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ちゅら星(64)
ユニヴァはどこに向かっているのだろうか、もう1時間近くこれといった惑星もない宇宙を飛び続けている。
「クーちゃん、このあたりだよねぇ。」
「何が?」突然話を振られたクーさんが戸惑って言った。
「宇宙博物館!」
「ええっ!・・・話には聞いたことがあるけど行き方なんて知らないよ。」
「フズリナが博物館にあるっていうの?」
「だってピーちゃん、さっきクーちゃんが化石になってるって・・・化石って博物館にあるものでしょ?」
ニャントロは黙って僕らのやり取りを聞いているようだが、理解できているかどうかは分からない。
クーさんは困ったようにしばらく考えてから切り出した。
「ちゅら星に戻ろう。だってニャントロはちゅら星にフズリナを忘れたと言っているよ。」
今度はユニヴァが困ったようにクーさんを振り返った。
「化石のキャニオンがあったはずだ。」クーさんが言った。
「・・・わかった、キャニオンドームね。」ユニヴァはそういうと、巨大真珠の進路をちゅら星に向けた。
キャニオンドームに着いたころにはすっかり夜になっていた。
「きょうはユニヴァの家に戻ろうか?」僕が弱気に言った。
また洞窟で一晩過ごすことになるのを避けたかったのだ。
「ダメよ、化石のキャニオンはここから一番遠い、このドームの中央付近にあるはずなんだから。」
ちゅら星のドームはドームごとにフォーマットスケールが異なっていて、外観は同じくらいの大きさでも、内部はビル程度の広さから計り知れない惑星規模の広大さまで表現できるホログラフィ構造なのだ。
ユニヴァの言うとおり、この果てしなく広がる岩だらけの大自然の中から、小さなフズリナ一つを探し出すのにボヤボヤしている暇はなさそうだ。
その間にも巨大真珠は深い谷間を見下ろしながら、当てもなく進みだしていた。
そして僕らは巨大真珠を自動操縦に切り替えて、少し仮眠をとることにした。
ピンク色の夜明けにニャントロが僕らを叩き起こした。
「見よ・・・ちゅら星の美しさ・・・我、懐かしく思う。」
僕らにとっても、こんな奥深いキャニオンドームでの夜明けは初めてのことだった。
「ニャントロちゃん、ここ覚えてるの?」ユニヴァはあくびの後に言った。
「この明るい恒星の光・・・昔、我、見た。」
「ニャントロちゃん、フズリナ落とした場所の手掛かりとかないの?」またあくびだ。
「ああっ!ほらあそこ、白っぽい谷が見えるだろ。」クーさんが突然指さした。
「化石のキャニオンだ。化石のキャニオンは白いんだって誰かが言っていた。」
「ユニヴァっ!」僕があんまり大きい声を出したので、ユニヴァはドームの壁に頭をぶつけたようだ。
「何なのよピーちゃん・・・うわっ何これっ!」
ユニヴァの足元の袋の中で、あの渦巻貝が真っ青な閃光を放っているのだ。
「フズリナと会話・・・話しているのか?」
「会話?・・・」
ニャントロの言葉にユニヴァがきょとんとしていると、すぐ隣にいたクーさんが輝く渦巻貝を取り出した。
「会話だ、会話しているよ。」クーさんが渦巻貝を掲げて僕らに見せた。
渦巻貝から放たれる真っ青な閃光は、巨大真珠の壁を易々と突き抜けて、朝日に白く輝く谷間へと長く強く伸びているのだ。
「渦巻貝ちゃん、了解。」そしてユニヴァは巨大真珠を白い谷間へと急がせた。
白い谷間に降り立ってみると、真っ白な岩が乱反射して、朝の光がひときわ眩しく感じる。
「ここだ。」渦巻貝の光はただ白い一枚岩の中央付近を指していた。
「この堅そうな岩掘れって言うの?」
化石の採掘には道具が必要だって事を誰もが忘れていた。
「そうだ、巨大真珠のレーザーが使える。安全装置の解除どうやんだっけ・・・。」
ユニヴァはぶつぶつ言いながら巨大真珠に戻って行った。
しばらくするとビシュウッと音がした。
そして近くの岩が崩れて落ちた。
「これじゃ強すぎるかな?」スピーカーからユニヴァが言った。
「うん、フズリナを壊しちゃったんじゃまずいからな。」
今度はビビィと音がして少し岩が崩れた。
ニャントロは何も言わなかったが、緊張している感は見て取れた。
その時、朝日が山に隠れて白い谷間に影ができた。
「ああっ!我のフズリナ・・・フズリナ・・・」
白い岩の中に白い光が脈打っているのがわかった。
僕は岩の合間の雑草を少し取ってきて、フズリナの周りに緑色の円を描いた。
ユニヴァは慎重に僕が描いた緑の線をレーザーでなぞって行く。
最後に片隅を大きく削って、フズリナの部分だけを切り離す。
ニャントロはフズリナの入った岩の塊を抱き上げた。
「ああっユニヴァ・・・我、感謝を申す。そして皆にもっ。」
「渦巻貝って言うか、岩だね。」と言ってユニヴァは笑った。
夕方には、見慣れたキャニオンドームのエントランスまで帰ってくることができた。
ニャントロは安心したようで、光脈打つフズリナを抱えてすっかり眠り込んでいる。
そしてユニヴァの渦巻貝も捜索が済んで、静かに紫色の光を脈打っていた。
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【2010/04/01 16:21】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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【2010/04/30 16:35】 | lemonchura | トラックバック(0) | コメント(0) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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