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ちゅら星(44)
30. 灯台の地下へ
この巨大真珠は4人乗り用だ。
ユニヴァを挟んで右側のシートに僕が着き、左側のシート(僕のちょうど背中側)にクーさんが着いた。
僕の前のパネルの右側にはユニヴァの顔が映し出され、パネルの上にはクーさんが映し出されていた。
「それではお待たせしました。顕微鏡へ出発!」と景気よくユニヴァが叫んだ。
「顕微鏡?」何も知らなかったクーさんの顔がユニヴァを振り返っていた。
「あの小さなど・う・ぶ・つ・の。」とユニヴァが意味深に言うと、クーさんの目がすぐに輝きだした。
そして僕らはちゅら星の灯台のドームへと巨大真珠をぶっ飛ばした。
僕らが灯台に着くなり、小さな動物はあいさつ代わりに「来た、来た。」とあきれたように言った。
きっとユニヴァがしつこくお願いしたからに違いない。
それから大きな男が出してきた重そうな鍵を受け取ると、テーブルに置いて、説明を始めた。
「まずこの下の階段をどこまでも下りて行く。」小さな動物はテーブルを人差指でコツコツと指した。
足元の床板を見てみたが外れそうな所は見当たらなかった。僕らはそのまま説明の続きを聞いた。
「途中、踊り場が広くなっている所の角にはスイッチがあって小さな照明が使えるから休憩に使うといい。とにかくどこまでも降りて行くと大きな木の扉にぶつかる。」
小さな動物はテーブルの鍵を僕らの方によこした。
「これがその扉の鍵だ。入ってすぐ右側に棚があってランプが置いてあるから使うといい。その先は長い廊下になっているので突き当りまで進む。そして突き当たった右側の手動式のエレベーターで着地するまで降りる。エレベーターを出るとすぐ右側が通路になっているように見えるのだけれど、右に行ったら奈落に落ちる。左だ!左の壁を押すと少しだけ動く、それから壁の右端を押すと少し斜めになって左側の壁板に手を掛けられるようになるので、手を掛けて右斜め奥へ壁板を押し込む。」
クーさんは慌てて手帳を出してメモを取り出した。
「その先に新たに下へ降りる階段が現れる。どこまでも降りて行けば顕微鏡の部屋につながる。」
話が終わると大きな男はキッチンの奥へ入って行って、ギリギリと音をさせて何かを動かしているようだった。
気がつくと何枚かの床板がゆっくりとスライドし始めていた。
それから僕らが床板の下に入ると、大きな男は風呂敷包みを手渡してくれた。
「チーズトーストと水、沢山詰め込んでおきましたから。」
小さな動物は腕を組んでただ僕らを見下ろしている。
しばらくすると床板が閉まり始めた。キッチンの方でギリギリと音がしている。
僕らは小さな動物に手を振って見せた。
「エレベーターを降りたら左だよ。」閉まりきる寸前に小さな動物が言った。
そして僕らは真っ暗な階段を恐る恐る降り始めた。
古い木の階段はミシミシと音がするのだが、快適なのはほのかに発光する絨毯がひいてあるからなのだ。
しだいに目が慣れてきて、らせんに降りる階段を僕らは軽快に進んで行った。
1時間も進んだだろうか、僕の後ろのユニヴァの足音が止まったような気がした。
「まだなの?」とユニヴァの声がした。
僕は黙って進み続けた。それからすぐに広々としたスペースに着いたのだ。
小さな動物に言われたように角にはスイッチがあって、天井の裸電球が辺りを照らしだした。
僕らは風呂敷包みを開いて、水とチーズトーストで休憩をとることにした。
長時間の下り階段の割には、柔らかい絨毯のせいか足の疲れも気にならなかった。
それからまた階段を降りて行くと、10分くらいで例の扉に突き当った。
ところが鍵の形が複雑で僕はなかなか鍵穴に差し込めないでいた。
何度か試していると、少し差して90度回転させると少し奥まで入り、また90度回転させるとまた奥まで入る仕組みになっていることがわかった。
無事に扉を開けると、右側の棚のランプに火をつけた。
僕はユニヴァとクーさんの姿を確認してから、ランプを持って通路を先に進んで行った。
通路はすぐに突き当たり、右側に小さな部屋があった。
エレベーターだ。
僕はランプでエレベーターの中を照らした。
エレベーターの中央には一本丸い柱があり、柱にはハンドルがついてる。
辺りは物音一つなく、僕らの呼吸の音まで聞こえるほどだ。
僕がエレベーターの中に一歩踏み出すと、ギギーと鳴って、エレベーターの小部屋が少し下に沈んだ。
僕はゆっくりと通路側の壁につかまりながらエレベーターに乗った。
次にユニヴァが足を掛けると更にエレベーターが沈んで、柱のハンドルがほんの少し動いた。
「三人乗ったらマズイな。」まだ通路にいるクーさんが言った。
「でもこんな真っ暗なところでクーちゃん独りじゃかわいそうだよ。」ユニヴァが言う。
それより僕は一度下に着いたエレベーターをもう一度ここにあげる方法がないことを考えた。
ところがユニヴァが一人を下に降ろしたら、もう一人がまたハンドルを逆回転させてクーさんを迎えに来ればいいと言った。
当然そうすることになったのだが、クーさんを迎えに戻るのはなるべく体重の軽いユニヴァの方がいいということで、僕は奈落の淵で独り待たされることになってしまったのだ。
そして僕とユニヴァはクーさんを残して、ハンドルを回してエレベーターを下ろしていった。
エレベーターは思いのほか深かった。
ハンドルがもう回らなくなり、辺りをランプで照らすとそこには1平方メートル足らずの部屋がある。
前と左側に壁があるのが分かるのだが、右側は真っ暗で何も見えないのだ。
僕は恐る恐る這うようにしてエレベーターを降りて、左側の壁にくっついて膝を抱えてじっとした。
「いい、悪いけどランプは持って行くから、とにかく戻るまでそこにじっとしているのよ。」
ユニヴァはそう言ってエレベーターのハンドルを回して上に戻って行った。
ほんのしばらくはエレベーターから漏れるランプの光が見えていたが、間もなく真っ暗になった。
エレベーターのギシギシいう音だけが僕にユニヴァの存在を感じさせてくれていた。
僕は真っ暗闇の中、この小さな部屋の存在さえ危うく感じ、時々床を手で探って部屋の存在を確かめていた。
どうやらここはただ土を掘り抜いただけのようで、床には砂利や小石が手に感じられた。
僕は手に触れた大きめの石を拾って奈落のある方向に思いっきり投げてみた。
いつまでたっても何の音も聞こえてはこなかった。
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【2008/10/10 11:34】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
ちゅら星(45)
いつの間にかエレベーターの音も聞こえなくなっていた。
クーさんのところへ着いたのだろうか?
僕は眼を開いていても何も見えない暗闇の中で、ギュッと目を閉じて膝を抱えて小さくなった。
しばらくするとエレベーターが動きだした。
僕はホッとして、ランプの明かりが見えてくるのを待った。
「お待たせ。上りのハンドルは重いのよっ。」ユニヴァが言ってエレベーターは止まった。
ランプの明かりが戻ったので、僕はすっかり落ち着きを取り戻して壁を開ける作業に取り掛かった。
クーさんが手帳を取り出し、メモを読み上げた通りに僕は壁を動かしていった。
壁をスライドさせると土ぼこりが降ってきて、中はちょっとカビ臭い匂いがした。
ランプで照らすとすぐに階段が下りているのがわかった。
今度の階段には発光する絨毯はひいていなかったので、僕らはランプの明かりを頼りに降りて行った。
最初の階段ほど長くはないものの、階段を何十回も折り返した。
そして、そこにすごいものはあったのだ。
小さなランプ一つではほとんどよく見えないのだが、黒く光る巨大なものがあるのが分かる。
たぶん、ものすごい顕微鏡だ。
僕は顕微鏡の部屋の入口にたたずみ、少し恐怖に似たドキドキ感を感じていた。
躊躇しているとユニヴァが背中をつついて言った。
「なーにしてんのよっ。いまさら怖気づいたの?」
ユニヴァが僕を押しのけて、先に部屋に踏み込んだ。
そして僕を振り返って、「ドキドキ=ワクワクって公式があるでしょ!」と言って人差指で僕らを部屋に招いた。
もちろん僕はそんな公式には聞き覚えがなかった。
でもそう思うとすっかり恐怖は消えてワクワクした気持ちになってきたことは確かだった。
僕らが2・3歩部屋に入ると壁がほのかに明るくなって、部屋全体が見通せるようになった。
100メートルほどもありそうな巨大な部屋の床いっぱいに、湖のような巨大なレンズが黒く輝いている。
そして僕らはレンズの縁に寄り、池を覗き込むようにしてレンズを覗いてみたのだ。
「何も見えない・・・。」
そんなユニヴァの声さえ吸い込まれてしまいそうな真っ黒で巨大なレンズだ。
なんとなく床が動いているような気がしたので辺りを見回してみると、僕らの入ってきた入口がほんの30センチほどの高さになっていた。
「この部屋上昇してるんだわ。」とユニヴァが言った。
その時、突然レンズが明るく輝いた。
そこには大きく虹色のものがどんどん拡大しているところだった。
「これ、何かの鉱物じゃない?」とクーさんが言った。
確かにこんな鉱物の拡大映像を見たことがある。
ところがその虹色は、あっという間に得体の知れないものに変化していくのだ。
しばらく僕らは驚異の映像に圧倒されて、レンズの淵に釘付けになっていた。
ものすごい光に僕らは目を覆った。
「何かいる。」ユニヴァが言った。
しばらくするとクーさんが言った。
「これ陽子に違いない。」
「じゃあ、あの動き回っているのは電子なの?」
電子は僕らの思っていたのとは違い、まるで軌道もなくメチャメチャに動き回っているようなのだ。
シャリシャリと音が聞こえてきて、映像はただの真白になった。
体が軽くなって浮きそうな気がした、それなのに自由に動かせないのだ。
気圧のせいだろうか、ユニヴァが何かしゃべったようだがよく聞き取れない。
「・・・ちゃん・・・」ユニヴァの声が時々聞こえる。
「・・・ちゃんでクーちゃんだ・・・」
「あたしはピーちゃんでクー・・・」
僕はフワフワする自分の体を何とかコントロールしながら、ユニヴァの声を聞いていた。
そして一瞬静まり返ったかと思ったら、今度はダンスホールみたいに光がものすごい勢いでメチャメチャに点滅し始めて、ハウリングのような音に僕らは耳を覆ってその場にうずくまった。
薄目を開けようとしたけれど無理だった。
危険を感じるほど明るい光なのだ。
しばらくするとハウリング音は集束していき、光の強さも収まって行った。
レンズを覗き込むと、それは黒い世界に雲がかかっているように見えた。
雲は生き物のようにうごめいていた。
「あたしたちって生き物なんだね。」レンズを覗いたままユニヴァがつぶやいた。
雲のところどころには青い光や黄色い光が見えているところもある。
僕らは雲の万華鏡のような世界をただぼんやりと眺めていた。
雲がまばらになってくると回転するものが一つ二つ現われてきたので、僕らはレンズの周りを歩いて、次に回転しそうな雲を探して回った。
ユニヴァは次々と回転していく雲を指さしてレンズの周りを走りだした。
その時になってようやく僕は気がついたのだ。
僕らは宇宙が出来上がって行くところを見ているのだ。
次第に中心で回転する一つの雲にレンズはどんどんズームアップしていた。
近づくにつれ、回転する雲は立派な銀河であることがわかった。
2本の腕を持つお馴染みの形だ。
僕らは途中、顕微鏡を見ていることをまるですっかり忘れてしまっていた。
この景色はどう見ても望遠鏡で見る宇宙の景色だったのだ。
僕らはまるで遠い宇宙から故郷の惑星へ帰還しているような感覚だった。
ものすごいスピードで宇宙を突き進んでいるうち、見覚えのある風景が見えてきたのだ。
「あたしたちの太陽系に似ている。」
ユニヴァがそう言ったので、僕もクーさんもレンズの景色に乗り出した。
「あっあの形、小さいけどレモン星かも・・・。」ユニヴァが言っている間に、レンズはものすごいスピードでちゅら星に吸い込まれるように入り込んだのかと思ったら、虹色の光線と共にレンズの中央に大きな紫色の石が現れていた。
そしてスイッチを切ったようにレンズは真っ暗になってしまった。
それと同時にレンズの上昇も止まった。
僕は上昇が止まった後も、いつまでもめまいを感じていた。
「ああ、あれが宇宙の始まりだったんだね・・・。」と僕は言った。
「耳も目も閉じちゃってたよ。」とユニヴァが悔しそうに言った。
するとクーさんが言った。
「ドアがある。」
僕らがちょうど入って来た時の入口のあたりに、小さなドアがあった。
ドアを開けようとすると何かに引っ掛かっているようで、クーさんと二人がかりで力いっぱい押すと、植物の蔦がバリバリバリッと引きちぎれてドアが開いた。
そこはジャングルの中だった。
僕らはとにかく外の様子を見てみることにした。
木々がトンネルを作っている。どうやら小道がどこかへ続いているようだ。
「あれっ!」
ユニヴァの声に振り替えると、ユニヴァがドアの前で慌てているところだった。
「ロックされちゃったみたい。」
そしてジャングルの小道を行く他に僕らに帰り道はなくなったのだ。

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【2008/10/19 10:52】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
rEaL uNiVa 作っちゃたゎよん。
realuniva3a.jpg
ドサッッ!!


れもんちゅら 『リアルユニヴァが出来上がりました。アルパカ素材で滑らかな手触りのユニヴァです。』
realuniva1a.jpg
キュ~~~ッットっ
realuniva2a.jpg

テーマ:こんなの作りました♪ - ジャンル:趣味・実用

【2008/10/23 11:52】 | 地球星 | トラックバック(0) | コメント(1) |
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れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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