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ちゅら星(73)
40.王子捜索
僕らは海王星へのポータルを利用するために、キャニオンドームの水晶の洞窟へやって来た。
ユニヴァに続いてクーさんが泉の中へ入って行った。
僕が王妃の方を振り返ると、水晶が珍しいのか彼女は洞窟の壁をよじ登ろうとしている。
「早く海王星に行かないと・・・。」
僕がそう声をかけると、諦めたように壁から降りてきた。
「相方に会いに行くのに、手ぶらでもと思って・・・。」
それから僕は少し捜しまわって、何とか素手でも外れた結晶を一本折って王妃に差し出した。
そしてそれに喜んでいる王妃を半分押し出すようにして泉の中へと潜らせてから、僕も足からするりと飛び込んだのだ。
海王星の池に飛び出すと、ユニヴァとクーさんが池のふちに立って首を長くしかけて待っていた。
僕らは再び巨大真珠に乗り込むと、ユニヴァは前に教えてもらった座標をセットして、一気に灯台の前へとワープした。
「ずいぶん久しぶりね。」灯台のバルコニーにあの双子の姉妹が出て来て、僕らに入って来るように合図した。
「それで今日はどんなドリームトラベルをご希望なの?」双子のソラの方が訊いた。
するとそれに続けてウミの方が言うのだ。
「2年前にリニューアルしたこと知らないでしょう?」
「知ってる。」ユニヴァがすぐに答えた。
僕にとっては初耳な事だった。
「前にピーちゃんと行った、バラ園のドリームはどうなっちゃったのよ。」
ウミとソラは顔を見合わせた。
「もう前と同じドリームは一つもないのよ。」
「前のドリームはみんなリサイクルされちゃったの。」
「リサイクルってどういうこと?」クーさんが言う。
「あたし達、あのバラ園の猫顔の王子に会いたいのよ。」ユニヴァが早口に言った。
しばらくウミとソラは二人でゴソゴソと何か話しあっていた。
その間ユニヴァはテーブルに頬杖をついた姿勢のまま、双子の会話を凝視していた。
王妃はと言えばのんきに海を眺めたり、僕が採ってあげた水晶を光にかざしたりしている。
それからウミはユニヴァの前の席に座ると言った。
「その猫顔の王子・・・関連のドリームに紛れ込んでいる可能性が高いと思うの。」
「今、いくつか検索してみるから・・・。」ソラが操作パネルを小気味よくたたきながら言った。
すぐにユニヴァがもたれかかっているテーブルが明るく光ったかと思うと、テーブル一面に検索結果が表示された。
「バラ園での検索が2076件、猫での検索が807692件、王子でが52668件、ついでに城でが84213件」
「バラ園か・・・でも2076件ものドリームを回るわけにはいかない。」ユニヴァがつぶやくように言う。
「それから、バラ園と猫と王子で総合的に検索したのが21件」
「これならなんとかなる。」クーさんが言った。
「でも王子を捜索するとなったら、ひとつのトラベルでも半日かかるかもしれないのに・・・。」ユニヴァには珍しく弱気な発言だ。
ソラがまたパネルを操作すると、テーブルの表示が変化した。
「これがその21件分の内容の詳細よ。」
僕らはテーブルに乗り出して、詳細文を眼を皿のようにして読み始めた。
いつの間にか、遊んでいた王妃も僕らに加わって、詳細文に食い入っていた。
そして、しばらくすると王妃がぽつりと言った。
「これ・・っぽくない?」
王妃が指さしたドリームは、すでに僕は読んだ後のものだった。
「バラ園ではタイムマシーンを創っているらしい・・・。」ユニヴァはその文章をじっと見つめている。
「だって、あたし達タイムマシーンでもないと、いまさらこのドリームから別次元へ抜け出せないんじゃないかしら?」と王妃は説明する。
「確かに、本来ならドリームをリサイクルする際に抜け出すはずだったんだろうけれど、今となっては何か別の方法を取るしかないだろうからね。」と僕は分かったようなことを言ってみた。
「夢から抜け出すって、タイムマシーンで大丈夫なの?」不審そうにクーさんが言う。
「タイムマシーンでドリームのリサイクル時に移動すればいいんじゃないの?」ユニヴァが言う。
「・・・たぶんこれが必要なのかも・・・。」意味ありげに王妃は水晶柱を光にかざした。
とにかく僕らはすぐにでもドリームトラベルに出かけることにしたのだ。
なぜなら、もしこのタイムマシーンのトラベルで王子が見つからなかった場合は、最悪21件かそれ以上トラベルをしなければならないからだ。
「誰が行くの?」ウミが訊いた。
座席は二人分しかないので、4人全員で行くわけにはいかない。
当然のように王妃は進み出て、座席に着いた。
僕らが顔を見合わせているとウミが言った。
「女の子同士がいいんじゃないの?」
そしてユニヴァと王妃がシートの上で深い眠りに入るのを見届けた僕とクーさんは、ソラの淹れてくれたコーヒーで一息ついたのだった。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2010/11/01 15:40】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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