。
ニャントロが言い出したのは、さっきのネズミの星での速すぎる時間のことだった。
それは、あのネズミの星の時間が速すぎるのではなく、このコウモリの星の時間経過が遅すぎるばかりか、刻々とさらに時間が遅くなり続けているというのだ。
「この星の誰かが、星ごと過去にタイムワープさせようとしている。」
「ええっっ!!じゃあこんな所にいたら次元どころか過去に連れて行かれちゃう。」
ユニヴァは慌てて、GackNtに向かって両手で三角マークを作って見せた。
もちろんピラミッド制作を急かしているのだ。
「だけど彼らは成功しない。星ごとのタイムワープは無理だ。」ニャントロが冷静に言った。
「星の意識まではそう簡単には操作できないよ。」GackNtもそう言って笑った。
「ただ、ここでこうしている間にも、この星以外では通常通りに時間が経過しているはずだ。」
「そろそろ百年くらい経っちゃってるんじゃない。」クーさんが言った。
「しかし今、この女神の落とし物で次元を超えられるのなら、その方法の方が有効だ。」
「そうなの?」ユニヴァが近くの木から小さな桃をもぎりながら言った。
GackNtは、たとえ四千年後に渦が出たからといって、その渦がどこに繋がっているか分から無い上、場合によってはさらに次元降下した宇宙へ着いてしまうことさえ考えられるというのだ。
「もしかして、女神の助けが無かったら、帰るの完全無理だったんじゃない?」クーさんがGackNtに言った。
「うん・・・まぁ90%くらい無理だった。」GackNtは言った。
「殺す気かっっ!」ユニヴァがGackNtに桃を投げつけた。
「いや・・・あれだけ迷惑かけた上に希望まで奪いたくなかったのだ・・・。」GackNtは額に付いた桃をぬぐった。
「GackNt、あんたは縮小組に決定ね。」ユニヴァはそう言って乱暴に桃をかじった。
でも、そうは言ったもののピラミッドの扱いの為もあって、二人乗りにはGackNtとユニヴァが乗ることになり、残りのクーさんとニャントロと僕の三人が縮小組に決定した。
スポンサーサイト



テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2011/10/21 15:55】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
| ホーム |
WhiteUniva∞ホワイトユニヴァ


れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

プロフィール

れもんちゅら

Author:れもんちゅら
こにちわ~!
Contact whiteuniva@gmail.com

teddybearSHOP:lemonchura

☆ちゅら星ヴィジュアル見に来て。

記事map

*ちゅら星*を途中から読まれるのに便利です。↓↓↓

全ての記事を表示する

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

category

月別アーカイブ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブログ内検索

RSSフィード