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ちゅら星(38)
ユニヴァは片手でまぶしい朝日を遮りながら、遠くに光る海を眺めた。
「海が見えるわね。」
「ご案内いたしましょう。」
僕らは永遠に続くような牧草地を2時間近く歩き続けて、やっと海岸の下り口までたどり着いた。
「ちょっと待っていて下さい。」
ホシマルちゃんがそう言って右手を高く上げると、海上を飛んでいたペリカンが寄ってきて近くの木立ちにワサッと降り立った。
ホシマルちゃんはミンタカ語?かなんかでゴニョゴニョ告げると、了解したと言うようにうなずいてペリカンはどこかへ飛び立っていった。
長く続く美しい海岸線は、セルリアンブルーの海と真っ白なサンゴ砂のコントラストが正午の日差しでピークを迎えているところだ。
ユニヴァはどこかにポータルらしきものはないかとグルグルとあたりを見回していた。
「ホシマルちゃん、ヒントは?」
そう言うユニヴァにホシマルちゃんは困ったような顔をして、ただ首を横に振った。
「さっきのペリカンになんか聞いてたんじゃないの?」不満そうにユニヴァが言う。
するとホシマルちゃんは助け舟でも見つけたかのような顔をして沖の方を見て言った。
「あぁ、ほら来ました、来ましたよ。」
ホシマルちゃんの視線の先には、赤ちゃんを運んでくるコウノトリの姿がこちらに向かっていた。
近くに来るとコウノトリではなくてペリカンだとわかった。
「さぁ皆さんそちらの木陰に入りましょう。」
僕らが木陰に入ると同時に、重そうなバスケットをくわえたペリカンもワッサと頭上の枝に舞い降りた。
ホシマルちゃんはペリカンからバスケットを受け取って、中から納品書を取り出して胸元の毛の中から出てきた万年筆で納品書控えの紙にサインをした。
ペリカンはサインした紙をくちばしで受け取ると飛び立っていった。
その間に早くもユニヴァはバスケットの中のものを覗き見していた。
「あら、おいしそうなアボカドサンドじゃない。これオレンジジュースかしら?」
ホシマルちゃんは最初にユニヴァの分のジュースを注いであげて、それからバスケットのなかみを次々と広げていった。
「んんっ、マンゴジュースかな?」
「フルーツのミックスジュースでしょう。」とホシマルちゃんは言って、サンドウィッチの包みを広げた。
ここのビーチで食べるアボカドサンドは、今までで一番おいしいサンドウィッチのような気がした。
食後に冷たいコーヒーを楽しんでいる時、ユニヴァが突然立ち上がった。
「ちょっと泳いでくる。」
そう言ってユニヴァは海に向かってまっすぐに走って行った。
しばらくすると波間からイルカがジャンプするのが見えたので、ユニヴァに違いないと見守っていたら、さらに1頭、また1頭とイルカが群れでジャンプを繰り返した。
でも、あの中の1頭は間違いなくユニヴァのはずなのだ。
イルカ達はキラキラと虹色の水しぶきを上げてはしゃいでいる。
しばらくして海水を滴らせながらユニヴァが戻ってきた。
「ヒントヒント!イルカちゃん達からヒント教えてもらっちゃたよ。」
ユニヴァはそう言って、海岸の端に見える海に突き出した丘を得意げに指さした。
すると「かしこまりました。ご案内いたします。」とホシマルちゃんが素早く答えた。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2008/07/07 11:14】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
ちゅら星(39)
僕らが進む道は両側を背の高い雑草に覆われていた。
左側の雑草の隙間からは午後の陽射に輝く海がチラチラと見えていた。
僕らはホシマルちゃんを先頭に僕、クーさん、ユニヴァの順に並んで進んだ。
なんとなく後ろを振り返ってみると、一番後ろのユニヴァはすっかり黒猫になって、立てたしっぽを優雅に振ってついて来ていた。
しばらくすると黒猫は僕らの足元をするするとすり抜けて、先頭のホシマルちゃんも追い越すと、飛ぶように走っていってしまった。
それを見て、「おや?」とホシマルちゃんが僕らの方を振り向いた。
すると「あぁ、こりゃ大変だ。」と慌ててホシマルちゃんは四足状態になって走り出したので、とにかく僕らも走った。
四足のホシマルちゃんは思いのほか早く、しまいにはクーさんまでも僕を追い越して行った。
後ろを振り向くと猛スピードで雨がこちらに向かって来ているところだった。
少し先の崖のくぼみに小さく黒猫の姿が見えた。
続いてホシマルちゃん、そしてクーさんがくぼみに到着して、あと10メートルほどのところで僕はスコールに追いつかれてしまった。
いつの間にかユニヴァは女の子の姿に戻っていて、とにかくこの雨が行くのを僕らはここでじっと待った。
10分もしないで僕らが来た方の空には日が差してきた。
それから東の空に大きく虹がかかったので、僕らはしばらく見とれていた。
「さぁ、この崖の上まで行くのよ。」そう言ってユニヴァはまたドロンと黒猫の姿になると歩きはじめた。
崖を回るようにしてゆるい坂道を登って行くと、木々は次第に鬱蒼として空気はひんやりとしていった。
20分もしないで、頂上に着いた。
雨が降ったせいだろうか足元に濃い霧が煙のように漂っているが、木々の間からは西日に輝く海が見渡せた。
女の子に戻ったユニヴァは「何か目印を探してよ。」と僕らに言うのだが、ほんの10メートル四方ほどの雑木林があるだけで、手がかりなんてありそうにない。
歩き回っていたユニヴァが「ここに何かある。」と言って、足元をコツコツと鳴らした。
何か固いものがある音だ。
そして、ユニヴァが「この霧邪魔ね。」と口をとがらせてフゥ~と足元の霧を吹いてみると、一気に霧が退散してしまったのだ。
そこには1メートル四方の正方形の石板があった。
「ホシマルちゃん、なんて彫ってあるの?」
「落ちる・・・ですかな?」
僕はこの下に落とし穴があるのだと直感した。
それからクーさんと二人で少しずつ石板をずらして行くと、やはりぽっかりと穴が現れた。
しかも下へ続く石の階段がのびていて、落とし穴と言う感じではない。
すぐにユニヴァは階段に足を下ろしたけれど、ちょっと僕は不安になった。
僕が弱気な発言をすると、ユニヴァが強い口調で言った。
「あたしたちはポータルを探しに来てるのよ!この中にポータルがあるにきまってるんだから行くしかないのよ。」
それからユニヴァは頭まですっぽり穴の中に入ってしまってから、一度顔を出して来て言った。
「みんなは待っててもいいのよ!なんか水の音がしてるわ。」
結局僕はユニヴァのすぐ後に続いた。
そしてクーさんとホシマルちゃんも続いて来た。
外の光も届かなくなりかけたとき、階段は行き止まりになってしまった。
ユニヴァが目の前の壁を手で探ってみるとドアノブらしきものにあたった。
「ピーちゃん手伝って。」
僕が錆びついたドアノブを回して、ユニヴァがドアを押した。
みしみしとドアが動き出して、錆か泥が崩れてグズグズと下に落ちた。
扉の向こうからは青い光があふれて来た。
「何だこれは。」と僕はおびえて言った。
「滝だ。」クーさんがつぶやいた。
「この階段水晶よ。」
扉の向こうに広がった空間には、ユニヴァの言う水晶の白く半透明な階段が左右に円を描くように下りていて、正面に落ちる滝の裏へと左右から入って行くようになっている。
滝は天井付近から流れ出していて、30メートルくらい下の青く輝く滝つぼへと落ちている。
「石板の落ちるって、滝の事だったのかも知れませんぞ。」ホシマルちゃんが滝つぼを覗きこみながら言った。
水晶のところどころは虹色に偏光して、この場所を更に幻想的にしていた。
ユニヴァとホシマルちゃんは水晶の階段を左から回って行った。
僕とクーさんは右から下りていくことにした。
階段の途中で対角にいるユニヴァが手を振った。
滝の近くまで来るとそのしぶきが煙のようにまとわりついて、僕はLume星で鳥になって滝の裏側にしがみついていた時のことを思い出したりした。
滝の裏側は奥に続く洞窟になっていて、そこで僕とクーさんはユニヴァとホシマルちゃんに再会した。
洞窟の中は突き出した水晶で覆われていて、ダイヤモンドの宝石箱の中にいるようだ。
ユニヴァが奥のほうに進んで行った。
「やだぁ、ここクモの巣だらけよ。」
そう言ってユニヴァがクモの巣をはらい始めると、突然クモの巣の向こうから突風が噴き出してきた。
みんな瞬間に近くの水晶の壁にしがみついていた。
風がおさまると、「潮の香りがするね。」とクーさんが言ったので、ユニヴァはすぐにクモの巣のあとを覗いた。
「どっかの海岸よ。」
クモの巣のあとにあいた岩の隙間から、どこかの海へ続いていた。
狭い岩の隙間をすり抜けながらユニヴァが言った。
「これっ、ポータルよ!」
僕ら4人は岩の隙間を抜けて、どこかの海岸に出て来た。
「ホシマルちゃん、ここ何処?」ユニヴァが聞いた。
「昼ごろですかな?」とホシマルちゃんは言った。
そう言えば、さっき僕たちは夕方の西日に輝く海を崖の頂上から見ていたのだ。
「ってことは、ここはちゅら星よ!そしてあたしはポータルを開いちゃった。」
ホシマルちゃんはうなずいて、僕らは出てきたポータルを振り返ってみた。
つまらない岩の隙間に雑草が生い茂っている。
でもよく見ると隙間の奥に水晶らしき光がチラチラと見えているのがわかった。

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【2008/07/13 15:54】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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WhiteUniva∞ホワイトユニヴァ


れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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