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ちゅら星(49)
僕らは潜水艦に誘導されて灯台のある島に到着した。
ウミとソラはあいさつ代わりに「ユニヴァはいつでもお騒がせね。」と声をそろえて言った。
ユニヴァはそんな言葉は聞こえないような顔で、僕らがやって来た泉がある島の座標をウミから聞いていた。
それから大きな男の肩に乗っている小さな動物の顔を覗き込んで言った。
「帰りは迎えに来るからゆっくりドリームトラベルを楽しんでいてね。」
僕は当然僕らもドリームトラベルを楽しむのだと思っていたのだが、違うようだ。
そしてユニヴァはウミとソラに「それじゃよろしくね。」と言うと、巨大真珠にさっさと乗り込んだので、僕とクーさんも助けてもらったお礼も早々に巨大真珠にまた乗り込むことになった。
上昇する巨大真珠を見上げる4人に僕らは手を振った。
彼らがだいぶ小さく見えるようになったころ、ユニヴァがワープボタンを押して、僕らはあのウミガメと別れた海岸の真上に戻ってきた。
「いったいこれから何をしようっていうの?」クーさんがモニター越しにユニヴァに尋ねた。
「ここで人魚と待ち合わせしているのよ。」とユニヴァは言った。
僕はこの前来た時の真珠を分けてくれた人魚たちが「今度来るときはトリトンを案内するわ。」と言っていたのを思い出した。
僕らは人魚たちが来るまでの間、海岸に降りて時間をつぶした。
ユニヴァは手のひらサイズなった巨大真珠を砂山に転がして遊んでいた。
僕が海岸から10メートルくらいの辺りを泳いで散策していると、向こうから二人の人魚が泳いでくるのが見えた。
僕は水中から顔を出してユニヴァとクーさんに彼女達が来たことを合図して知らせた。
すると人魚たちはあっという間に僕の目の前の水面に来て顔を出した。
「覚えてる?久しぶりね。」とブルーの瞳の人魚が笑いかけた。
そしてもう一人のピンク色の瞳の方が「あれはなあに?」と指さすので振り返ってみると、ユニヴァとクーさんが乗った巨大真珠がフワフワと空中をこちらに近づいてきているところだった。
近くまで来ると巨大真珠の真珠色のボディが透明になって、ユニヴァとクーさんの姿が見えるようになった。
ユニヴァはスピーカーを使って真珠の中から話しかけてきた。
「一人定員オーバーだわね・・・どうするピーちゃん?」
ユニヴァは意地悪そうな流し目で僕を見下ろしていた。
「ユニヴァ久しぶりね。」とブルーの瞳が真珠の中のユニヴァに手を振った。
「海王星を飛び出さなくてもトリトンへのポータルがすぐそこにあるのよ。」とピンクの瞳が水中を指さした。
それからすぐに僕も巨大真珠に乗り込むと、二人の人魚の後に着いて海中を進んで行った。
以前真珠をとった場所よりもずっと手前にそのポータルはあった。
一見は海底のちょっとした洞窟にしか見えないのだが、奥の方に強い光が輝いているのが見えるのだ。
僕らは次第に明るくなる洞窟をどんどん奥に進んで行って、眩しいほど明るくなったと思ったら強い浮力を感じて、噴水の池のようなところに飛び出していた。
それは白い大理石のようなものでできた、中央に噴水がある広い池のようなところだった。
そしてあちこちから次々と人が浮き出してきている。
僕らは池の外に着地して巨大真珠から降りた。
子供達が巨大真珠に寄って来て壁面をぺたぺた触り始めたので、ユニヴァは慌てて真珠を小さくしてポケットにしまった。
「海王星には100以上ものポータルがあるのよ。」とピンクの瞳が言った。
僕らは海王星の月であり、人魚たちの居住区であるトリトンへやって来たのだ。
人魚たちが池のふちに腰かけて、ヒレを2・3度パシャパシャと振ると魔法のように2本の足が現れた。
僕はいつまでも池から上がってくる他の人魚たちの変身ぶりを観察していた。
「ご馳走するわ。」と二人の人魚は言って歩き出した。
キラキラ光る真っ白に舗装された道が続いている。
商店街のようなのだが、建物ではなく店1軒分もある大きなパラソルが店やレストランを作っているのだ。
二人の人魚はブルーと白のストライプのパラソルへと入って行った。
驚いたことにそのパラソルの下は大きなドーナツ型のプールになっていて、中央のバーカウンターではバーベキューが食べられるようだ。
流れるプールに流されて行く人魚たちが見える。
「あぁなんだか懐かしい匂い。」とユニヴァが言った。
「ピンクのバーベキュー食べた事あるの?」とブルーの瞳が驚いたようにユニヴァを見た。
「行ったことはないけど、あたしは元々プロテウス出身らしいから。」とユニヴァは答えた。
「プロテウスって?」と僕が聞いた。
ユニヴァはパラソルの影から出ると、空を指さした。
大きな月が白く浮かんでいた。
「海王星にはたくさん月があるのよ。」とピンクの瞳が言った。
「ネレイドって月に行けばレモン星へのポータルもあるわよ。」
「ええっ、本当に!」僕はレモン星の名前が出てきたので驚きの声を上げてしまった。
それから僕らはドーナツ型のプールにかかる橋を渡って、中央のバーカウンターへ入って行った。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2009/01/03 16:28】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
ちゅら星(50)
カウンターの奥のラックには、ピンク色の玉が数珠つなぎになっているネックレスみたいなものが店の飾りのようにたくさん吊るしてある。
店の人はそこからそのネックレスを棒にひっかけて一つなぎ下ろすと、それをお皿に載せて僕らの方へ運んできた。
ピンクのネックレスがのったお皿と人数分のフォークが大雑把にテーブルにドサリと置かれると、次に店の人は人数分のジュースの瓶の蓋をものすごいスピードで手際よく開けてトントントンと僕らの目の前に並べて行った。
ユニヴァは糸でつながっているピンクの玉をお皿から持ち上げて「似合うかしらん。」なんて言った。
それからブルーの瞳が糸の端を引っ張ってから糸を抜いてくれたので、僕は初めてのピンクのバーべキューを口に入れた。
なんとなく焼きタラコを思わせる味わいだ。
「これはいったい何でできているの?」クーさんが尋ねた。
「魚の卵よ。」とブルーの瞳が答えた。
「すっごく巨大な魚なんだって!」とユニヴァが口の中のものを急いで飲み込んで言った。
「そうだこの後スケートに行きましょうか?」ブルーの瞳が唐突に言い出した。
「この巨大な魚が見れるかもね。」とピンクの瞳が言った。
さっぱり意味はわからなかったけど、そもそも相手は人魚でここは人魚たちの文化圏なので黙ってスケートに行くことに従った。
店を出て少し行くと円筒形のガラスの建物に着いた。
見上げるとそのガラスの建物は空の果てまで続いているように見えた。
「すぐに来るわ。」とブルーの瞳が空を見上げている僕ら三人に言った。
するとものすごいスピードでガラスの建物の中に何かが降りてくるのがわかった。
「これエレベーターなの。」驚いたようにユニヴァが言った。
エレベーターは地上近くまで来るとスピードを一気に落として着地した。
中から何人かの男女が降りて来て、それから僕ら五人はエレベーターに乗り込んだ。
扉が閉まるとほんの少しエレベーターが浮き上がった。
ガラス越しの地上ではエレベーターが発車するのを見ようと、何人かの子供と近くにいた人達がいっせいに僕らの乗ったエレベーターに注目している。
少し間があってシュッという音と共にものすごいスピードで地上の街が縮んでいった。
「ねぇ、これどこに行くの?」と言うユニヴァの質問の答えのように、エレベーターのスピードが落ちた。
気がつくと上の方に水面が見えた。
エレベーターは上空にある水中に飛び込むかのように進んで行くのだ。
すぐに僕らの周りはすっぽりと水に包まれてしまった。
足元では空の明るさがゆらゆらと輝いているのが見える。
「あっ。」ユニヴァが小さく叫んだ。
「今のは小さなイカよ。」とブルーの瞳が言った。
「まさか、ここは海なの?」クーさんが言った。
「まさか、海が空の上にあるなんて?」またクーさんが言った。
「珍しいでしょ?」と二人の人魚は声をそろえて笑った。
それから僕らは動く水族館な気分でトリトンの海を観察していた。
足もとの空の明るさは次第に遠くなり、辺りは薄暗くて青く光る小さなプランクトンくらいしか生物は感じられなかった。
「来た!」ブルーの瞳の声にみんなが一点を凝視した。
「ほら、今。」
白っぽいものが20メートルほど先に見えたような、見えないような。
それからしばらく白い影が見えなくなった。
「ねぇ、さっきのがピンクのバーベキューをう・・・」
ユニヴァがそう言った時、突然エレベーターのすぐ脇を巨大な銀色の魚が舐めるように通り過ぎた。
クジラほどもあっただろうか。
慌てて目で追いかけて振り返った時には、巨大な尾びれがエレベーターからのライトを強く反射して、巨大な魚はまた暗闇に消えていってしまった。
僕らは今一度あの魚を見ようかと目を凝らしていたが、結局それきりだった。
エレベーターは速度を落としたまま上昇を続けていたが、辺りがなんとなく明るくなって来たような気がした。
小さな魚がキラキラと群れを作って流れて行く。
そして薄青い岩があちこちに見えてきた。
「うわぁ、きれいな氷。」とユニヴァが言った。
「もうすぐよ。」とブルーの瞳が言うと、エレベーターの天井の方から明るい光が差し込んできた。
僕らはエレベーターで分厚い氷の層を抜けて、その表面に着いたようなのだ。
「さぁ、そこでスケート用の宇宙服に着替えるのよ。」
僕らはスケート靴のついた完全防備の宇宙服を着こんだ。
そこは一面の氷が地平線までもどこまでも続いているのだ。
うっすらと白っぽい空には小さな太陽が輝いて見えていた。
それから僕らは何度も転んで、お互いに顔を見合わせて大笑いしていた。
と言うのも、スケートと言えどもここは全くの自然で、凸凹や溝があちこちにあって何とも滑りにくいスケート場なのだ。

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【2009/01/31 16:23】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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WhiteUniva∞ホワイトユニヴァ


れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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