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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2023/11/06 17:37】 | blogtop | トラックバック(0) | コメント(25) |
ちゅら星(184)
僕らはコココが運んで来たレモンビールでカンパイした。
レモン果汁で少し白っぽく濁ったビールに果肉の粒が見える。
檸檬の香りが爽やかな暑い日にピッタリのビールだ。
コココが人数分のスプーンをグラスに入れて持って来た。
「レモンビールって、そんなので良かったかしらね?」コココがスプーンのグラスを置いて言う。
「うん、いけるよ。」白い猿が泡のついた口で言う。
ユニヴァがボンボングラスのフタを開ける。
「まだ種は半分くらい残してあるわけだし・・・。」クーさんがコンポートをのぞき込む。
「煮ちゃったモノは食べちゃうしか・・・。」ユニヴァがグラスからスプーンをとる。
ユニヴァは蓮の実のコンポートを一粒スプーンですくい上げると、迷わずスポンと口に入れた。
「うん、上手に煮えてる!」ユニヴァがコココに言う。
「それじゃ僕も・・・。」おかっぱがスプーンを手に取る。
それから僕も一粒食べてみる。
「うん、甘さが丁度いいね。」
3粒を残して、全員一粒ずつコンポートの種を食べた。
コココはお代わりのビールを取りに行った。
「ミステリアスだったあの蓮も、ビールのおつまみになっちゃったね。」おかっぱが笑って言う。
「とは言えダミーだったジャングルがリアルになってここまで来れたってのも事実だよ。」クーさんが言う。
「そうね、ここは座標も判別できないミステリアスな場所・・・。」ユニヴァが空になったグラスを置く。
コココが新しいビールとピザを運んで来た。
「明るくなったらもう少し進んでみよう、誰かいるかも知れない。」ゴールリが言う。
乳白色の空はもうすっかり光を失っている。
それでも真っ暗闇とまではならず白みがかった暗さの夜になった。
ユニヴァは3粒残ったボンボングラスにフタをした。
ゴールリが揺り椅子で寝息を立て始めると、おかっぱと白い猿もハンモックに横たわった。
ユニヴァは風呂に入り、クーさんはギターを弾いていた。
僕と旧友はカウンターに移動して旧友のオリジナルのカクテルなんかを楽しんだ。
「明るくなってる。」コココがそう言って新緑の壁をオープンウィンドウに切替えた。
乳白色の柔らかな光が巨大真珠の中にも差し込んでくる。
「さて、冒険再開だ。」クーさんが伸びをして言う。
巨大真珠はプライベートビーチを離れて上空へ出た。
朝の海が白く輝いている。
「水平線の先に何かあるかしらね?」ユニヴァが言う。
「海岸線に進むって手もあるけどね。」クーさんが言う。
巨大真珠は海岸から離れると、遠巻きに陸地を見ながら進んで行く。
崖の合間には僕らがいたような入り江になった砂浜がいくつも見える。
他にはただジャングルの崖が続くばかりだ。
突然ユニヴァが巨大真珠を停止した。
「どうした?」
「見てよ!」ユニヴァが前方の崖を見つめて言う。
キラキラと光るモノが見えた。
崖のフチに透明のフェンスが張ってある。
手すりのついたおしゃれなテラスといった感じだ。
「人がいるって事だね。」おかっぱが言う。
巨大真珠はゆっくりとテラスに近づく。
人の姿は見えない。
テラスの奥には透明の住居型ドームがある。
テラスは崖から奥のジャングルの方まで円形にドームを囲んで続いているようだ。
広々としたテラスにはテーブルや椅子がさっきまで誰かいたかのように散らかっている。
「誰もいないみたいね。」ユニヴァがつまらなそうに言う。
「散歩に行ってるんじゃない?」クーさんが言う。
「うちの店もこんな感じにしようかな・・・。」旧友がジャングルの風が抜けるテラスを見て呟く。
「深海なのに?」僕が言う。
「その時は店名も変えるよ。」旧友が言う。
僕らはとりあえず崖のテラスを離れた。
一軒の素敵な住居があったものの、その後は原生林しか出て来ない海岸線を進む。
「もっとちゃんとした街がどこかにあるはずだよ。」ゴールリが言う。
「そうね!」
ユニヴァはそう言うと、巨大真珠の高度を上げて今度は水辺線めがけてスピードアップした。
かなりのスピードだが、未だ水辺線しか見えない。
「お宝発見?」白い猿が言う。
水平線の先に白く光るモノが見えた。
「何かしら?」ユニヴァが言う。
「竜巻?」おかっぱが言う。
島が見えてきた。
周りを真っ白な砂浜に囲まれていて、その奥に光るモノが見える。
キラキラと巨大な渦を巻いている。
それはその場で円柱を描いて渦巻いている。
まるでキラキラのイルミネーションをまとったビルディングのようだ。
真っ白な砂浜に近づく。
舗装された道路が海岸線沿いに島を取り巻いていて、その奥には白い建物が目立つ街が続いている。
僕らはキラキラの渦巻きの方に向かう。
上空から見ると街は放射線状に綺麗な同心円を描くように作られていて、その中央に広場があり、広場の中央には小さな池がった。
そしてその池の中央であのキラキラの塔が渦を巻いていた。
「飾り物なのかな?」僕が言う。
「そういう感じのエネルギーじゃない気がするけど・・・。」ユニヴァが言う。
街とは言っても人影一つ無い。
しばらくキラキラを眺めた後、僕らはこの場所を後にした。
「人気の無い遊園地ってつまんないもんだよね。」おかっぱが言う。
この島を離れると、今度は大小の岩が数珠つなぎに見えてきた。
更に先には白い岩の岩盤のような大きな島が見える。
巨大真珠はまた少し高度を下げて、岩の島を観察してみる。
「ああ、また何か光ってる。」白い猿が言う。
白い岩の崖の下の方に幾何学図形みたいなモノがキラキラと光って回転している。
そこには周りから岩を伝った滝が流れ込み大きな池が出来ていた。
「水たまりにキラキラか・・・。」白い猿が呟く。
そしてしばらく眺めた後、僕らは岩の島を後にする。
また何もない大洋が続いた。
「それよりここってどっかの惑星何でしょうね?」ユニヴァが言う。
巨大真珠は急激に上昇する。
その時巨大真珠が鈍い振動に揺れた。
「オッと!宇宙空間には出られないみたいね。」ユニヴァが僕らを見回して言う。
「ここ、いったい何処なんだ。」クーさんが情けない声で言う。
「誰かが作ったアトラクションだったりして・・・。」ユニヴァが含みを持った風に言う。
「誰かって?」僕が訊く。
「そりゃ誰かよ。」ユニヴァが口をとんがらせる。
当てもない青い海を巨大真珠はただ進む。
「ほら、またキラキラだ!」白い猿がユニヴァをあやすように言う。
実際にキラキラが遠くに見えてきた。
真っ白な砂浜が広がっているのが分かる。
何もない、取り残されたような真っ白な砂浜が青い海に浮かんでいる。
そして中央に鮮やかな緑のラグーンが見える。
そしてその中央でくるくると回転しいるボールのような多角形のキラキラ。
「水たまりにキラキラ・・・。」白い猿が呟いた。
ラグーンを後にして巨大真珠はまたあてもなく進む。
「またキラキラだ!」白い猿が叫ぶ。
猛スピードで前方からキラキラが迫ってきた。
小さめの巨大真珠だ。
「大丈夫か?」キラキラから声がした。
「・・・。」
「こっちだ!ついて来て。」
キラキラが動き出したので、とりあえずついて行ってみる。
キラキラはスピードを上げていく。
僕らの巨大真珠もそれに従う。
前方にまたジャングルの崖が見えてきた。
キラキラがスピードを緩めたかと思うと水中にダイブした。
僕らも水中に入る。
崖の下にゆっくりと回転している水流が見える。
キラキラはその水流に吸い込まれていった。
ユニヴァが僕を見る。
僕はクーさんを見る。
クーさんがユニヴァを見た。
ユニヴァは黙って水流に向かう。
一瞬引力を感じると、僕らは明るく広い室内にいた。
キラキラもそこに止まっている。
「見かけないトレッキングボールだな?」キラキラから声がする。
「ちょっとした冒険者よ!」ユニヴァが答える。
「冒険者?・・・どこから来たというのか?」戸惑った声が言う。
「蓮の池の方?・・・」ユニヴァも戸惑いの回答をする。
「・・・。」
長い沈黙が流れる。
「まさかオーナー・・・なのか?」戸惑いの声が言った。
僕ら全員がゴールリを見る。
「『深海』って以外に有名なの?」旧友が肩をすくめて言う。
「なぜ『深海』のオーナーを知ってるの?」僕がキラキラに訊く。
「『深海』とはなんだ?」
僕らは顔を見合わせる。
どうやら『深海』のオーナーを知っているわけではなかったようだ。
「じゃあさっきのオーナーって何よ?」ユニヴァが訊く。
「このハチスノマを作った張本人のことだよ。」
「ハチスノマ?」
ユニヴァの推測もバカにしたモノではないようだ。
ここは誰かが作ったアトラクションとでも言うのだろうか。
「いったいここは何なの?」ユニヴァが訊く。
「ここは・・・、ゆっくり話そう。」そう言ってキラキラは移動し始めた。
がらんとした部屋だが天井には派手な模様がある。
天井に点在する渦巻き模様はポータルかも知れない、模様と言うよりはリアルに渦を巻いている。
キラキラは上昇すると、一つの渦に吸い込まれていった。
僕らの巨大真珠も同じ渦に吸い込まれる。
透明の円卓を銀色の椅子が取り囲んでいるだけのシンプルな部屋に到着した。
キラキラの巨大真珠から出てきたのは、地味なグレーの翼を持った鳥人間が二人。
「キュートな乗り物の割には地味な人達ね。」ユニヴァが呟く。
僕らも巨大真珠を出る。
「ずいぶん大所帯だね。」中肉中背の冴えない感じの鳥人間が言う。
「中は広いの。」ユニヴァが言う。
「君達がここに来たと言うことは、蓮が種をつけたと言うことだろうか?」鳥人間が近くの席に着いた。
僕らも適当な席に座る。
「まあ、そういうことね。」ユニヴァが面倒そうに答える。
「君はハチスノマのオーナーではないのか・・・。」残念そうに鳥人間がユニヴァを見る。
「でも、この中にオーナーかポータルマスターがいるはずだ。」立っていたもう一人の鳥人間が言う。
ユニヴァが手を挙げる。
「アタシはポータルマスターと呼ばれてるけど。」
「LUME星を知っているか?」
旧友以外の全員が頷く。
「・・・なるほど。」鳥人間は何か納得したように腕を組む。
「ここはLUME星へのルートがある特別な場所だ。」鳥人間が言う。
「ホントにぃ?」僕が突拍子もない声で言う。
「というよりは・・・ここはすでにLUME星の内部でもある。」
「えーえっ!!」驚きの声が合唱した。
僕の脳裏に、あのマチの顔がよぎる。
僕らは思いの外スゴイ場所に来ていた。
【2023/11/06 17:36】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
ちゅら星(183)
僕らはあてもなくジャングルの奥へ進む。
「上空に出てみた方が良さそうね。」
巨大真珠が上昇する。
ガサガサと枝葉が巨大真珠のボディをこする音がしている。
少し黄色みを帯びた薄曇り色の空が広がっている。
けれども曇っているわけでもなく明るい日差しが眩しく感じる。
空の色自体が黄色っぽい乳白色をしているようだ。
太陽の姿はなく空全体から光が降り注いでいる感じだ。
「妙なとこだね。」クーさんが呟く。
上空からの眺めは見渡す限りが密集した木々に覆われたジャングルが広がるばかりだ。
巨大真珠はジャングルの上空を移動し始める。
「何か面白いモノでもないかしらね・・・。」ユニヴァが言う。
僕らはただ眼下の景色を眺める。
「川とか海とか・・・。」ユニヴァがまた言う。
「川ぐらいあってもいいよね。」白い猿が言う。
たぶん宇宙船に初めて乗る旧友はワクワクを隠しきれない笑顔で僕を見た。
行けども行けども深い緑が続いているだけだ。
「ねぇ、今キラキラしたのが見えなかった?」おかっぱが言う。
僕は遠くの景色に目をこらす。
「ほら、あのモコモコしているちょっと手前・・・。」おかっぱが指を差す。
「ああ、ちょっとキラキラしているね・・・川かな?」旧友が言う。
巨大真珠がキラキラに近づくにつれて僕にもはっきりと木々の奥に煌めく光が見えた。
「川ね。」ユニヴァが言う。
「見て!あれ池じゃない?」またおかっぱが言う。
「冴えてるじゃない!」ユニヴァが言う。
更に向こうには広範囲のキラキラが見えてきた。
「池に降りてみようよ。」白い猿が言う。
巨大真珠は高度を下げていく。
ガサガサと音がしてジャングルに再び進入する。
小川が流れている。
巨大真珠は小川に沿って進む。
「あ、池。」おかっぱが小さく言う。
直径1メートルほどの小さな池だ。
更にもう一つ小さな池、また一つ。
小さな池が点在している。
小川は続いている。
前方に大きな水たまりが見えてきた。
近くまで来ると、だいぶ深そうな池だと分かる。
更に進むと水辺が見えてきた。
「アレがさっき見えてたキラキラの正体ね。」ユニヴァが言う。
その大きな池の水面からは植物がジャングル同様に高くそびえて生息している。
「いろいろいそうね。」ユニヴァが池の上で巨大真珠を止めて眺める。
植物の根が伸び茂る池は確かにいろいろいそうなムードだが、動くモノもなくただどんよりとたたずんでいる。
池を確認した僕らは、またジャングルの上空に出ると更に先へ進んだ。
「やったぁ!海がある。」おかっぱが叫ぶ。
眩しいキラキラが前方に見えてきた。
海に行く手前には崖になっていて、ジャングルはそこまでで唐突に終わっていた。
崖の下にはバナナに似た植物の林か続いている。
そしてヤシっぽい植物が目につき始めた先に小さめの海岸が見えた。
左右を低い崖に囲まれた三日月型の真っ白な砂浜だ。
巨大真珠がポサリと音を立てて砂浜に着地する。
みんな巨大真珠から外に飛び出した。
柔らかな乳白色の空から注ぐ日差しが気持ちいい。
ブルーの海も少し白みがかったクリームソーダのような色合いをしている。
みんな一斉に海に飛び込む。
久しぶりの海水浴だ。
ゆるい波がゆっくりと打ち寄せていてまるでプールにいる様だ。
足下の砂の海底も柔らかい。
「いいところ見つけたって感じ。」ゆらゆらと僕に寄ってきたユニヴァが言う。
確かにこれは最高のシークレットビーチではある。
泳ぎ疲れると、僕らはヤシの木陰に入って一休みした。
砂浜に置いたままの巨大真珠からコココが顔を出した。
「こんなのはいかが?」
巨大真珠の窓辺に冷たい飲み物が並んだ。
ユニヴァがみんなに飲み物を配ってくれる。
冷たい飲み物がノドを通ると同時に、爽やかな風がほほを撫でていった。
みんなから心地よいため息が漏れる。
「この先には何かあるのかな?」僕が言う。
ユニヴァがあくびをした。
旧友もクーさんも寝息を立てている。
サラサラと静かな波の音だけが聞こえている
すっかり身体も乾ききったころになると、乳白色の空は黄色みを増してきた。
「だんだん夜になっていくのかしらね?」ユニヴァが黄色っぽい空を見上げて言う。
僕らはしばらく空を眺めていた。
時間がたつと空は黄色からオレンジ色へと変化した。
夕方っぽい感じになってきた。
「お腹すいた。」ユニヴァはそう言って巨大真珠に入って行く。
ゴールリが大きく伸びをして、それから僕らもユニヴァに続いた。
巨大真珠の中は清々しい緑に囲まれたロッジだ。
僕らは適当な椅子やソファアに腰掛ける。
ユニヴァが林の景色をオープンな窓ガラスに変えて、さっきの砂浜が見渡せるようにした。
「こんなスゴイ体験が出来るなんて、何だか夢を見ているようだよ。」旧友が僕に言う。
「僕にとっては日課みたいなもんだよ。」
旧友が笑う。
空は更に赤みを帯びてきている。
コココがローラースケートで素早くやって来た。
「冷たいレモンスカッシュ?それともビールの方がいいかしら?」
ユニヴァが僕らを見回す。
「だったらレモンビールがいいんじゃない?」白い猿が言う。
「なるほど!」コココはそう言うと素早く立ち去った。
テーブルの中央に蓋付きのボンボングラスが置いてある。
「何かしらね。」ユニヴァがボンボングラスののふたを開ける。
「なんか美味しそう・・・。」
豆か果物を煮たものだろうか、小さな丸い粒が10粒ほど汁につかっている。
ユニヴァはフタを戻して、コココが来るのを待った。
待つまでもなくコココはすぐにビールを持ってやって来た。
泡の盛り上がるジョッキグラスの縁にはレモンの輪切りが刺さっている。
「ねぇコココ、コレは何?」ユニヴァがボンボングラスを指差す。
「さっきユニヴァが採った種みたいなのがあったでしょ、アレのコンポート。」
「コンポート?」ユニヴァがボンボングラスを凝視したまま言う。
「甘く煮たものよ。」コココが言う。
「さっき採ったって・・・。」クーさんもボンボングラスを凝視している。
「新鮮なうちにと思って・・・。」コココはそう言ってボンボングラスのふたを取る。
「ああ、スプーンが必用かしらね。」コココが言う。
ユニヴァが僕を見たので、僕はコココに目をやった。
「美味しく出来てると思うけど!」コココは満面の笑顔で言う。
外の景色はだいぶ暗くなり、乳白色だったあの空は燃えるような真っ赤に染まっていた。

【2023/09/18 18:51】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
ちゅら星(182)
赤く輝くポータルを抜けると、以前のまま何の変化もない蓮池の前にいた。
「さてと。」ユニヴァが黄色い粉の瓶をテーブルに置く。
「こぼさないようにしないと。」クーさんが言う。
「コココ!小さな箱を持ってきて。・・・それからガーゼ布も。」ユニヴァが言う。
数分後にコココがやって来た。
「小さい箱にもいろいろあるんだけどどれかしら?」
6本の腕でやって来たコココは、それぞれに小さな箱を持っている。
ユニヴァは10センチ程度の蓋付きのタッパーを取った。
「あとはガーゼ布ね。」コココが奥へ戻っていく。
「折り紙くらいにカットしてきて!」ユニヴァが言う。
小さくカットされたガーゼが届くと、ユニヴァはタッパーにガーゼをひいた。
そして黄色い粉の瓶を手に取る。
慎重にフタを開ける。
「ほんの少しだよ。」クーさんが言う。
「静かにしてて!」ユニヴァはそう言ってから、軽く息を吸い込む。
ユニヴァが指で瓶の腹をポンポンとたたくと、黄色くて柔らかな粉が優雅にガーゼに舞い降りる。
僕とクーさんは静かにユニヴァの動きを見守る。
ユニヴァは瓶をテーブルの上に立たせると、慎重にフタを閉めた。
それから箱の中のガーゼを粉が飛ばないようゆっくりと折りたたむ。
タッパーのふたを閉める。
「ふぅ、OK!」ユニヴァが大きく息を吐く。
それから僕らは池に浮かぶ適当な蓮の葉の上に降りた。
真っ白な花びらは自ら発光している。
ユニヴァは持ってきた箱を開けると、黄色い粉のついたガーゼをポンポンとおしろいをつけるように花の中央のツブツブの上に載せた。
「こんな感じかしら?」ユニヴァが言う。
今のところ花に変化は見られない。
「そう言えばこの事、ゴールリ達に何も言ってないね。」ふと気がついて僕が言う。
「だね。」クーさんが僕を見る。
「じゃあソーダでものみに行く?・・・。」ユニヴァは花を横目で見てそう言った。
花にはすぐに変化がありそうにも見えない。
僕らは『深海』の入り口まで移動し、階段を降りて行った。
「よう!毎度。」カウンターにいた旧友が言う。
奥を覗くとコンピューターを広げているゴールリと、じゃれ合っているおかっぱと白い猿の姿が見えた。
「メロンソーダ。」ユニヴァが旧友に言って奥に進む。
「ジンジャーエール。」僕も言ってユニヴァに続く。
「んじゃ僕はコーラ。」クーさんが言った。
おかっぱと白い猿が僕らに気がつき、ゴールリも顔を上げた。
「あの蓮の花・・・。」ユニヴァが言いかける。
「何か変化でも?」ゴールリが言う。
「つーか変化させちゃったかも・・・。」ユニヴァが言う。
「どう言うこと?」おかっぱが言う。
「受粉してきちゃった。」ユニヴァがニタリと笑う。
「受粉って何を?」白い猿が訊く。
「黄色い粉だね。」クーさんが言う。
「黄色い粉って花粉なの?」白い猿が訊く。
クーさんが首をかしげる。
3人のトリニタスが怪訝な顔をする。
「花粉みたいな気がするのよね。」ユニヴァが強気に言った。
「気がする?」おかっぱがハテナな顔をする。
ユニヴァは陽気な笑顔で答えた。
「で、あの花どうなっちゃうっていうの?」おかっぱが動揺した目で僕らを見る。
「今のところ変化無し。」ユニヴァが言う。
「相談しないで、悪かったと思って・・・。」僕がゴールリに言う。
「いやぁ、しかし何か変化があればいいのだが・・・。」ゴールリが静かに言う。
飲み物がテーブルに届く。
「ちょっと行ってみない?」ユニヴァがメロンソーダを一気飲みしてグラスを置いた。
「変化には少し時間がかかるのでは?」ゴールリが静かに言う。
「そうなんだけど、気になるのよね!」ユニヴァが言う。
旧友がユニヴァの前にお代わりのレモンジュースを持ってきた。
ユニヴァは素早くストローに口をつけ、一口チューッと吸った。
それから僕らは、黄色い粉をビーナから受け取ったときのことを話した。
「って事は、その黄色い粉がどう言うモノで何に使うのかも知らないって事だね。」
僕とクーさんとユニヴァは頷く。
「それがもし花粉じゃ無い場合、変化が無いだけならいいけど・・・。」おかっぱが呟く。
「枯れちゃったらどうする。」白い猿はそう言ってユニヴァを見る。
仮にそれが花粉だとしたところで、さらに蓮の花粉の確立はかなり低いことになる。
僕はちょっと気まずさみたいなモノを感じた。
お代わりのレモンジュースも早々に飲み干したユニヴァは巨大真珠を取り出した。
「どぞ。」ユニヴァはそう言うと巨大真珠に乗り込んだ。
ゴールリが腰を上げると、白い猿がおかっぱの肩にひょいと飛び乗った。
そしてゴールリとおかっぱが巨大真珠に入る。
「お店閉めとかなきゃ。」旧友がリモコンを立ち上げてロックした。
それから僕と旧友が巨大真珠に入って、最後にクーさんが入って来た。
「この船スゴイね!」おかっぱが言う。
「潜水艦っぽくも出来るけど・・・。」ユニヴァはパネルを立ち上げて操作する。
爽やかな森の景色だった部屋の側面には潜水艦の丸窓がずらりと並んで、窓の向こうには時々巨大な魚が通り過ぎていくのが見えた。
「潜水艦なんて珍しくもない、さっきの森の方がいいよ!」白い猿がおかっぱの肩で言う。
ユニヴァは元の景色に戻す。
ゴールリがウッドデッキのロッキングチェアーに腰掛ける。
「うちの店もこんな感じに模様替えしようかな・・・。」旧友が言う。
「『深海』なのに?」僕が言う。
旧友が笑う。
「じゃあ赤いポータルに入るから!」ユニヴァが言った。
森の景色からスクリーンの窓に変わる。
「何コレ!」
あの美しく輝いていた蓮の花が、枯れ果てた棒切れのように突っ立っているではないか。
「枯れちゃった・・・。」
「どうする大失敗だよ。」クーさんが情けない声で言う。
「枯れてるわけじゃないよ、種が出来てる。」ゴールリが言う。
確かに茶色く枯れ果ててはいるが、ツブツブはふっくらと膨らみ今にも種は穴からこぼれ落ちそうだ。
「へぇ、上手くいったみたいだね。」白い猿が呟く。
「少しならもらってもいいわよね、黄色い粉で貢献しているんだし。」ユニヴァはそう言って巨大真珠をツブツブの近くまで寄せると壁の一部をオープンした。
森林の香りがすーっと入ってくる。
ユニヴァは種に手を伸ばす。
ユニヴァが10個ほどのドングリみたいな種を取ると、残りは丁度半分くらいになった。
「このくらい。」ユニヴァはそう言って、採取した種をテーブルにあった箱にしまい込んだ。
「森の匂いがするね。」クーさんが神妙な顔で言う。
僕は外気を吸い込んでみる。
この前は蓮の香りに魅了されていたから、この清々しい緑の香りには気がつかなかったのかも知れない。
「ジャングルから風が来てる気がしない?」ユニヴァが言う。
「ホログラムのジャングルから?」僕が言う。
ユニヴァが巨大真珠を森の方に移動させる。
カサカサと巨大真珠が植物にあたる音が聞こえる。
「おや、ホログラムじゃないぞ。」クーさんが言う。
巨大真珠は木々の中に侵入する。
ユニヴァが不敵な笑みを浮かべる。
「また何か封印が解けたみたいだね。」クーさんが言う。
「この先に『封印された色』と言う何かがあるのだろうか?」ゴールリがジャングルと奥を見つめて独りつぶやく。
「座標が出ないから、いったい何処なのか見当がつかないのよね。」ユニヴァがパネルをいじりながら言う。
「その方が冒険にはもってこいなんじゃないの?」クーさんが皮肉っぽく言う。
「まぁね。」ユニヴァは座標をあきらめて、巨大真珠をジャングルの奥へと進める。

【2023/07/17 16:49】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
ちゅら星(181)
「虫がいなかったら受粉できない・・・だから一輪しか咲いてないのかしらね?」ユニヴァが静寂を破って言う。
「なるほど・・・。」クーさんがうなる。
「この蓮の花・・・なんか変じゃない?」僕が言う。
雌しべの周りを取り巻いているはずの雄しべがないのだ。
「元々受粉するタイプじゃないって事かな?」クーさんが言う。
「でも、あの真ん中のつぶつぶは種の素なんじゃない?」ユニヴァが言う。
僕らはまた、花を眺める。
風もなく、音も無く、池を囲む木々の隙間から木漏れ日が差している。
「そろそろ夕飯の用意できてるんじゃないかしらね?」突然ユニヴァが静寂をひっくり返して言う。
そして僕らは一度『深海』に戻ることにした。
「座標で戻れるんでしょうね。」ユニヴァはそう言って、真っ赤な空洞の座標をセットした。
僕らは真っ赤な空洞に再び戻って来た。
あっという間に現実的な『深海』に戻ると、美味しそうなカレーの香りがした。
「おお、タイミングがいいねぇ!」旧友が大きな鍋をテーブルに置く。
テーブルに着くと大きなジャガイモと丸くかたどられたライスが乗った皿が置かれた。
続いてそこにカレーの海が注ぎ込まれる。
エビ、タコ、イカが泳ぐシーフードカレーだ。
「いいねぇ。」クーさんが言う。
僕らはシーフードカレーにとりかかる。
「それで、どうだった?」カレーの代わりにナッツをつまんでいる白い猿が言う。
「スゴかった。」手短にユニヴァが答える。
みんなシーフードカレーに集中する。
「ところで、『封印された色』ってどう言う意味があるの?」カレーの手を止めてクーさんが言う。
白い猿とおかっぱも手を止めてゴールリを見る。
「封印の先にまだ誰も行ったことのない世界がある。」ゴールリが言う。
「LUME星?」ユニヴァが言う。
「名前も存在すらも知られない場所だ。」
「それって無いに等しいんじゃないの?」ユニヴァが言う。
「そうかも知れない。」ゴールリが言う。
ユニヴァは肩をすくめる。
「『封印された色』って赤のことでしょ?」僕が訊く。
「それは、あの赤いポータルのことなのだろうか?」ゴールリが僕に言う。
「ちょっと!アンタが訊いてどうするのよ。」ユニヴァがゴールリに当然の突っ込みを入れる。
「『封印された色』とは、何かの言い伝えなの?」また僕が訊く。
ゴールリがフフっと笑う。
「あるとき突然聞こえてきたんだ、ここにね。」ゴールリが自分の頭をつついいて言う。
「何て?」白い猿が訊く。
トリニタスの二人さえも知らないいきさつのようだ。
「今こそ封印が解かれる時、それは赤く・・・」そう言ってゴールリは僕らを見回す。
「・・・そう聞こえたと思う。」
「でも、あの赤いポータルは封印されてたってわけでもないよね。」クーさんが言う。
「この声が聞こえたのはずっと昔のことで、僕はそれから赤いモノばかりを探し続けててきた。
だからレッドソルトを見つけたときは胸騒ぎを感じたよ。何かあると分かった。
そしてさっき、あの赤く輝くポータルに行き着いたんだ。
しかし、たしかに封印の意味は未だ解けていない・・・。」
「だったら、あの意味深な一輪の蓮が関係あるんじゃないの?」ユニヴァが言う。
「そう思いたい。」そう言ってゴールリは残りのカレーを食べ始めた。
「あの蓮、雄しべがないんだ。」僕が言う。
「そうだった?・・・それは不可解だね。」カレーを食べ終えたおかっぱが言う。
「そうか、黄色のモアモアが足りないからイマイチぱっとしなかったのか・・・。」白い猿も言う。
旧友がアイスコーヒーを運んで来た。
「封印はもう解かれてるって事なんじゃないの?」旧友がアイスコーヒーを配りながら言う。
旧友が食べ終わった皿を運び始めたので僕も手伝った。
「そうかも・・・。」ユニヴァが言う。
「もう封印が解けたから赤いポータルの先に行けたんじゃない?」席に戻った旧友が言う。
「または・・・」ユニヴァがコーヒーのストローをカラカラ回して僕らを見回す。
「ゴールリ!アンタが封印を解いたって言うか、こじ開けたって事なんじゃない?」
ゴールリもストローをカラカラと回した。
「・・・かも知れない。」
「んで、封印が解かれるとどうなるって言うの?」クーさんが言う。
「だから赤いポータルを通れるようになって・・・。」僕は言いかけてから考え込んだ。
その先にあったのは、あの一本の蓮が咲く静かな池のある空間だ。
「あれだけじゃ、あまり面白くないよね。」クーさんが言う。
さっきまでの幻想的な体験が色あせて感じた。
「あの先があるに決まってるじゃない。」ユニヴァが喝を入れるように呟く。
「でも、周りのジャングルはダミーだし・・・。」クーさんはあきらめがちに呟く。
「あの花・・・」ユニヴァから疲れたような声がした。
それから数日がたった。
風が気持ちよかったので、僕はバルコニーのハンモックで昼寝をしていた。
目が覚めて身体を起こすとベンチにユニヴァがいた。
「お茶でも入れるよ。」
僕がそう言うと、ユニヴァは巨大真珠を取り出した。
「お茶はコココにお願いする。」ユニヴァはそう言って巨大真珠の中に入って行った。
当然の事ながら僕も続いた。
今日のユニヴァルームは、ライトブルーのウッディーな床が際立つナチュラルな感じだ。
大きめのウッドソファアには柔らかな色合いの花柄のクッションシートがひかれている。
壁のホログラムも爽やかな明るい森に囲まれていて、近くに小さな小川も見える。
「コココ!何かお茶を入れて。」ユニヴァが呟く。
しばらくするとローラースケートの彼女がやって来た。
「ジンジャーレモンティお砂糖無しにしてみました。」
コココはそう言ってテーブルにお茶を置くと疾風のごとく消えていった。
「だそうよ。」ユニヴァは大きめのピンクのティーカップを両手で口に運ぶ。
「ゴディ星に到着しました。」どこからか声が響いた。
「クーちゃん呼んでくる。」ユニヴァは席を立って巨大真珠を出て行った。
僕は熱いジンジャーレモンティを少しすする。
しばらくするとクーさんとユニヴァが入って来た。
「今日はどんな冒険のお誘いかな?」クーさんがそう言って僕の前の席に座る。
「コココ!お茶をもう一つ。」ユニヴァが言う。
「コレ試してみようと思って。」ユニヴァがテーブルにあった箱から何か取り出す。
それはいつかイエローバードパークでビーナから受け取った黄色い粉の瓶だ。
「試すって・・・。」クーさんが言う。
「お待たせ!」コココが疾風のごとくクーさんの分のジンジャーレモンティを運んで来た。
ユニヴァが上目遣いに僕らを見ると、人差し指で頭をこつこつとたたいた。
この前のゴールリを思い出す。
「お・つ・げ!」ユニヴァがニヤリとする。
「お告げ?」クーさんが繰り返して言う。
「ゴールリみたいに聞こえてきたの?」僕が訊く。
「ってわけではないんだけどね・・・。」
僕とクーさんが深いため息をつく。
「ちょっとした夢を見たの。」
「夢?」クーさんがまた繰り返した。
「そう、突風が吹いて黄色い砂だか粉だかが吹き荒れると目の前にお花畑が広がってたって感じの夢なんだけど・・・。」
イマイチ意味が分からないので黙ってユニヴァの話を待った。
ユニヴァは僕を見て気まずそうに口を尖らせた。
「そりゃあ、直接あの蓮の花と関係があるわけじゃないけど、なんか黄色い粉って言うところでひらめいちゃったのよねっ。」ユニヴァは文句あるかとばかりにそう言うとソファアにもたれた。
「その黄色い粉をどうしようって言うわけ?」クーさんが訊く。
「花粉の代わりにしようって言うんでしょ?」僕が言う。
ユニヴァが黙って頷く。
「そんな希少なモノ、確信もないままに使っちゃうの?」クーさんが怪訝な顔をする。
「半分くらいよ・・・いや、三分の一!」ユニヴァは黄色い粉の瓶を軽く振ってみる。
柔らかなパウダー状の粉が揺れる。
少し花粉にも似ている気がしてきた。
「だって・・・花粉ぽいし。」ユニヴァが少しトーンダウンした声で言った。
「しょうがないなぁ・・・。」クーさんが言う。
「え?」ユニヴァがクーさんの小さなつぶやきを聞き逃さず反応した。
「やってみないよりは・・・。」クーさんが僕を見て言う・
僕にもちょっとした好奇心が芽生える。
そして小さくクーさんに頷く。
「三分の一だからっ!」
ユニヴァはそう言うと、早速真っ赤な空洞の座標をセットした。

【2023/05/28 17:08】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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