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ちゅら星(29)
22. Lume星へ
僕はネックレスを作るための小さな貝を袋にいっぱい集めた。
それから、クーさんはいない海岸のガードレールに腰かけて、水平線を眺めて一休みしていた。
そして胸のポケットが紫色の光を出していることに気がついた。
あわててポケットから例のラッキーラブレターを取り出して見ると、紫色の渦巻から発光していて、次第に小さなヒューマノイドのホログラムが浮かび上がった。
そしてホログラムが言葉をしゃべり始めた。
「さぁ、あなたをLume星へご案内する用意ができました。あなたはあなたのお好きな時にこの渦巻のマークにタッチしてください。Lume星にてマチがあなたをお待ちしております。」
そしてホログラムは消えてしまったけれど、紫色の渦巻は鈍く光を残していた。
それから長い間僕は迷っていた。
あまり気にせずに毎日を送っていたが、手紙をポケットに入れておかない日はなかった。
ある時僕は手紙を作業机の上に広げて紫色の渦巻を眺めていた。
封筒が風で床に落ちたのを拾おうとした時に、不用意に渦巻マークに手をついてしまったのだ。
そして今僕はLume星にいる。

「それから何か質問はある?」マチが僕の方振り返っていった。
僕は特に質問は思い浮かばなかったけれど、マチなら何でも知っているような気がしてこんな質問をした。
「宇宙の全体像ってどんなふうになってるの?」
一瞬マチはポカンとした顔をした。
それから気を取り直したように説明し始めた。
「あなたはとりあえず4次元感覚の人だから3次元の世界は当然理解できるわね。」
僕がうなずいたので、マチは話を進めた。
「それから平面の2次元世界や一次元の線の世界もなんとなくわかるわね。」
僕はうなずいた。
「0次元の点の世界の人は、1次元のことも2次元のことも理解するのは難しいけれど、じゃあ0次元の人たちはどんな世界を感じてるんだと思う?」
僕は少し宙を見つめて考えてから、首をちょこっと横に曲げて「さぁ。」と一言言った。
「壮大な多次元宇宙を感じているんじゃないかしら?」とマチは言った。
僕は斜め上を眼だけで見つめて思いを巡らせていたが、考察の途中でマチが話を続けた。
「そう、その1点の中には壮大な宇宙が広がっているので、当然あなたの感じている4次元世界や3次元世界や2次元世界や1次元世界がまた存在しているのね。」
そして意地悪そうに僕の目をのぞきこんでから、マチは続けた。
「そして・・・その小さな1点の中のミクロな多次元宇宙のさらに小さな1点もさらにミクロな宇宙を内在してるってわけ。どう?」
「よく分るよ。」
「そう、お利口ね。そして私たちがいるこの多次元宇宙もまた、一つ上のマクロな世界から見れば単なる小さな1点。」
僕は巨大なボール状の空間の小さな僕を創造した。
「そしてこんな1点が複数集まると、1次元2次元3次元4次元・・・。そしてまたそのめっちゃ巨大な多次元宇宙は実は小さな一点で、さらにめちゃめちゃ巨大な宇宙の1点っていうわけ。」
僕の頭の中に収まりきれない世界がマクロ方向にもミクロ方向にも広がった。
「言っとくけど、小さな1点は1つの多次元宇宙に1つじゃなくて、宇宙全体がたくさんの1点で埋め尽くされてるのよ。その1点1点のそれぞれがミクロになり続ける無限の宇宙を内在してるのよね。」
僕の頭の中を読んだようにマチは説明を付け加えてくれた。
「ねぇマチ、理解はできるけど、このヴィジョンは僕の頭の中には収まりきれそうもないよ。」
「その頭で考えようったって無理よ。」とマチはあっさり言って、席を立った。
そして窓辺に行ったマチは窓の外を見ながら、まだ宇宙のヴィジョンを構築中の僕を呼んだ。
「ねぇ見てごらんなさい。」
僕は窓辺のマチのすぐ隣に行って外の景色を見た。
すぐ下にブルーグリーンの波が打ち寄せるビーチがあって、キラキラの海が見渡せた。
なぜかこのビーチの隅々までよく知っていて、僕は一瞬家に帰ってきたような気分になった。
「懐かしい気分?」とマチが僕の顔を覗き込んだ。
「なんかおかしい、ここ絶対よく知っている場所なんだけどな。」
そう思ったとたんに、ピンと立った長い耳を紫色の髪の毛からのぞかせているマチの顔が見慣れた顔に見えてきたのだ。
「僕、マチに会うのは初めてだよね?」
マチはきれいな波が打ち寄せる白い浜辺を指差した。
「ほらよく見て、白い鳥たち。」
よく見ると浜辺のあちこちや岩の上にも、それから風にきらきらそよぐ木々の間にも白い鳥がとまっていて、気持ち良さそうに毛づくろいをしたり水平線を見つめたりしている。
「お友達がいるかもしれないわね。」とマチは僕に笑いかけた。
気がつくと僕は白い鳥になって、マチの腕につかまっていた。
マチは僕をベランダの手すりに移動させると、マチもまた白い鳥になって僕の隣の手すりにとまった。
そして僕らは翼を広げて波打ち際へと飛びたった。

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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2007/08/07 14:33】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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WhiteUniva∞ホワイトユニヴァ


れもんちゅらな宇宙で星散策。     エンドレスな「ちゅら星」の物語・・・  手作り黒猫や熊も紹介します。

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