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ちゅら星(78)
それからゼイゼイしているクーさんを降ろして、今度は僕がエレベーターを上昇させて行った。
そしてユニヴァと小さな動物を収容し、僕は休まずエレベーターを下降させて行った。
途中でユニヴァがハンドルを回すのを代わってくれた。
地下に着いた僕らは、あの真っ暗闇の奈落がほのかに光を放っている事に気がついた。
「何が起きているの?」ユニヴァが訊いた。
「たくさんのポータルが集結しているんだ。」小さな動物が言う。
僕らは奈落を前にして、狭いスペースに身体を寄せ合って地べたに座っている。
奈落の底からほのかな光が不規則に点滅を繰り返しているのが分かる。
すると何やらお経か呪文のような声が聞こえてきた。
小さな動物の声だ。
僕らはただ静かに聞いていた、その声は意識を拡張させていくように感じる。
小さな動物の声がなんとなく遠くに感じられるようになると、奈落の中からは美しい歌声が聞こえていることに気がついた。
そして、いつの間にか僕らは真っ白な扉の前に立っていた。
僕らは顔を見合わせてお互いを確認しあった。
みんな見たこともない素材の服を着ている。
「旧式な方法だけど、渦がなくても意識だけで移動できるシステムさ。」小さな動物が生意気そうに言った。
その時、扉が開き始めたのだ。
そこには、いきなり大広間が広がった。
ほのかなバラな香りが漂っている、さすがメオのパーティだけある。
そしてそこはパーティに招待された人たちで賑わっていた。
当然人と言っても、多種多様なヒューマノイドだ。
「ニャントロ!・・・GackNt!」ユニヴァが叫んだ。
「ユニヴァ、逢いたかった。」ニャントロはそう言ってユニヴァを抱きしめた。
「ユニヴァはじめ皆に礼を言う、本当にありがとう。君達が無事ニャミィとメオを再会させてくれたおかげだ。」GackNtが僕らを真っ直ぐに見つめて言った。
「再会?・・・あの二人初めて会ったんじゃなかったの?」
「長い旅の果ての再会だから・・・。」またGackNtは意味不明のことを言う。
「それよりニャミィたちは?」
ユニヴァがそう言ったので、GackNtとニャントロは僕らを案内して、大広間の中央へと歩き出した。
広間の中央はだいぶ先だ、特別大きなシャンデリアが見えるので分かるのだ。
歩きながら、ユニヴァはテーブルのチョコレートを一粒取ると、僕を振りむいてニヤッと笑ったりした。
気がつくとクーさんも片手にシャンパン、片手にサンドウィッチという状態だった。
中央の広々としたスペースにメオとニャミィの姿が見えた。
相変わらずの猫顔の二人は、今日は晴れやかなバラ色の衣装で着飾っている。
そして、せっせと彼らを訪れた客達に、何かの飲み物をふるまっているところだ。
辺りは甘いバラの香りで満たされている。
「忙しそうね・・・。」その様子を見てユニヴァが言った。
「Ultra Loveだ。」また分からない言葉をGackNtが言った。
「Ultra Love?」みんな同時に言ってGackNtの方を見た。
僕らはGackNtに促されて中央に歩み出た。
「おうっ、いらっしゃい!」ニャミィが僕らにすぐ気が付いた。
「元気で何より・・・。」ユニヴァが懐かしそうにニャミィの顔に触れる。
差し出された飲み物は、薄ピンク色でバラの花びらが一枚浮いている。
「これがUltra Love?・・・なの?」ユニヴァが慎重にグラスを持ちあげて眺めた。
メオがそれを見て笑った。
「ただのローズティよ。」ニャミィはそう言って笑った。
ユニヴァは眉をひそめてGackNtを見上げた。
GackNtは動じることもなく、ただ黙っていた。
そして、僕とクーさんも、そして小さな動物と大きな男も何とも普通のローズティを、少しだけうやうやしく頂いた。
「たくさん話したいことがあるのに・・・。」
ユニヴァはそう言ったが、僕らは忙しそうなメオとニャミィから間もなく離れた。
それから僕らはGackNtとニャントロと一緒に、たくさんの料理が並ぶテーブルをゆっくりと巡って歩いた。
「ねぇGackNt、Ultra Loveって何のことよ。」突然ユニヴァが言った。
「さっき受け取ったろう。」
「ただのローズティでしょ。」
「今日ここを訪れた人々は、皆あの二人からUltra Loveのひとひらを受け取り、各々の場所に戻りUltra Loveを拡散させることになる。」
GackNtの言葉に、ただみんな黙っていた。
「いつかは僕も君らもこのUltra Loveを自ら発する時が来るだろう。」
「GackNtはそのUltra Loveってのを持ってないの?」
「僕やニャントロは、もう少し済ませなければならないプロジェクトが残っている。」
その時ニャントロがGackNtに赤ワインのグラスを差し出した。
「まずはその無謀さ、何とかせねば・・・。ここにあなた方を招待すること、とても無理なことだった。しかしGackNtはあなた達さえ呼び出してしまう・・・。」ニャントロはそう言って笑った。
彼らの話はいつでも分かりづらい。
「あたし達、またいつでもあの奈落からGackNtやニャントロに会いに来れるって事?」
「それは・・・難しい・・・しかし、また僕が必ず君達を呼び出そう。」
そうGackNtが言うとニャントロが呆れたように首を振った。
「しかし、また必ず会おう。」ニャントロはそう言った。
そして僕らは、眠りから覚めたように、あの暗い奈落の前で目を開いたのだ。
「夢?」僕が言った。
「まさか・・・わざわざこんなところまで降りてきて?」ユニヴァの声がした。
「さっきも言ったろう、意識だけ移動するシステムを使ったんだ。」小さな動物が言った。
奈落の底はまだほのかな光を放っていた。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2011/03/30 14:13】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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