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ちゅら星(68)
それにしてもここは本当に白い宇宙なのだろうか?
辺りには星らしきものの一つも見えず、ただ奥行きも分からないほどの真っ白さなのだ。
そして僕たちはGackNtたちのミニピラミッドも見失っていた。
ユニヴァが巨大真珠を停止させたのが分かった。
しばらくすると、まるで霧が晴れるようにうっすらと景色が見え始めた。
「何だろう?ここは宇宙空間じゃないぞ。」クーさんが次第に晴れていく景色に乗り出して言った。
そこには町が広がっていた、眼下に見渡せる町だ。
僕らは町を見下ろす丘の中腹にいたのだ。
「いたいた、あのミニピラミッドを追尾設定っと・・・ロック完了。」
ユニヴァはなんだか楽しそうだ。
町の中央の広場上空をミニピラミッドが滑るように過ぎて行くのが見える。
そして巨大真珠が丘の斜面を離れようとした時、後ろ側の席にいた僕には閉じていく渦が目に入った。
「ユニヴァ、渦閉じちゃうよ。」
「気にしないわよ。」ユニヴァが強気に言う間にも渦は完全に閉じてしまった。
そんなユニヴァのせいか不安や恐れは感じなかったが、遠ざかる丘の斜面を僕はただ見つめていた。
「ユニヴァ、ちょっと待って。」僕は慌ててユニヴァに言った。
「何よ、閉じちゃったものはしょうがないじゃないの。」
「あれっ、フズリナだよ。」クーさんが気づいたようだ。
渦の消えた後の斜面に、あのフズリナが白い光を脈打って埋まっているではないか。
僕らはすぐに戻り、ニャントロのフズリナを回収した。
ミニピラミッドは見えなくなっていたが、幸い追尾設定してあるので探し出せるはずだ。
朝なのか夕方なのか、町は霞のかかったような白っぽいピンク色の光に包まれている。
ミニピラミッドは町の何処かに降り立ったのだろうと思っていたのだが、僕らは町の上空を通り過ぎて海に出た。
港近くにはオットセイ人間やオットセイそのものの姿が目に付いた。
「みんな猫人間ってわけじゃないみたいね。」
海には大小さまざまな島が点在していて、どの島にも人工的な建物らしきものが確認できる。
僕らが点在する島々の様子に気を取られているうちに、巨大真珠はひとつの島に引き寄せられて行った。
「あの島に向かってる。」
ほかの島に比べるとやや大きめのその島は、こんもりとした木々に覆われているように見えたが、上空から近づくと木々は島の輪郭を囲んでいるだけで、中央には丸い人工的なプールか池のようなものが陣取っていた。
そしてそのプールの上まで降りたところで、ユニヴァは巨大真珠を停止させた。
プールを囲む白い縁石のところでニャントロが僕らの到着を見守っていた。
「我らの星へようこそ。」ニャントロが安心しきった表情で笑った。
縁石のすぐ外側にも2メートル程の舗道のようなものがあり、キラキラした敷石で埋め尽くされていた。
ニャントロに従ってその舗道に踏み出してみると、それは敷石ではなくシールドのようなもので、僕らの足首は敷石に飲み込まれたような状態になった。
そして舗道を少し移動し始めると、舗道自体も下降しながらゆっくりと回転し始めたので、僕らは次第に敷石の中に飲み込まれて行った。
降りて行くと内部は壁の光で明るい上に、先程のプールの底から外の光が差し込んでゆらゆらと陽光が揺れているのだ。
プールの下に当たるその空間の途中には、あのミニピラミッドが宙に浮いたままゆっくりと回転していた。
やがて下降する舗道は階下に到着した。
真っ白で鏡のように反射する床にはプールからの陽光が映って揺れている。
「あっそうだ、これニャントロちゃんのフズリナ。」
ユニヴァが回収してきたフズリナを手渡すと、ニャントロは目を丸くして喜んだ。
「ところで、あの氷詰めの彼は?」クーさんが言った。
「もうすぐ来ます。」
それから僕らは奥の部屋に移動して、ニャントロはサイダーのような飲み物を用意してくれた。
甘いようで辛いようなその飲み物は、気分をとってもリラックスさせる。
部屋には大きな窓があって、地下にもかかわらず庭に出られるようになっている。
庭の奥にはどこまでも続く林が広がっていて、木々が薄緑の葉を風に揺らしていた。
僕らが三杯目を飲み始めたころ、GackNtが姿を現した。
「我らの星へようこそ。しばらくはここでゆっくり過ごしていくといい。」
そう言ってGackNtもサイダーのような飲み物を一杯一気に飲み干した。
「ところで君たちは、この度ここに来たことの理由を知らない。」
「着いてきちゃっただけなのに、理由なんてあるの?」ユニヴァが言った。
GackNtは静かにうなずいた。
「君らはその理由を忘れているだけでちゃんと知っている・・・でなければ渦を通ることはできない・・・そんな勇気は起こり得ないのだ。」
「で、もったいぶらないで教えてよ・・・そのわけ。」ユニヴァが言った。
「届けてほしいものがあるのだ。」
「冗談じゃないわ。あたし達アンタの小間使いじゃないのよ。」
GackNtはそれには答えず話を続けた。
「薔薇の城は知っているか?」
僕らは思い当たらず顔を見合わせた。
「ならばロシアンブルーという猫については知っているか?」
その時ユニヴァが僕の方を見た。
「ピーちゃん、猫顔の王子・・・。」
薔薇の城、ロシアンブルー・・・そうだ、海王星のドリームトラベルで出会った猫顔の王子だ。
クーさんも話には聞いているという顔をした。
「彼に届けものを頼むのに際して、君たちを除いて他にはいない。」
「そうなの?・・・」ユニヴァが疑い深そうに言った。
「それでいったい何を?」クーさんが先を急いだ。
GackNtは庭の方に目をやった。
林の奥から、馬に乗った誰かがやって来る。
「・・・猫顔の王妃?」
猫顔の王子と同じロシアンブルーの猫人間が現れた。
「彼もまた、海王星での仕事を終える時期が来たのだ。」
「この王妃と交代するってわけ?」
「否、彼女と共に別宇宙の夢空間に移動する。」
「ふぅ~ん・・・だけどその馬は巨大真珠には乗らないと思うけど。」ユニヴァが言った。
その時ニャントロがGackNtに言った。
「馬は必要ないが、このフズリナは必要なのではないか?」
「彼らはここに戻ってくるわけではない、フズリナは不要だ。それにそのフズリナは消耗している、時間をかけて休ませる必要がある。」
それを聞いてユニヴァが紫色の渦巻貝を取りだした。
「これでも渦が創れるんでしょう?」
ユニヴァの手に持った渦巻貝に視線をやったGackNtは、凍りついたようにそれを見つめた。
「それは・・・それをどこで手に入れたというのだ・・・。」
「ピーちゃんがLume星で・・・ねぇ・・・。」ユニヴァが僕の方を見て言った。
それから僕は簡単にLume星訪問のいきさつを話した。
「Lume星・・・そうだ、君たちとはいつかLume星で再開する・・・。」とGackNtは遠くを見てつぶやいた。
ところでユニヴァの渦巻貝でも渦を造ることは可能なのだが、その後の充電期間が思いのほか長くかかるということを聞くと、Lume星のマチからの連絡を心待ちにしているユニヴァとしてはそれを使うことをためらったのだ。
その結果僕たちは、女神が太鼓判を押した次の渦の出現を待つしかなくなったのだ。
僕とクーさんは顔を見合わせてまたため息をついた。
そして、クーさんは少しの間この宇宙を楽しめるチャンスなのだと言って笑った。
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【2010/06/01 16:52】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「ちゅら星ヴィジュアル∞ChuraseiVisual」
ちゅら星ヴィジュアル化したぜっ。5サンプルs
檸檬美ら作りました。
手作りピクチャーブックです。
リンクから「lemonchura」に行って見てくださいね。
おまけは「イルカの着ぐるみユニヴァちんのしおり」っ。
6しおり
こんなの。。。


 
  というわけで・・・ちゅら星(69) はもうすこしお待ちを。。。

テーマ:こんなの作りました♪ - ジャンル:趣味・実用

【2010/06/18 16:08】 | lemonchura | トラックバック(0) | コメント(0) |
ちゅら星(69)
それからニャントロはいつまでの滞在になるかもわからない僕らのために、液体の部屋を三人分用意してくれた。
僕にとって液体の部屋は、ちゅら星の『☆☆☆☆☆HOTEL』でほんのちょっとだけ体験をしたことがあるが、宿泊するのは初めてのことだ。
何の抵抗もなさすぎる事に最初はい心地悪く感じたのだが、すぐに慣れてくるとこの解放感が好きになった。
翌日、僕がロビーに出て行くとユニヴァがGackNtと話をしているところだった。
「この星の外は白い宇宙なんでしょ?」ユニヴァが質問していた。
「・・・君がもし、Lume星の宇宙のことを白い宇宙と呼んでいるのなら、ここはその宇宙とは別の場所だ。」
「・・・。」ユニヴァはGackNtから目をそらし考えたような顔をした。
「Lume星のことはよく知らないの。行ったことがあるのはピーちゃんだけだから・・・白い宇宙へは、応接間の窓に現れた渦を通って行ったのよ。」
「・・・黒い宇宙がいくつもあるように、白い宇宙もいくつもあるのだよ。」
「いくつも・・・あるの?」
「君もいつか白い宇宙を創るのではないのか?」GackNtはそう言うと、ユニヴァの質問を受ける間も持たないままロビーを出て行った。
「今の聞いた?」僕の姿に気がついたユニヴァが言った。
僕は小さくうなずいた。
「ピーちゃんは意味分かった?」
僕は無言のまま首を振った。
そこへクーさんがドタバタと現れたので、僕らは巨大真珠でこの星の散策へ出かけることになった。
しかし渦は必ず現れると女神は言っていたが、この星のどこに出現すると言うのだろうか。
僕らはこの宇宙のどこを散策しようかと悩んでいた。
「その乗り物で行くのですね?」
聞きなれない声に振り替えると、あの猫顔の王妃がいた。
「ちょうどいい、ちょっとこの星を案内してよ。」ユニヴァが気軽に言う。
すると王妃は喜んでとばかりに、巨大真珠に乗り込んだのだ。
「大陸をご覧になりますか?」
「あたし達、ここのことは何も知らないのよ。」ユニヴァが答えた。
「ここでは小さな島がいくつもありますので、それぞれの住人が島ごとに思い思いの生活をしております。」
「じゃあ大陸は何のためにあるの?」
「・・・。」
ユニヴァの質問にしばらく王妃は答えなかったので、僕らは一斉にモニターの王妃に目をやった。
「鎮魂・・・でしょうか・・・。」王妃はそう言っただけだった。
小さな島が列島のように眼下の海にちりばめられているのが見える。
どこまでも続くようだった島々が次第に少なくなっていくと、その後は全く島のない海域がしばらく続いた。
「ほら見えてきました。」
最初かすんでみえていた大陸の影は、近づいて行くと、まるで僕らの行く手を阻む城壁のように巨大に立ちはだかって見えた。
大陸上空から見渡せる景色は、どこまでも続く黒い岩場ばかりだ。
「これはもしかして野蛮な戦争の後ね。」ユニヴァが言った。
「この星の歴史には争い事は一度もないのです。しかし近隣には戦争の絶えない星がありました。しかしそれもはるか昔のこと、その星にも争い事のない時代が来たのです。」
「じゃあ巨大隕石?」
僕らの眼下には大きなクレーターらしきものが見える。
王妃は軽く眼下のクレーターを眺めた後、話を続けた。
「争い事が無くなったその星の人々は、いままで大事に保持していた危険な兵器を捨てる場所に、この星を選んだのです。」
「あぁ野蛮だ・・・。」クーさんがうんざりした顔をして見せた。
僕らの眼下に見える無数のプレーリードッグの巣穴のように見えるものは、小さなクレーターの集まりだった。
「見てよ、あそこ!」ユニヴァが叫んだ。
遠くにダイヤモンドのように白く光るものが見える。
「ああ、あれは兄の創ったピラミッドです。」
「兄って、猫顔の王子?」僕が訊いた。
「いえ、GackNtです。」
僕らは一斉にちょっと驚いた。
「兄は廃棄物の毒におかされたこの星を独りで浄化してしまったのです。」
「あの人、エライのね。」ユニヴァが言った。
「でも、兄の行動には無謀すぎて困っているのです・・・」
そこまで言いかけた王妃が、眼下の景色にくぎ付けになった。
僕らはちょうどピラミッドの上空に来たところだった。
良く見るとピラミッドの周りだけに、ほんの数本小さな木の芽が生えているではないか。
「ここにもやっと命が再生され始めたのですね・・・。」感慨深そうに王妃はその光景を眺めていた。
大陸は果てしなく続いていたが、僕らはこの辺りで折り返して戻ることにした。
しばらくするとクーさんが思いついたように言った。
「彼の無謀のおかげで、大陸以外はこんなにきれいな星に生まれ変わったってわけだ。」
「ええ、故郷の星にも戻らず、ここに住み着いてしまうほどにね。」王妃は無謀な兄をあきれたように言った。
「あんた達、本当はどこの星の人なの?」
ユニヴァが訊いたが、僕らにはマネのできない発音の星だった。
「そう言えばニャントロのしゃべりも分かりづらいんだよね・・・。」クーさんが言った。
僕はあのたどたどしいニャントロの話し方を思い出した。
「ニャントロが故郷の星を出たのはこれが初めてだからです。私は兄の捜索でたくさんの星を廻りました。」
そこで間髪いれずにユニヴァが言った。
「違うわよ。ニャントロは10億年だか1億年だか前に来て、フズリナを忘れて行ったから、そのフズリナを捜すために、またちゅら星に来たってわけじゃない。ねぇ。」とユニヴァは僕とクーさんに同意を求めた。
僕らはうなずいた。
「あのフズリナは宇宙が仕掛けたもの。ニャントロの探し物とはGackNtのことです。」
「ああ、わけ分かんなくなって来た。」
ユニヴァがそう言って、しばらくみんな黙ったままでいた。
もう眼下の海は、島々でにぎやいでいた。
「あの赤いテントでエビでも食べましょう。」王妃が言った。
気がつくと僕らはGackNt達の島を通り過ぎて、あの渦から出てきた時の丘がある島に来ていた。
港にある赤いテントの店には、オットセイ人間の姿が見えた。
僕らが席に着くと、オットセイ人間のウェイターがすぐにやって来た。
そしていきなり「エビを4人前で?」と言った。
王妃は表情だけでそれをお願いと言うように答えた。
間もなくエビの皿と緑色の飲み物が四人分そろった。
エビは衣をつけて揚げたフリッターで、緑色の飲み物はほんのり苦味があった。
「エビはここら辺の名物料理なの?」
王妃はエビを食べるのに夢中で、目だけを上げてうんうんと答えた。
結構おちゃめな王妃だと僕は思った。
「ねえ、ニャントロとGackNtって双子なんでしょ?」
おちゃめな王妃は答えもせずに食べていた。
「あんた相当エビ好きね・・・。」諦めたように言って、ユニヴァもエビをほおばった。
「片割れ同士出会ってくれれば、調和されるでしょう・・・。」そう言ってから、王妃はウェイターを呼んだ。
「エビのお代りは?」王妃が僕らに訊いた。
何も答えないでいると僕らの皿を見て、王妃が指を4本立てた。
ウェイターは去って行った。
「これで兄の無謀さも少しは癒されるというものです。」
「双子ってそういうものなの?」ユニヴァがエビの手を止めて王妃を見た。
そして、次の瞬間僕らの目の前に新たなエビの皿が4枚置かれたのだ。

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【2010/06/29 16:56】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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WhiteUniva∞ホワイトユニヴァ


れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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Author:れもんちゅら
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Contact whiteuniva@gmail.com

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