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ちゅら星(56)
34.束の間
またユニヴァの誕生日が今年も盛大なお祭り騒ぎに終わった。
それから数日後のある日、僕とクーさんはユニヴァの応接室にいた。
「ね、なんか変だと思わない?」
ユニヴァが僕とクーさんを交互に見つめた。
「・・・・。」
「ホシマルちゃんかな?」
「それならいいんだけど・・・。」
「時々変な音も聞こえるの。」
「どんな?」僕とクーさんが同時に言った。
「木琴と笛かな・・・。」
ユニヴァの応接室の窓は、相変わらずの白い雲の浮かぶ青空が広がっているのだが、中央付近に直径10センチくらいの黒っぽいモヤモヤが渦を巻いているのだ。
「青空の風景を他のに変えてみたら?」
ユニヴァは窓のところに歩いて行くと、窓ガラスに手のひらをあてた。
窓の景色が森林の中の風景に変化した。
「消えた。」
「消えたねぇ。」
どうやら問題は片付いたようだ。
それから念のためもう一度青空の風景に戻してみると、やはりきれいにモヤモヤは消えていた。
「ちょっとしたエラーだったんだね。」とクーさんが言った。
僕らは冷たい紅茶をすすって、ふわふわのソファアにどっぷりと持たれた。
その時だった。
「うわぁー!!!」
窓の中央にあの黒っぽいものがまた現れたと思った瞬間、窓一面に一気にそれは広がり、窓の景色は不気味な黒いモヤモヤ一色になったのだ。
「ちょっとたすけてよー!」ユニヴァが泣きそうな声を上げた。
「チャンネルを変えよう。」クーさんが言った。
「気持悪くて触れないよう。」
確かに僕だってあんな不気味な景色に近寄って、手のひらをタッチする気にはなれなかった。
「リモートコントロールで!」
ユニヴァが静かに目を閉じた。
するとすぐにユニヴァはぶるぶるっと身震いして目を開けた。
「コントロール不能みたい。」
暗闇の向こうから軽やかな音楽が聞こえている。
ユニヴァはテーブルの上の皿からアーモンドを一粒つまむと、思いっきり窓に向かって投げた。
アーモンドは窓を突き抜けて、暗闇の深淵へ消えて行ってしまった。
「やっぱり窓じゃなくなってる・・・。」
そう言って暗闇を見つめていたユニヴァはポケットに手を突っ込むと、あの巨大真珠を取り出した。
「ユニヴァ、まさか・・・!」
「今回ばかりは気が引けるよ。」とクーさんも言った。
クーさんは夜行ツアーの時といい、こう見えて結構お臆病なのだ。
けれどもそうじゃない僕でさえ、突然現れた不気味なモヤモヤに無防備に突っ込んで行く気にはなれなかった。
「だいたい、この奇妙な音楽みたいなのが怪しいよ!」
「ああ、絶対変なマインドコントロールかなんかだぜ。」
「とにかく乗って!」
「やだよ!」僕とクーさんは声を上げて断った。
「この中はネガティブな波動は入り込めない構造なんだから。」
そう言われると僕とクーさんの行動は早かった。
巨大真珠の中はネガティブな波動からは護られているものの、スピーカー越しにあの音楽は聞こえていた。
音楽自体はとても軽やかで心地いいものに聞こえている。
「コンパスがぐるぐる回ってる・・・。」ユニヴァがつぶやいた。
コックピットを見るとコンパスばかりか、時計も00:00:00のまま点滅していた。
「やばいよぉ。」クーさんが情けない声を上げた。
「落ち着いて!これは宇宙船よ、この中なら大丈夫。」
ユニヴァは暗黒の中を見つめていた。
ニモンッ!と音がして「誰だろ?」とユニヴァが言った。
それからユニヴァが何か操作をしたのか、空中に蛍光ピンクの文字で長い文章が浮かび上がった。
『こんにちはユニヴァ。お元気ですか?・・・・
「長そうな手紙ね。小さな動物からだわ。」
ユニヴァはそう言うと小さな動物からの手紙を消してしまった。
そしてこちらを向いてニタッと笑うと操縦レバーに手を掛けたのだ。
「やめろーっ!!」
クーさん叫び声とともに、僕らは黒い渦の中へ突っ込んで行ったのだ。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2009/06/09 16:11】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(3) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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