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ちゅら星(46)
木漏れ日の小道を歩いて行くと、小さな小川に突き当った。
目の前にはちゃんと橋も用意されていたので、僕らは難なく川を渡った。
お腹がすいてきたので、川べりに座り残っていたチーズトーストを食べた。
ふわふわの枯れ草に座ってくつろいでいると気配を感じた。
「今、カサっと音がしなかった?」
「クマかイノシシかも。」
また音がした。
僕らは慌てて立ち上がると、大急ぎで渡った橋を戻って対岸へ逃げた。
振り返るとそこに大きな男とその肩に乗った小さな動物が現れた。
「迎えに来たよ。」と小さな動物が言った。
小さな動物は僕らが顕微鏡から出てくる頃を見計らって迎えに来てくれていたのだ。
それから大きな男と小さな動物の後について、小さなけもの道を通って山を下って行った。
ユニヴァが木の根につまずきながら「ありがっと、顕微鏡オドロキだった。」と小さな動物に言うと、大きな男の肩で小さな動物が振り向いて答えた。
「それは良かった。この顕微鏡は見る人次第でいろいろな見え方をするらしいから、またいつか覗いてみるといいよ。また違う景色が見えるかもしれない。」
僕らは小さな動物にまた来てもいいという許可を貰えた気がして、うれしい気持ちになった。
「ところで僕らはあの顕微鏡で何を見ていたの?」気になったので聞いてみた。
「石か砂利だね。」と小さな動物が短く答えた。
大きな男が補足するように続けた。
「あの顕微鏡の下には特に被見物が置いてあるわけじゃないんです。ここと同じような地面を見てるってことです。」と言って今歩いている地面を指さした。
「それで最初に鉱物の結晶みたいなのが見えていたんだね。」とクーさんが言った。
それからユニヴァが質問した。
「あの奈落の底ってどうなっちゃってんの?」
小さな動物は振り向きもしないで「さあね。」と言っただけだった。
あっという間に海が見えてきて、灯台の姿も見えてきた。
その時小さな動物が思いついたように突如振り向いて言った。
「分かってるだろうけど、これは秘密の秘密の秘密だからね!」
僕ら全員無言で大きくうなずいた。
少ししてユニヴァが言った。
「今度は奈落探検の旅なんてどう?」
誰も何も答えなかった。
灯台に着くと大きな男は焼きたてのスポンジケーキとお茶を用意してくれた。
僕とクーさんは帰り際にお礼の印として、ゴディ星で採ってきた紫色のサンゴの枝を小さな動物と大きな男に贈呈することにした。
そして僕らはまたユニヴァのポケットから取り出した真珠に乗り込んだ。
足元に見える大きな男がどんどん小さくなっていった、小さな動物は点にしか見えない。
そして巨大真珠は灯台のドームを出て走行状態になった。
僕はパネルのユニヴァに話しかけた。
「いったいどうやって小さな動物を口説いたのさ?」
進行方向を見ていたユニヴァの顔がこちらを向いた。
「海王星の灯台を紹介してあげたのよん。」
「ドリームトラベルを?」
「そう、あれを知っている人はけっこう少ないし、キャニオンドームのポータルの事は特に効いたわ。」とユニヴァは言ってフフッと笑った。
「あのポータルは僕ら以外に誰も知らないから特ダネだね。」とクーさんが笑った。
僕は何だかとても遠い旅に行って来たような、それでいて灯台でちょっとお茶を飲んで来ただけのような妙な気分を感じて、小さくなった灯台のドームを振り返った。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2008/11/01 16:54】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
ちゅら星(47)
31.再び海王星へ
灯台のドームから帰ってまだ何日もたたないある日、物音がしたので玄関の方を見てみると、そこにユニヴァが立っていた。
出て行くと、外には巨大真珠も置いてあった。
「ドライブ?」と声をかけると。
「海王星まで付き合わない?」とユニヴァが言った。
当然のことながら僕は巨大真珠に乗り込むことになった。
簡単に支度をしてから外に出て行くと巨大真珠は透明の状態になっていて、中にはクーさんと大きな男とその肩には小さな動物も見えた。
座席にいるユニヴァが僕の座るべき開いているシートを親指で指さした。
「今日は定員オーバー気味だね。」と僕が言いながら乗り込むと、小さな動物が「僕は数に入らないそうだよ。」と皮肉そうに言った。
しばらくすると僕はユニヴァがちゅら星に向かっていることに気がついた。
「そうよ、キャニオンドームのポータルから行くの。」とユニヴァが僕の心を読んで答えた。
見覚えのある渓谷の上空まで来ると、ユニヴァは操縦を手動に切り替えてゆっくりと岩に沿って下りて行った。
例の洞窟の入口が見えてくると止まりそうなくらい速度を落としてから、穴の手前に張り出している岩の前で浮いたまま停止した。
この洞穴の奥には小さな水晶の洞窟があって、そこにある小さな泉が海王星へのポータルなのだ。
ユニヴァが真珠から降りるようにと言ったので、僕らは一人ずつ慎重に岩の上に飛び降りて行った。
最後にユニヴァも降りると真珠の壁面に軽く触れて小さくしてから、空中に浮いている真珠をヒョイと掴んでポケットにしまった。
「ここまで乗り物で来れるとだいぶ楽だね。」とクーさんが言った。
この前来た時は1時間もかけてこの岩を素手で下りて来たのだ。
そして僕らは洞窟の奥へとどんどん進んで行った。
小さな動物は小さな体にもかかわらず、走るようなスピードで僕のすぐ後に着いて来ていた。
水晶の洞窟の入口はとても小さいので、黒猫に変身したユニヴァと小さな動物はわけなく通れるのだが、問題は大きな男なのだ。
とりあえずチャレンジしてみたものの、まず肩が通らないのでどうにもならない。
こうなったら穴を崩して少し大きくするしかないと考えた僕らは、穴を掘る道具になるものを探し始めていた。
けれどもこの美しい洞窟は、滑らかな岩肌に覆われていて手ごろな石さへも落ちていないのだ。
「水晶折れるかな?」とユニヴァが水晶の洞窟の中を覗いた。
ユニヴァと小さな動物が水晶の洞窟の中を調べ始めたので、僕も手伝おうと這いつくばって水晶の洞窟へ入ろうとした時、慌ててユニヴァと小さな動物が走ってきて、肩まで入りかけた僕の頭を押して騒ぎ立てた。
「泉から変な音がしているっ!」
僕がこちら側に戻ると小さな二人も慌てて出てきたので、僕らは穴の端から覗いて泉の様子をジッと見ていた。
黒っぽいものが浮き上がってきたのが見えた。
「気持悪い、動いてる。」とユニヴァが小さな声で言った。
ヌメヌメと光沢のある黒いものが動いている。
すると小さな動物がちょこちょこと水晶の洞窟の中に入って行くので、クーさんが手をのばして小さな動物の足をつかんで止めた。
「あれウミガメでしょ。」と振り返った小さな動物が言った。
そう言われてよく見ると確かにウミガメのようだ。
しばらく観察していると、ウミガメは水晶の洞窟の奥の方にある細かい水晶でできた砂場にたどり着いた。
「ウミガメの産卵だよ。」小さな動物はそうささやくと、ゆっくりゆっくりとウミガメの方へ近づいて行った。
僕らは不用意に大きな声を出すこともできないので、小さな動物を止めるわけにもいかなかった。
小さな動物は砂場に近い水晶の影まで行くとそこに留まった。
どうやら砂を掘り起こしたウミガメが産卵を始めたようだ。
「海王星のウミガメね。」とユニヴァが言った。
1時間ほど経っただろうか、ウミガメが砂場から動き始めた。
そして水晶の影にいる小さな動物へ近づいて行ったのだ。
しばらくすると小さな動物が僕らを呼ぶので、穴を抜けられない大きな男だけを残して僕らもウミガメのところへゆっくりと近づいて行った。
ウミガメは僕らを仰ぎ見ると言った。
「この一番奥よ。なるべく端の方を通って、卵を踏まないようにね。」
落ち着いた口調でそう言うと、ウミガメは泉の中へとゆっくりと帰って行った。
「この一番奥?」とユニヴァが首をかしげた。
「魔法があるんだ。」小さな動物はそう言うと砂場の端を進んで行った。
その奥は右に曲がっているのでよく見えないのだが、すぐそこでカサカサと小さな動物が砂を掘っているのが分かった。
すぐに何かを大事そうに持って小さな動物が現れた。
ガラス玉のように光るウミガメの卵くらいの玉を持っている。
「太古のウミガメの卵の化石なんだって。」自慢げに小さな動物がそれを差し出した。
すぐにユニヴァが手に取ってみた。
「うわぁきれい。」
「ねぇ、まだあるの?」とユニヴァがきくと、小さな動物は小さくうなずいた。
「でも、これは大事な魔法だから今日はもう採っちゃだめだ!」
ユニヴァは何で?と言う顔でキョトンとしている。
すると小さな動物はちょこちょこと入口に取り残されている大きな男の所にかけて行った。
「さぁ、これを飲み込んで。」
そう言って光る卵を大きな男に差し出すと、大きな男は躊躇もせずにそれを一息に飲みこんだ。
すると大きな男の体が虹色のオーロラのようになったかと思うと、あっという間に丸まっていって、卵ぐらいの大きさの光になってしまった。
「さぁ、早くこっちに入ってきて。」
小さな動物は水晶の洞窟の入口に浮いているその小さな光に言った。
それから僕らはユニヴァから先に泉の中へと潜って行った。
大きな男も小さな光に変身したまま泉の中に入って行った。

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【2008/11/17 19:11】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(1) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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